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.経済  投稿日:2024/4/14

【岸田政権への提言】歳出改革のためにはまずは国有財産を売ろう【日本経済をターンアラウンドする!】その22


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

【まとめ】

少子化対策として、政府が公的医療保険を通じて集める「子ども・子育て支援金制度」。

・国有財産の売却を提案する。

・令和4年度末の国有財産現在額は131.8兆円。

 

1人あたり平均月350円〜600円。

少子化対策の一環として、政府が公的医療保険を通じて集める「子ども・子育て支援金制度」で求められることになった国民の負担額だ。「支援金制度」と呼ばれる少子化対策に必要な1兆円の財源を調達するための新たな仕組みらしい。

国民の幅広い負担になり、一部には文句を言う人もいる。しかし、OECD諸国で劣る子育て環境を改善するためには必要であろう。子育てには関係ない筆者も仕方がないなと思う。また、政策手法に対して、優先順位が高いものに対して予算を配分するという意味で、英断とでもあり、岸田政権の取り組みについて評価をしたい。

こうした支援金に加え、国民年金の保険料は460円増えて1万6980円になったし、防衛増税などもあり、増税が実施されていくことになる。しかし、国民に負担ばかり求めるのはいただけない。岸田首相も「歳出改革」を言っている。

そこで提案だ。国有財産を売ろう!

 国が持つべき資産って何?

国家が色々財産をもっているのだから、売れるものを売ることが先ではないかなと思うのだ。家計に例えると、いろいろ使うお金が必要なら、使っていない土地やバイクや使ってないものは売るのは当然。国有地、庁舎・宿舎、政府保有株式などあるじゃないか。

「国有財産の現状と諸課題」(決算委員会調査室 奥井俊二氏作成)というレポートによると、国有財産の1つである「土地(国有地)」の総面積は約8万7664 ㎢で北海道より広く、国土総面積の約4分の1。

しかも、先のレポートによると、国有財産は増えているのだ!(下図)

▲図 【出典】決算委員会調査室 奥井俊二氏作成「国有財産の現状と諸課題」

財務省の資料「国有財産の現在額」を見てみよう。まず思ったのは未利用国有地0.5兆だが、大事なのは内訳である。

グラフ  低い精度で自動的に生成された説明

▲図 【出典】財務省「国有財産の現在額」

令和4年度末の国有財産現在額は131.8兆円。

・独立行政法人等への出資財産は98.2兆円

・行政財産は26.5兆円(土地が20兆円)

と独立行政法人への出資財産というのが多くをしめる。こうした独立行政法人のうち任務を終えた組織は廃止、徹底的業務改善、人件費の削減などをしていけば減ると思う。

たとえばその1つ、独立行政法人日本スポーツ振興センターは、過去に会計規則等に反して、公告で示した仕様書の内容を満たしていない物件を賃借する契約を締結するなどしていて、契約手続が不適正とされた。その額3億8千万円(詳細)。こうしたものは氷山の一角である。公的機関はコスト意識がある組織ばかりではないので、効率化を経営目標にセットして、業務効率化やDX化を進めて欲しいものだ 

 なぜ独立行政法人への出資財産なのか?

「国有財産一件別情報」というサイトを見ているとその量の多さにビビる。

▲図 【出典】「国有財産一件別情報」での検索結果

政府はできるだけ売却を進める、議員は売れそうなものを確認して省庁が持っているものの必要性を確認し提案してもらいたいものだ。「歳出改革をどのように進めるのか」を明確にし、国有財産を売却すること。岸田政権に期待したい。

トップ写真:財務省 出典:imagenavi/GettyImages




この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家


NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。


専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。

西村健

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