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.政治  投稿日:2023/9/26

「高岡発ニッポン再興」その99 新幹線「小松駅」停車の衝撃


出町譲(高岡市議会議員・作家)

【まとめ】

・来年3月の北陸新幹線延伸で、市が求めてきた定期便の新高岡駅への停車見送り。

石川県3駅、福井県4駅に停車。しかし富山県は富山駅1駅のみ。

・角田市長はJR東日本と西日本に謝意。今までの停車運動は何だったのか。

 

私が住居を東京から高岡市に移して驚いたのは、朝夕の幹線道路の渋滞です。人口が減っているのに、ナゼと、当初は不思議に思いました。すぐに理由はわかりました。多くの人が一人一台でクルマに乗って、通勤しているからです。地球温暖化の克服が急務とされる中、マイカーの依存度をどのように下げるか。重要な課題です。

期待されるのは、公共交通です。市民が気軽に、バスや鉄道などを利用する。これぞ、市が掲げる、持続可能な未来都市、高岡だと思います。二酸化炭素をなるべく出さない「美しい高岡」にも直結します。

さらに、高齢化とともに、免許返納者が増えています。バスに乗って出かけて買い物をする高齢者が増えれば、「優しい高岡」というイメージが強まります。それは高齢者の健康増進、つまり、医療費や介護費の削減につながります。

さらに、「開かれた高岡」という点で大事なのは、北陸新幹線です。来年3月16日には、北陸新幹線が敦賀まで延伸します。その発表の際に、私が驚いたのは、速達便の「かがやき」の定期便の停車駅です。

石川県では、金沢駅のほかに、本数こそ少ないものの、小松駅、加賀温泉駅に定期便が止まります。福井県では、福井駅と敦賀駅、さらに芦原温泉駅と越前たけふ駅にも定期便が止まります。

富山県では、定期便が止まるのは富山駅だけです。新高岡駅は2015年の開業当時から、「かがやき」に関しては、臨時便しか止まりません。JR側は当時、新幹線の速達便に関しては「1県1停車駅」が原則としていました。停車するのは、多くの停車駅に止まる「はくたか」が大半でした。

今回も新高岡駅では「かがやき」の定期便の停車は見送られました。それなのに、なぜ石川県では3駅、福井県では4駅に止まるのでしょうか。

このニュースが出た後、私の方に、なぜ、「かがやき」が止まらないのかと、さまざまな厳しい批判が寄せられました。無理もありません。

小松駅は、新高岡駅と同じように、ナンバー2の都市の駅です。小松市の人口は10万人ほどで、高岡市を大きく下回っています。

一方、新高岡駅は、飛騨、越中、能登合わせて80万人の玄関口です。さらに、高岡市には、瑞龍寺と勝興寺といった国宝が2つもあります。加賀藩ゆかりの北陸の主要都市なのです。

しかも、高岡市はJR側に、「かがやき」の停車を求めてきました。「かがやき」の停車は、高岡市民の悲願だったはずです。

ところが、角田悠紀市長は8月31日の記者会見でJR東日本と西日本に謝意を示しました。今までの停車運動は何だったのか。私はそこで、「かがやき」の停車に関して、質問しました。「かがやき」が止まるか、止まらないかは、極めて重要な政治課題です。私は市長答弁を期待していました。

トップ写真:E7系 北陸新幹線「かがやき」金沢市石川市(2017年10月5日)出典:MasaoTaira/GettyImages




この記事を書いた人
出町譲高岡市議会議員・作家

1964年富山県高岡市生まれ。

富山県立高岡高校、早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。


90年時事通信社入社。ニューヨーク特派員などを経て、2001年テレビ朝日入社。経済部で、内閣府や財界などを担当した。その後は、「報道ステーション」や「グッド!モーニング」など報道番組のデスクを務めた。


テレビ朝日に勤務しながら、11年の東日本大震災をきっかけに執筆活動を開始。『清貧と復興 土光敏夫100の言葉』(2011年、文藝春秋)はベストセラーに。


その後も、『母の力 土光敏夫をつくった100の言葉』(2013年、文藝春秋)、『九転十起 事業の鬼・浅野総一郎』(2013年、幻冬舎)、『景気を仕掛けた男 「丸井」創業者・青井忠治』(2015年、幻冬舎)、『日本への遺言 地域再生の神様《豊重哲郎》が起した奇跡』(2017年、幻冬舎)『現場発! ニッポン再興』(2019年、晶文社)などを出版した。


21年1月 故郷高岡の再興を目指して帰郷。

同年7月 高岡市長選に出馬。19,445票の信任を得るも志叶わず。

同年10月 高岡市議会議員選挙に立候補し、候補者29人中2位で当選。8,656票の得票数は、トップ当選の嶋川武秀氏(11,604票)と共に高岡市議会議員選挙の最高得票数を上回った。

出町譲

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