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.政治  投稿日:2015/4/14

[宮家邦彦]【ヒラリー候補大統領選出馬に驚き無し】~共和党陣営はジェブ・ブッシュが有力~


宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)

「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(2015年4月13-19日)」

執筆記事プロフィールblogWeb

今週の原稿はワシントン発成田行の機上で書いている。米国ではようやく大統領選挙が動き始めた。ダレス空港で出発を待っている頃、ヒラリー・クリントン前国務長官がネット上で出馬を正式表明した。ニュースには違いないが、これに驚く米国人はいない。彼女の出馬は既に一年以上前から当然視されていたからだ。

確かに民主党内でのヒラリー人気はダントツだが、実は8年前も状況は似ていた。当時彼女はクリントン陣営の勝利を当然視し、オバマ陣営の力を過小評価したとも批判された。だからだろう、今回の出馬宣言では「我々は何も当然視しない」と言わずもがなのスローガンを敢えて前面に出した。8年前の轍は踏まないということか。

一方、共和党陣営はまだ星雲状態だ。ポール、クルーズ、ルビオ、ウォーカーなどの出馬が取り沙汰されるが、やはり本命はジェブ・ブッシュではないか、というのが筆者の旧友の共和党系選挙通の現時点での見立てだ。またブッシュ・クリントンかよ、と言いたくもなる。まあ、本選は来年11月だから、今何を言ってもあまり意味はないが、2016年は久し振りに「外交問題」がイシューとなる可能性があるとも感じた。

〇アメリカ両大陸

報じられた通り、米キューバ首脳会談が行われた。米国はキューバをテロ支援国リストから外すという。オバマは「キューバは脅威ではない」とも述べた。そりゃそうだが、オバマ外交の「歴史的成果」とはこの程度のものなのか。筆者には理解できない。

〇欧州・ロシア

今週は欧州人が真面目に仕事をしている。ちなみに13日には仏独露・ウクライナ外相会合が開かれるが、状況は変わらずだろう。今回ワシントンで欧州関係者の意見を聞いてみたが、どうも腰が定まっていない。米外交の優先順位は欧州・中東・アジアのどれかと聞いたが、答えはなかった。

〇中東・アフリカ

中東では今週も戦闘ばかり。14日にはイラク首相が訪米、18日には豪州外相が10年振りでイランを訪問する。ワシントンの中東関係者の多くがオバマ政権の対中東政策に批判的だったが、それを公言するのは共和党関係者ばかり。本当は民主党内の「沈黙する少数派」が一番正しいのではないかと確信した。もう手遅れなのだが・・・

〇東アジア・大洋州

今週は日韓が関係する国際会議が目白押しだ。13-17日にソウルで第7回日中韓自由貿易協定(FTA)交渉会合、14日には同じくソウルで日韓安保対話が、更に16-17日にはワシントンで日米韓外務次官協議が開催される。議論の進展を祈りたい。

〇インド亜大陸

インド首相が12-14日にドイツ、14-16日にカナダをそれぞれ訪問する。ハノヴァー見本市にはインド300社と17の州代表が参加するそうだ。今週はこのくらいにしておこう。

いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

タグ宮家邦彦

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