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.国際  投稿日:2015/3/31

[宮家邦彦]【中東に新たな紛争勃発か】~サウジが対イエメン軍事作戦へ~


宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)

「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(2015年3月30-4月5日)」

執筆記事プロフィールblogWeb

今週は欧米がイースター(復活祭)休暇に入る。イースターとは春分の日以降の初満月の次の日曜日のことで、EUでは4月2日から6日までが休みになるという。但し、イースターとは西方教会の言い方で、東方の正教会ではパスハ(過ぎ越し)と呼ばれる。また、両教会では年によって復活祭の時期が異なる場合があり、2015年は西方が4月5日、東方は4月12日となるそうだ。

 

〇中東・アフリカ

イエメン情勢が気になって仕方がない。サウジアラビアが本気で軍事作戦をやろうとしているからだ。報じられるように地上戦をも辞さないのか。それともカイロを巻き込んで地上戦はエジプト軍に任せ、サウジは空軍による攻撃に集中するのか。

いずれにせよ、サウジはルビコンを渡ってしまった。もう、パレスチナ問題どころではない。イランが支援するフーシー族を力で圧倒する気だ。全てが緩慢にも思えたリヤドがこれほど迅速に動くとは思わなかった。サウジアラビアの危機感は尋常ではない。

〇欧州・ロシア

西欧諸国では4月1日までに仕事が終わる。30日には昨年就任したユンカー欧州委員会委員長が同じく新任のモゲリーニ外交担当委員とともにウクライナを訪問し、同国指導部と会談を行う。こんな時期では力も入らないだろうから、何も起きないはずだ。

1日にはフランクフルトで欧州中央銀行の役員会議が開かれ、その後はイースターに突入する。2日以降、外交面で目立つのはギリシャ与党関係者のブルガリア訪問やロシア外相のスロヴァキア訪問ぐらい。いずれも東方教会系の国だからだろう。

〇アメリカ両大陸

米国の大統領選挙戦が徐々に動き出している。但し、今声を上げているのは元米大企業社長だった女性とか、ティーパーティー支持の知事などで、本命というよりは泡沫に近い。経験則上、本命候補が出てくるのはもう少し後だ。更に、彼らの中から候補者が最終的に絞られてくるのは大体本選挙の一年前、すなわち今秋からだろう。

〇東アジア・大洋州

30-31日に米国のルー財務長官が訪中する。アジアインフラ投資銀行(AIIB)の行方がこれで見えてくるだろう。個人的にはAIIBなど放っておけば良いのに、と思うのだが・・・。金融は専門ではないので、これ以上のコメントは差し控える。

目立たないが、今週30日から4月1日までインドネシア・豪州が共催で海洋安保机上(Desktop)演習がジョグジャカルタで開かれる。同地はインドネシア古都であり、有名な観光地でもある。この演習には両国のほかに16カ国が参加するそうだ。

〇インド亜大陸

今週は30-31日にインド国防相が訪日する。インド地元紙は同国防相が初外遊先として日本を選んだことには戦略的意味合いがあると分析していた。そういえば、インドが日本の潜水艦に関心を持っているとの報道もあった。真偽は不明だが、中国を刺激することだけは間違いないだろう。今週はこのくらいにしておこう。

いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

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