米国民、メディアよりトランプ氏支持
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
アメリカのトランプ大統領と主要ニュースメディアとの対決はさらに険悪となっているが、最新の世論調査ではアメリカ国民のより多くが大統領の側を支持しているという結果が出た。大手メディアも政府に非難され、国民からも不支持となると、存立の基盤までを揺さぶられる深刻な状態へと追い込まれかねないようだ。
共和党のトランプ大統領と民主党支持のニューヨーク・タイムズやCNNニュースなどの主要メディアとの正面対決はさらにエスカレートの様相をみせている。では肝心のアメリカ国民はこの対決をどうみるのか。意外な結果を示す世論調査が明らかとなった。
2月28日に明らかとなったウォールストリート・ジャーナルとNBCニュースの共同世論調査によると、51%のアメリカ国民が「メディアはトランプ大統領に対して批判的すぎる」とみなしているという結果が出た。同時に53%が「ニュースメディアやその他のエリートたちはワシントンでの変化を恐れて、政府が抱えた問題を誇張している」という見解への賛意を表明したという。
同じ世論調査によると、41%は「メディアはだいたいは公正で客観的だ」と判断し、45%が「メディアが実態を誇張しているという見方には反対」だと答えた。一方、6%は「メディアはトランプ大統領に対して十分に厳しくない」と答えたという。
さらに26日に報じられたエマーソン大学が実施した全米世論調査では、現在の大統領対メディアの対立で「トランプ政権の方が正直だと思う」答えた人が全体の49%に達した。「トランプ政権は不正直だと思う」という回答が全体の48%となったという。
同じ調査によると、「メディアは正直だと思う」という回答が全米有権者の39%、「メディアは不正直だと思う」が53%にまで達した。
こうした最新の世論調査を総合すると、アメリカの一般国民の間では主要メディアへの信頼はトランプ大統領に対する信頼よりも全体としてかなり低いことが判明した。
これからまだまだ続くトランプ大統領対主要メディアとの対決だが、いまのところ一般のアメリカ国民のより多くはトランプ大統領側に軍配をあげているという感じだといえる。この点も日本の主要メディアがどう報じているのか。日本もアメリカも主要メディアへの風当たりが一段と厳しくなったことは確実なようだ。
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この記事を書いた人
古森義久ジャーナリスト/麗澤大学特別教授
産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授。1963年慶應大学卒、ワシントン大学留学、毎日新聞社会部、政治部、ベトナム、ワシントン両特派員、米国カーネギー国際平和財団上級研究員、産経新聞中国総局長、ワシントン支局長などを歴任。ベトナム報道でボーン国際記者賞、ライシャワー核持込発言報道で日本新聞協会賞、日米関係など報道で日本記者クラブ賞、著書「ベトナム報道1300日」で講談社ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。著書は「ODA幻想」「韓国の奈落」「米中激突と日本の針路」「新型コロナウイルスが世界を滅ぼす」など多数。