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.社会  投稿日:2015/6/1

[Japan In-depthチャンネルニコ生公式放送リポート]【川崎中一殺害事件、子供のサインを見逃すな】~ジャーナリスト渡辺真由子氏に聞く~


2015年3月11日放送

Japan In-depth 編集部(Aya)

世間を震撼させた川崎中1殺害事件。少年による少年の殺人事件ということ、またその残虐性がショッキングで注目を集めた。何故このような凄惨な事件を、少年たちは引き起こしたのか。子供達の社会に何が起こっているのか。ゲストはメディアジャーナリストの渡辺真由子氏。元テレビ記者で、中高生への取材も多く行い、著書に『ネットいじめの真実』などがある。ネット時代の子供達が抱えている問題について聞いた。

渡辺氏は、博多でのテレビ記者時代、いじめによる自殺事件の取材を担当した。ちょうど携帯電話を持つ子供がぽつぽつ出始めた頃で、携帯による恐喝が行われた。それまでは固定電話の時代だったため、親が気づくことができ、抑止力が働いたが、「携帯電話を使ったいじめでは、親のブロックが働かなかった」と渡辺氏は語る。いじめを受けていた少年は、一晩に70回以上の電話を受けることもあったという。少年は無茶な要求と脅迫に耐えられず自殺し、いじめていた少年たちは恐喝未遂で施設に送られたが、半年程度で出所している。

今回の事件の容疑者は、17歳2名と18歳1名のいわゆる不良グループの少年だ。不良グループの質的な変化について渡辺氏は、「昔に比べると、暴行のやり方が変わっている。昔だったら大人に見つからないように顔にはやらなかった。しかし、今回は顔に怪我をさせている。抑制が効かなくなっているのか、大人に見つかったらという想像力も無くなっているのか…」と疑問を呈した。

また、彼らの殺害方法がISILの影響を受けているのではないかと言われていることについて、「頻繁に流れた映像を中学生が見て、かっこいいと思ってしまう可能性もある」と渡辺氏は語り、安倍編集長も「だからあの映像とテロリストの肉声を頻繁に流すのはどうかと思った」と、テロリストのメッセージを流し続けた日本のメディアを批判した。

今回の事件をなぜ周りの大人は止めることができなかったのか。日本でも、スクールサポーターやスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど、様々な子供の相談先が設定されている。しかし、それらが十分活用されているとは言い難い。川崎市は今回の事件を受け、ダイヤルSOSを始めたが、これも実は以前から違う名前で存在していたものだという。これらの機関が、児童相談所や警察と横の連携をとって動かなければ、解決にはつながらないだろう。

こうした中、少年法の年齢引き下げについて、議論が活発化している。渡辺氏は「厳罰化が抑止力になっているとは言えない」と述べ、厳罰化しても飲酒運転がなくならない例を挙げた。さらに、過去の事件によって少年の社会復帰が難しくなり、社会から疎外されて再び罪を犯すのではないかとの懸念を示した。

今回の事件を起こした少年がハーフでいじめを受けていたことから、移民の問題にも社会の関心が集まっているが、これについて渡辺氏は「移民=犯罪ではないので、移民をやめるというのは短絡的」と批判した。安倍編集長は「移民の数が少ないから目立つのであって、もっと増えたら当たり前になるのではないか」との考えを述べた。

LINEなどの普及で、少年たちのいじめはさらに見えにくくなっている。小さな異変やサインを見逃さないために、有効な相談体制を構築し、それぞれが情報共有をしていくことが大切だ。また根本的解決としては、セーフティネットを強化し、困窮家庭へ支援することで、生活に余裕が生まれ、いじめを減らすことにつながるのではないか。今回のような悲惨な事件が二度と起こらないよう、早急な対策が必要だ。

(この記事は、ニコ生【Japan In-depthチャンネル】2015年3月11日放送 を要約したもです。録画はこちら
ニコ生【Japan In-depthチャンネル】


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