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スポーツ  投稿日:2015/2/19

[瀬尾温知]【日本サッカー新監督は南米から】~リベルタドーレス杯に注目~


瀬尾温知(スポーツライター)

「瀬尾温知のMais um・マイズゥン」(ポルトガル語でOne moreという意味)

執筆記事プロフィール

アギーレ監督は厳しい表情で現実を認めざるを得なかった。「良いところがないままで、非常に難しかった。」とコメントを残した。それは、八百長を認め、日本代表監督の解任を受け入れた者の口から発せられたものではない。名前は同じアギーレでも、メキシコ人ではなく、ウルグアイ人のアギーレが発した言葉である。そもそもメキシコ人の方は、八百長の事実は認めていないことを誤解がないように補足しておこう。

ブラジルがCarnaval(カルナヴァウ)の祝日だった2月17日、ブラジルの名門・インテルナシオナウ(インテル)はリベルタドーレス杯の初戦でボリビアのザ・ストロンゲストと対戦し、1対3で敗れた。冒頭のコメントは、インテルのアギーレ監督の試合後の言葉になる。

この試合は、標高が約3600メートルの高地・ボリビアのラパスで行われた。酸素が薄い高地に順応するには、15日以上前に現地入りして環境に慣れるのが最善策といわれている。中途半端に数日前に入ると余計に苦しむことになるので、今回、インテルは試合当日に現地入りして試合に臨んだ。

しかし、運動量も覇気もないまま、あっけなく格下相手に敗れた。ラパスやペルーのクスコなど高地での取材経験があるブラジル人記者は、打つ手がないアウェイの不利を「アスピリンをコカ茶で飲むしかない。」と両手を広げ、冗談めかして言う。南米王者への道のりが生やさしいものではないことがよくわかる。

ブラジルのクラブが2010年から4年連続で優勝していたが、昨季はアルゼンチンのサンロレンソが初優勝。今年はどのチームが南米の頂点に立つのか。優勝チームが出場資格を得るFIFAクラブワールドカップは、ここ2年はモロッコで開催されたが、今年は日本で開催される可能性が高い。

そのリベルタドーレス杯は、世界的には無名の選手や監督がその名を知らしめる大会ともなっている。2012年にウニヴェルシダ・デ・チリを準決勝まで導いたサンパオリ監督も、この大会でその手腕を認めさせた。そしてワールドカップ・ブラジル大会ではチリを率い、グループリーグで前回王者のスペインを倒した。決勝トーナメント1回戦ではブラジルの前にPK戦の末に敗退したものの、開催国を瀬戸際まで追い込んだ。大会で最も印象に残る好ゲームを演じた立役者だった。

拙者は、そのサンパオリが率いる日本代表のサッカーが観たかった。日本とチリは体格が似ているし、守備力が強固でないのも相似している。そして日本代表に何よりも必要な闘争心をサンパオリなら注入できると思っていた。

しかし、アギーレが来日、そして八百長疑惑で解任。新監督を探すことになり、一から出直すことを余儀なくされている。その責任を負うはずのサッカー協会の幹部に処分がなかったことについての意見は、前回のコラムで記したので不承不承ここでは控える。

サンパオリはワールドカップ後もチリ代表監督を続投しているが、もし日本がオファーを出していれば、それはチリのよりも高待遇だったことは言うまでもないことだろう。

まだ無名で有能な監督がリベルタドーレス杯にはいるはずである。日本サッカー協会は「欧州のトップクラス」などと指を咥えてばかりいないで、リベルタドーレス杯にも注視してもらいたい。スポンサー資金を湯水のごとく浪費するだけが能ではない。むしろその浪費癖にはNO(ノー)と言いたい。

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