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.国際  投稿日:2014/3/26

[藤田正美]<ウクライナ危機の対処が試金石>アメリカが失速する今だからこそ問われる日本外交


Japan In-Depth副編集長(国際・外交担当)

藤田正美(ジャーナリスト)

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とうとうソチでのG8は流れてしまった。G7各国がロシアの先進国クラブ「会員権」を停止したのである。もちろんロシアは、いまさらG8という時代でもあるまい、と歯牙にもかけない。実際その通りだと思う。

2008年のリーマンショックの後、G8が世界経済を破滅の淵から救うためにできることは限られていた。そもそも震源地がアメリカだったし、ヨーロッパも軒並みサブプライムローンの影響を被り、住宅バブルが弾けていた。被害が少なかった日本は、デフレという慢性病にかかっていた。

世界経済を救うために集まったのはG20である(G20の首脳会議が開かれたのはこの2008年秋のワシントンが初めてだった)。そこで巨額の資金を投じて世界経済を救ったのは中国であり、成長力があったアジアの国である。

少し大げさに言えば、かつてのG7は2008年を境に影響力を失ってしまったことが白日の下にさらされた。それはすなわちアメリカの影響力の衰退ということでもある。すでにアメリカは軍事的に世界で二つの戦線を開くことはできなくなった。だからイラクやアフガニスタンから撤退して「アジアシフト」と主張する。実際はアジアシフトさえも財政悪化のために危ぶまれているという現状なのだ。

その意味で韓国の動きが興味深い。朴大統領になってから、韓国は中国シフトを一段と強めている。そして日本とは一線を画す姿勢を明確にした。それは東アジアの力関係が変わりつつあるからだ。もちろん朝鮮半島と中国の長い長い歴史的関係も背後にある。それに何と言っても、地理的に近いし、北朝鮮という厄介な存在が隣にいるという「共通の利害」もある。

日本はアメリカとの同盟関係によって戦後復興を成し遂げ、世界第二位の経済大国になった。そのサクセスストーリーから抜けられない状態だと思う。老大国になりつつある今、必要なことは新しい地平をどう切り開くのかというしたたかさだ。アメリカとうまくやるのはもちろん、ロシア、韓国、ASEAN(東南アジア諸国連合)、オーストラリア、インドなどとどのような手を打ちながら、「隣の超大国」とつき合うのかということである。

中国は巨大な経済・軍事大国であり、さらに国力を強化することは目に見えている。もちろん内部的に少数民族問題を抱えているとはいえ、それが直接の原因になって、国が分裂するようなことはあるまい(というより、そんなことになったら世界経済への影響は計り知れない)。

問題はその中国が拡張主義に走るのかどうかというところにある。今の時代になかなか難しくても、13億の民を養うために必要だと指導部が考えれば、ちゅうちょなく拡張政策を取るだろう。少なくとも軍事的な拡張の前に、経済的な拡張政策は取るはずだ。ASEANが最も警戒するのはそこだ。

それだけに世界三位の経済大国である日本が、東アジアでどのような舵取りをするのかが注目されている。これまでは外交上の失点があっても、アメリカとの関係を背景にリカバリーできたが、アメリカの力が弱まってくればそうもいかない。ちょっとした失策も許されない外洋航海に乗り出す態勢は整っているのだろうか。ウクライナ危機への対処はその試金石となるのかもしれない。

 

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