[細川珠生]【パリのテロから何を学ぶか】~自分なりのニュースソースを持とう~
「細川珠生のモーニングトーク」2015年11月28日放送
Japan In-depth 編集部(Aya)
テーマは先週に引き続き、パリで起きたテロについて。創刊2周年を迎えたJapan In-depthの安倍宏行編集長を迎え、議論した。パリで起きたテロの脅威は未だ続いている。この問題をめぐり、シリア問題で対立していたロシアとフランスが手を組んだり、トルコがロシア機を撃墜したりと世界情勢が動いている。しかし、日本ではあまり大きく取り上げられていない。「地理的な要因も大いにあるとはいえ、日本はこの辺りの情勢について全然わかっていない気がする。」と細川氏は指摘した。
マリやチュニジアでも、パリで起きているような事件が日常茶飯事的に起きている。いずれにせよ日本から遠く離れた地の出来事だ。「日本国民は安心しきっている側面もある。」と安倍編集長。オウムが起こした地下鉄サリン事件の現場に居合わせた経験を持つ安倍編集長は、一歩間違えば自分が被害者になるという恐怖を語り、「テロは卑劣で残酷で、こんなにひどいものはない。許してはいけない。」と強調した。
パリのテロの後、靖国神社のトイレに爆発物が仕掛けられるという事件があった。「そういうことに対してあまりにも呑気すぎる」と細川氏。さらに、「(日本人は)国際情勢に関して疎い。物理的要因があるにしても、もう少し知らないといけない。」と日本人の無知、無関心に警鐘を鳴らした。
中東と日本は離れているとはいえ、日本は中東から様々な資源を輸入してエネルギーをまかなっている。その船は南沙諸島を通ってくるのだから、当然、中国の問題も重要だ。細川氏は、「色々なことが繋がっている。中東に関心がなくても、日本は中東のオイルを使っている。もっと関心を持って自ら知る努力をしなければならない。」と話し、グローバルな視点を持つことの重要性を主張した。
日本でテロは起きにくいとは言っても100%ではない。細川氏が先日NYを訪れたときは、どこへ行くのも金属探知機があったというが、日本では官公庁ですら全ての入口に金属探知機があるわけではない。安倍編集長は、「我々自身ももう少し普段の日々の生活の中で、ある程度危機意識を持つことが大事。」と述べた。また、万が一テロや災害などにあった際にどうやって逃げるか等、日ごろから想像力を働かせて生活をすることが大事だと説明し、「一番怖いのはテロが起きた時に思考停止になってしまうこと」と語った。
関心を持つためには情報収集が必要不可欠であるが、パリのテロ直後、日本のメディアでは情報が遅いため、細川氏はCNNやBBCで情報を得ていたという。既存メディアの海外ニュースの第一報が届く前に外国のメディアやインターネットを使って情報収集する人が増えているが、インターネット上には様々な情報が溢れかえっている。「良質で、きちんとした情報を得るためにはどのようなことを心掛けるべきか」と細川氏が質問すると、安倍編集長は「普段から色々なメディアの情報を比較検討し、自分なりのニュースソースを決めておくこと」と答えた。
海外のニュースは、翻訳するため、日本のメディアは二次情報、三次情報になるため、事件が起きた、その国のメディアの情報を直接とることが大事だという。「何か一つの情報を鵜呑みにして拡散してしまうと、デマの拡散に加担してしまうことになる」と安倍編集長は警鐘を鳴らした。
日々世界情勢が変化し、先の事は予測しがたい時代になってきている。「子供を育てている母親たちも、世界地図を広げた中で、子供たちが生きていく将来がどういう風になっていくのだろうかと考えながら子育てしてほしい。」と細川氏は訴えた。安倍編集長は、家族の食事の中で世界情勢を会話することを提案した。自分の手で自分の身を守るため、自ら学び、日々考えることが必要だろう。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2015年11月28日放送 の内容を要約したものです)
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