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.政治  投稿日:2019/6/4

「衆参W選、ありうる」国民民主党代表代行古川元久衆議院議員


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

編集長が聞く!」

【まとめ】

・大義なき衆参W選実施濃厚。選挙前の野党間話合いあきらめない。

・安倍長期政権の成果に疑問。経済政策も効果限定的。

・孤独対策担当大臣、住宅面積倍増計画等独自政策を打ち出す。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=46123でお読みください。】

 

この夏の参院選を前に、永田町の「解散風」、いつものことだが、強まったり、弱まったり。果たして、衆参W選はあるのか?マスコミ政治部の興味はもっぱらそこにあるようだ。当然であろう。もしあれば今年の一大政治イベントに違いないのだから。が、有権者にとってそんな永田町の論理は理解不能。なぜに解散?なぜにW選?そう思って当然だ。政治とは国民のそうした普通の感覚とは全く乖離しているものなのだから。

ともあれ、野党の幹部はこの「解散風」、どう感じているのか。単刀直入に聞いてみた。今回は国民民主党の代表代行である古川元久衆議院議員だ。ダブル選の可能性は感じていますか?

古川: 十分感じています。安倍首相は非常にやりたがっていると思います。私が安倍さんの立場だったらやりたいと思いますね。チャンスがあればやりたいと思っていると思います。政権の立場で考えると、「選挙は勝てるときにやる」。それより大事なのは「負けないときにやる」ということです。今の野党の状況や経済状況を見たら、後にずれるほど、勝てないリスクが高くなる。できれば早めにやりたいと思うでしょう。その最短がダブル選です。ダブル選がなくても秋の選挙ということもあるのではないかなと思っています。

しかし、W選といっても衆院解散の大義はあるのだろうか?リーマン級のショックも起きていないような・・・

古川: でも安倍さんが首相になってから、大義は関係なくなってますよね。安倍首相からすると選挙は勝てるときにする、それの何が悪いんだと開き直ってますよね。前の選挙の時も「国難」だというのは後からつけた感じだし、その前のもですよ、消費税の引き上げを延長したから国民に問うということでしたが、増税をやめることに反対する国民はいませんよね。選挙しなくても明白な話でしょう。

増税するから国民に信を問う、というならわかる。しかし当時マスコミはそう指摘しただろうか?

古川: いわゆる、「かっこがきの大義」はいくらでも後から作れると思っているのではないですかね。令和の時代になったからとか、又消費税延期とかあるかもしれないですし。そうでなくても理屈はいくらでも作れる。国会で憲法の話が動いていない、それでいいのか?などという理由もあるかもしれない。

要するに何でもあり、ということか。それはそれで国民不在と言わざるを得ない。とにもかくにも、安倍政権は7年目に入り、私たち有権者もきちんと政権を評価しなければいけない時期に来ている。

古川: 安倍さんも私も6年やってきてるけど、安倍首相は何か形を残したのでしょうか。景気が良くなったと言いますが、ありとあらゆる政策をやってもこの程度しか良くなってないですよね?約束していた2%のインフレ目標もいつ達成できるのか。株だって、日銀が買い支えているわけで、官製相場で高くはなってますが、経済が本当に強くなっているのであれば日銀の株を売ればいいじゃないですか。でもそうはできない。

確かにアベノミクスの限界論はある。一向に景気は上昇気流に乗らない。インフレが起きるどころか、デフレ脱却はまだだ。トリクルダウンという言葉を聞かなくなって久しい。子育て世代の生活が楽になったという話もついぞ聞かない。過去最高益を享受しているのは、一部の「一部上場企業」だけだ。

古川: オリンピック景気もあってこれですよ。米中貿易摩擦もあるし、世界経済も今後不透明感が増してくる。これから日本経済だけ良くなっていけるかと言ったらそれは違うだろうと。

▲写真 ©Japan In-depth編集部

 

■ 野党の動き

そうした中、現下の分裂状態でいいと思っている野党議員はいるまい。個別に話を聞けば、誰もいまのままで与党に勝てるとは思っていない。

古川: 小選挙区制は二大政党による政権交代を目指して作られたものです。野党が小さくまとまっていると、この選挙制度では不利になります。一方で自民党も昔のような派閥間での切磋琢磨も起きにくい。今の選挙制度でいいのかと言う議論はあります。しかし、こういうゲームのルールの中でどう政治を良くするか考えなければいけない。

国民民主党と立憲民主党の若手議員に話を聞くと、党の垣根を越えて勉強会などやっているという。問題は上層部にあるのではないか?角突き合わせていても活路は見いだせない。国民民主党と立憲民主党、幹部同士の意思の疎通はどうなっているのだろうか?

古川: 枝野さんと玉木代表は話をしているようです。民主主義のプロセスというのは、議会の中で違う意見も含め議論して一定の結論を出していくものじゃないですか。そういう意味で(野党が)まとまっていくと言うのはいろんな意見を集約していくという、民主主義の1つのプロセスでもあると思います。

とはいえ、参院選まで後2ヶ月を切った。W戦の可能性すら濃厚となってきた今、野党各党の選挙前の合流はほぼ不可能ではないだろうか?

古川: 私はまだあきらめてはいません。逆に衆参ダブル選の可能性が出てきたことがいろんな動きを野党に起こしている事は間違いないと思います。私は可能性はあると思っています。とにかく与党と野党の対立構造を作っていかないといけません。

しかし、立憲民主党は連立政権の前提となる野党連合には後ろ向きで、あくまで単独で政権を目指す考え。同党が他党と連立政権を組む可能性は低い。国民民主党と共通政策などで合意ができるかどうかは不透明だ。

 

■ 国民民主の政策

自民党と民主党が二大政党の形になったときには、政策をめぐる議論が行われ、国民もメディアも関心を持ったと古川氏は振り返る。今、どのような政策を国民に訴えていこうとしているのか。

古川: 川崎の事件でも孤独・孤立の問題がクローズアップされています。党として孤独対策担当大臣を作ろうと思っています。それから、どうしたら家計が潤うのか、日本の経済を立て直すためには、内需をどう増やしていくのかです。そこで、私は「住宅面積倍増計画」を提唱したいと思っています。日本は衣と食は足りているが、住は先進国の中でよくない。これから直面するのは人口減少。どんどん空き家が増えている今こそ住環境をよくしていく必要がある。住空間が広ければ新たな需要が生まれる。暮らしも変わる。そういう政策議論で戦うことが大事だと思います。

中高年の引きこもりの問題は深刻な社会問題となっている。潜在的にその数は200万人に上る、という学者もいる。(参照記事:「中高年引きこもり、復帰しやすい環境を」筑波大学斎藤環教授)「住環境倍増計画」はこうした問題解決に貢献できると古川氏は言う。

古川: わたしが考えているのは、高齢者が公共的な低賃金で住める住宅を建て、新しいコミュニティを作ることです。そうした住宅の中に、新しい家族の形、擬似的なファミリーが生まれる。中庭などにシェアスペースを作り、共有で使うところは使えば、お互いが斜めの関係を築くことができます。

選挙の夏はもうすぐそこだ。野党はどう政策面で与党との違いを打ち出していくのか。有権者たる私たちも無関心ではいられない。

(このインタビューは2019年5月31日に行われました。)

トップ画像:©Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年12月2日 東京都生まれ(60才)1979年慶応義塾大学経済学部卒業、日産自動車入社(海外輸出・事業企画)、1985年国際大学大学院国際関係学科修士課程卒、1992年フジテレビ入社報道局政経部記者、1998年ニューヨーク支局長、2002年ニュースジャパンキャスター、2003年経済部長、2006年解説委員、2009年BSフジ「プライムニュース」解説キャスター、2013年フジテレビ退社、危機管理コンサルティング会社設立。ウェブメディアJapan in-depth編集長就任。

安倍宏行

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