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.政治  投稿日:2026/4/21

玉木代表「ガソリン補助金5月末枯渇」補正予算編成を要求


安倍宏行(Japan In-depth 編集長・ジャーナリスト)

【本稿のポイント】

・玉木雄一郎・国民民主党代表が補正予算の今国会編成を政府に要求。

・ガソリン補助金は「最悪5月末で枯渇」、連休明けの議論開始を求める。

・4月の党首討論見送りに抗議、5月以降は月1回の開催を要求。

国民民主党の玉木雄一郎代表は4月21日の定例記者会見で、ガソリン補助金が早ければ5月末にも枯渇するとの懸念を示し、今国会中の補正予算編成を政府に強く求めた。政府は現時点で補正予算は不要との姿勢だが、玉木雄一郎代表は「先手先手で景気腰折れ防止策を行うべき」と牽制。4月の党首討論実施見送りにも抗議し、5月以降は月1回の開催を求めた。本紙編集長が会見冒頭で質問した。(Japan In-depth編集長)

ガソリン補助金はなぜ5月末に枯渇するのか?

会見冒頭、本紙編集長は補正予算の必要性について玉木雄一郎代表に質問した。政府からは当面の補正予算編成の意思が示されていない一方、ガソリン補助金は早ければ6月にも枯渇するとの指摘があり、景気の腰折れが懸念されていた。

これに対し玉木代表は、「最悪5月末でガソリン、あるいは燃油対策の補助金は切れてしまうので、早急な対応が必要。今国会中の補正予算の編成が必要」と明言した。連休前に党として経済対策を取りまとめ、連休明けには補正予算の議論に入るべきとの認識を示した。

玉木代表が指摘した補助金は、資源エネルギー庁が3月19日から実施している「イラン情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置」を指す。ガソリン、軽油、灯油、重油、航空機燃料の小売価格が一定水準を超えた分について、政府が石油元売に補助金を支給することで小売価格を抑制する仕組みだ。
【出典】燃料油価格定額引下げ措置(資源エネルギー庁)

この措置の財源持続性については、野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏が4月9日のコラムで、補助金の支給単価と原油価格動向を踏まえた分析を公表している。玉木雄一郎代表が指摘した「5月末枯渇」の懸念は、こうした試算などを踏まえたものとみられる。
【出典】ガソリン補助金の予算枯渇シミュレーション(野村総合研究所・木内登英)

予備費1兆円はエネルギー対策に全額使うべきか?

玉木代表は会見で、2026年度予算に計上された1兆円の予備費を全額エネルギー対策に振り向けるべきではないとの考えを示した。「夏も暑くなる可能性があるし、梅雨期の集中豪雨はいつも起きる。今年度の予備費1兆円も、燃油対策、ガソリン対策、軽油対策に使えると見込まない方がいい。予備費は災害等の対策に残しておくべき」と述べた。

前日4月20日には岩手県沖を震源とする地震が発生し、津波警報が発令された(その後解除)。玉木雄一郎代表は会見冒頭でも地震への対応に言及しており、予備費を巡る発言は災害対応への備えを確保する観点からのものだ。補助金の財源が足りない場合は、予備費ではなく補正予算で対応すべきとの考えを強調した。

党首討論はなぜ4月に開催されないのか?

補正予算の必要性や経済状況の認識を巡り、玉木雄一郎代表は党首討論の実施を強く求めた。「補正の必要性や、現状の経済状況をどのように認識しているのか、細かい話はいいので大きな方向性について総理と党首討論で堂々と話し合っていきたい」と述べた。

玉木代表は「残念ながら4月は党首討論が行われない見通しだと国対から聞いている」と述べた上で、「できれば5月、6月、7月と、今年は特別国会が7月まであるので、残りの3か月、月に1回は党首討論を是非やっていただきたい」と、月例開催を強く求めた。

党首討論は衆参両院の国家基本政策委員会合同審査会として開催される。直近では昨年11月26日に、高市早苗首相と立憲民主党の野田佳彦代表、国民民主党の玉木雄一郎代表、公明党の斉藤鉄夫代表、参政党の神谷宗幣代表との間で実施された。今年に入ってからは開催されていない。【出典】令和7年11月26日 国家基本政策委員会合同審査会(首相官邸)

国民民主党の経済対策はどのような内容になるのか?

玉木雄一郎代表は、党としての経済対策を連休前にまとめる方針を示した。雇用対策については「コロナの時のような雇用調整助成金などについても手当てをする必要があるのではないか」と述べ、財政的な対応の必要性を指摘した。

一方、消費税について玉木代表は「賃金上昇率が物価上昇率を安定的に2%上回るまで」という従来の同党の政策の前提条件に触れ、「連合が4回目の集計で5%超を出した。いわゆるデフレギャップはなくなってプラスになっている」と現状を分析した上で、「消費税を一律5%(に下げる)ということについては、今の環境ではやるべきではない」と述べた。

その理由として玉木雄一郎代表は、供給制約が物価上昇の主因である現状を挙げた。「今、供給制約があちこちで起きていて、需要が盛んというよりも物が足りないという状況で物価が上がっている。供給力に制約のある中で需要サイドを喚起する形で財政出動してしまうと、物価上昇を助長するような政策になってしまう」と説明した。

その上で、支援策を講じるにしても「ターゲットを絞ること」と「供給力強化の分野に戦略的に財政出動を絞ること」の2つの視点が重要との考えを示した。

衆議院でも集中審議を行うべきではないか?

参議院では4月27日に予算委員会の集中審議が予定されている。玉木代表は「まず衆議院でも集中審議をやってもらいたい」と述べ、中道改革連合の国対にも交渉会派として協力を求めていると明かした。

「総理が何回も出るのが難しいというのであれば、衆参合同委員会である国家基本、つまり党首討論をやっていただきたい」と、改めて議論の場の確保を求めた。

記者の目

玉木雄一郎代表の主張の根底には、経済状況の変化に応じて政策を柔軟に見直すべきだという姿勢がある。一律5%減税の見直しは、デフレギャップ解消と供給制約という経済環境の変化を踏まえた現実的判断と言える。

補正予算・党首討論の要求は、野党が政府・与党に対して影響力を行使する手段でもある。電気料金はホルムズ危機で6月から上昇し始める。ガソリン補助金を続ければ予備費が枯渇するのは自明の理だ。そうしたなか、政府・与党が補正予算の編成が必要ないと考えているのだとしたら、納得いく説明が必要だろう。今国会の会期は7月までとされており、残された3か月で経済対策がどう具体化するか、政府・与党と野党各党の攻防が続く。

FAQ|よくある質問

Q. 緊急的激変緩和措置とは何か?

資源エネルギー庁が2026年3月19日から実施している燃料油価格抑制策。イラン情勢を踏まえた原油価格高騰を受け、ガソリン、軽油、灯油、重油、航空機燃料を対象に、石油元売・輸入事業者に補助金を支給することで、卸価格・小売価格を抑制する仕組み。支給単価は週ごとに更新される(資源エネルギー庁公式サイト)。

Q. 党首討論とは何か?

衆参両院の「国家基本政策委員会合同審査会」として開催される、首相と野党党首による討論。英国議会のクエスチョンタイムを参考に2000年に導入された。通常は45分の質疑時間を複数の野党党首で配分する(首相官邸・過去の党首討論記録)。

Q. 国会の予備費とは何か?

予算成立後に想定外の事態が発生した場合、内閣の判断で機動的に使える資金枠。国会での審議を経ずに内閣が使途を決められるため緊急時対応に適するが、使える総量には限りがある。災害対応や感染症対策など、当初予算で想定困難な事態への備えとして計上される。

*玉木雄一郎代表ほか各党議員への詳細インタビューは、Japan In-depthチャンネル(YouTube)で配信中。

写真)国民民主党玉木雄一郎代表 2026年4月21日 東京・千代田区
ⓒJapan In-depth編集部




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