2017総選挙ファクトチェックプロジェクト
国際  投稿日:2017/2/12

呆れたメディアの誤報 日米首脳会談

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古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

「古森義久の内外透視」

日本の大手メディアのトランプ報道には気をつけよう。大きな誤報を続出するからだ。2月10日の日米首脳会談の報道でも見通しをまちがえたのである。

米国のドナルド・トランプ大統領と日本の安倍晋三首相のワシントンでの首脳会談は普通に考えれば、成功だといえよう。日本の当面の国益という観点からして、同盟相手のアメリカが日本の防衛への誓約を強調したことは、どうみてもマイナスではないだろう。とくにトランプ大統領が中国の脅威が迫る尖閣諸島も有事には確実にアメリカが日本を支援して防衛する対象だと明言したことの意味は大きい。

一方、経済問題では日米両首脳間には摩擦も対立もなかった。少なくともこの首脳会談でのやりとりではその種の案件が持ち出されなかったというのが公式の発表だった。ところが日本の主要メディア、とくに朝日新聞などはこの会談ではトランプ大統領が自動車や為替の問題を持ち出して、日本を批判し、譲歩を迫ってくるという報道をさんざんにしていたのだ。

誤報のたれ流しだった。「たれ流し」などという響きのよくない言葉は私はふだんまず使わないのだが、今回はこの表現がまさに適切だと思える。いまの日本の主要マスコミの間にはトランプ大統領の悪いことなら、なにを報じても構わない、という傾向が目立つのだ。

今回の朝日新聞の誤報の具体的実例を紹介しよう。

≪(日米首脳会談で)トランプ氏は自動車貿易を重要課題とする構えで、二国間の貿易協定や為替政策に言及する可能性もある。通商・金融分野をめぐり、どのようなやりとりが交わされるかが焦点となりそうだ。≫(朝日新聞2月11日朝刊1面記事

上記の記事には≪車貿易や為替 焦点≫という大きな見出しがあった。

朝日新聞のその前日の2月10日夕刊も、もっと明確だった。

結果としてまちがった予測を見出しにうたっていたのだ。

≪自動車、重要議題に≫

上記の見出しの記事本文は冒頭で以下のように述べていた。

≪トランプ米大統領が10日の安倍晋三首相との日米首脳会談で、自動車貿易をめぐる協議を重要議題に位置づけていることがわかった。≫

ところがである。現実の日米首脳会談では朝日新聞がこのよう

に予言していた自動車問題も為替問題も出なかったのだ。トラ

ンプ大統領はそうした案件を提起しなかったのである。

朝日新聞の2月12日朝刊の記事をみよう。日米首脳会談が終

わった段階での報道である。

≪トランプ氏が問題視していた日本の自動車貿易や為替政策も取り上げられなかった。≫

なあんだ、という報道である。つい前日まで連続して、「自動車と為替」が主要課題としてトランプ大統領から提起されるぞ、と警告めいた筆致で報道していたのに、実際にはそんな提起も言及さえもなかった、というのである。これが誤報でないのなら、誤報というのはどんな報道を指すのだろうか。ついそんな嫌みもいいたくなる。

とにかくいまの日本のトランプ報道は無責任である。ずさんでもある。その背後には日本側の識者とかアメリカ通とされる人たちがとにかくトランプ大統領の片言隻句をとりあげ、悪い方に、悪い方に、と解釈して、悪口雑言を浴びせるという流行が盛んだという現実が広がっている。

 

 

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この記事を書いた人
古森義久ジャーナリスト

産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授。1963年慶應大学卒、ワシントン大学留学、毎日新聞社会部、政治部、ベトナム、ワシントン両特派員、米国カーネギー国際平和財団上級研究員、産経新聞中国総局長、ワシントン支局長などを歴任。ベトナム報道でボーン国際記者賞、ライシャワー核持込発言報道で日本新聞協会賞、日米関係など報道で日本記者クラブ賞、著書「ベトナム報道1300日」で講談社ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。著書は「危うし!日本の命運」「中・韓『反日ロビー』の実像」「トランプは中国の膨張を許さない!」など多数。

古森義久

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