ケイコ氏トップも、2位候補決まらず―ペルー大統領選決選投票へ
■本稿のポイント
・ペルーで4月実施された大統領選は故フジモリ大統領の長女ケイコ氏が得票率1位になったものの、過半数には至らず、上位2候補による決選投票が6月行われる。
・ケイコ氏の決選投票進出は確実だが、2位争いは左派と右派候補の大接戦で決着がついていない。
・決選投票でいずれの候補が勝利しても、ペルー政治の行方は不透明だ。
南米ペルーで2026年4月12日に実施された大統領選は、故アルベルト・フジモリ元大統領の長女ケイコ・フジモリ氏(フエルサ・ポプラル党首)が得票率約17%でトップに立ったが過半数に達せず、6月7日に上位2候補による決選投票が実施される。第2位は左派ロベルト・サンチェス氏と右派ラファエル・ロペスアリアガ前リマ市長が僅差で争っており、選管の不手際による投票日延長や開票遅延も重なって、第1回投票の正式結果発表は5月半ばまでずれ込む見通しだ。(Japan In-depth編集部)
■第1回投票結果は5月半ばに
今回のペルー大統領選は当初から混乱が起きた。投票日の4月12日には全国200カ所以上で投票用紙や有権者台帳などが届かず、5万人以上の有権者が投票できなくなり、翌13日まで投票が延長された。このため集計・開票作業に大幅な遅れが生じた。ペルー選管によると、4月24日現在、開票率は約95%で、中道右派政党を率いるケイコ・フジモリ氏が得票率17.06%でトップ。これに続き、左派ロベルト・サンチェス元貿易・観光相が12.04%で第2位だが、右派ラファエル・ロペスアリアガ前リマ市長が11.90%と僅差で迫る。第1回投票での上位2候補が6月7日の決選投票に進む。
ケイコ候補の決選進出は確実だが、第2位の候補がサンチェス氏とロペスアリアガ氏のどちらになるかは予断を許さない。開票作業はさらに遅れる見込みで、選挙結果を公式に認定する「全国選挙審議会」(JNE)は第1回投票結果の発表が5月半ばまでずれ込むとの見通しを明らかにしている。
【出典】 Resultados Elecciones Generales 2026(ONPE 公式開票結果)/Jurado Nacional de Elecciones(JNE 公式サイト)
■不正選挙との声も、広まる不信感
現地メディアの報道によれば、有権者の間では選管当局の投開票への対応の不備や開票作業の大幅遅延に選挙への不信感が広がり、選管の最高責任者は辞任を余儀なくされる事態となった。ロペスアリアガ氏は選挙で不正があったと主張、開票作業の中止を訴えるとともに、選挙を無効としなければ全国規模で抗議行動を起こすと警告した。既に同氏の支持者数百人が首都リマで抗議デモを行っている。サンチェス氏は選挙結果が無視された場合には全土で支持者を動員する構えといわれ、混乱が増す可能性も指摘される。
ケイコ氏が決選投票に進み、サンチェス氏との戦いとなった場合は前回2021年の大統領選と同様に左右両派の激戦となるが、左派勢力の間に強いアンチ・フジモリ感情が反ケイコ票として噴出するかどうか、また、主要資源の国有化などを主張するサンチェス氏を有権者がどうみるかが勝敗のカギになろう。一方、「ケイコ対ロペスアリアガ」の場合には右派候補同士の対決となるが、トランプ米大統領の信奉者で一部で極右ともされるロペスアリアガ氏への有権者の評価が大きなポイントになる。
■どの候補が勝っても安定政権は望めず
ただ、どの候補が当選しても安定政権を築ける保証はない。いずれの候補の政党や政党連合も議会で多数派を確保できないことが確実とみられるからである。大統領選と同時に実施された議会選挙では今回から二院制が復活した。上下両院とも、ケイコ氏の「フエルサ・ポプラル」(FP)が最大の議席を獲得したものの、過半数には程遠く小党分立状態は必至。上院は60議席中、FPはこれまでのところ22議席、下院130議席中、40議席をそれぞれ獲得しただけにとどまっている。
その一方、二院制となる新議会では大統領の弾劾などが難しくなると指摘されている。仮に大統領を解任する場合には上下両院の3分の2の賛成が必要となり、これまでの一院制よりもハードルが高くなるからだ。ペルーでは過去10年間で大統領が8人も変わる異常事態が起きているが、現地の政治アナリストによれば、今後は大統領が目まぐるしく交代する可能性は少なくなるものの、大統領と議会との対立で政治が膠着状態に陥るケースが増えることが予想されるという。ペルー政治の先行きは依然不透明と言えそうだ。(了)
FAQ
Q1. ペルー大統領選2026の決選投票はいつ実施されますか?
A.2026年6月7日に実施される予定です。第1回投票でいずれの候補も過半数を得られなかったため、上位2候補による決選投票が行われます。
Q2. ケイコ・フジモリ氏とはどのような人物ですか?
A.故アルベルト・フジモリ元ペルー大統領の長女で、政党フエルサ・ポプラル(FP)の党首。今回が4度目の大統領選挑戦となります。2011年・2016年・2021年の大統領選にも出馬し、いずれも決選投票で敗れています。
Q3. ロベルト・サンチェス氏とはどのような候補ですか?
A.左派政党「フントス・ポル・エル・ペルー(Juntos por el Perú、ともにペルー)」が擁立した候補で、元貿易・観光相。前カスティジョ政権で閣僚を務めた人物です。経済分野への国家関与強化を主張しています。
Q4. ペルー議会の二院制復活とは何ですか?
A.ペルーは1993年憲法以降一院制でしたが、その後の憲法改正により二院制が復活し、今回の選挙から上院(60議席)と下院(130議席)の両院議員選挙が大統領選と同時に行われました。これにより大統領弾劾には上下両院の3分の2の賛成が必要となり、ハードルが高くなりました。
Q5. なぜペルー政治はこれほど不安定なのですか?
A.ペルーでは過去10年間で大統領が8人交代する異例の事態が続いてきました。背景には議会と大統領の権力対立、汚職スキャンダル、政党の小党分立化があり、頻繁な弾劾や辞任が続いた経緯があります。今回二院制が復活したことで、大統領交代の頻度は減るものの、政治の膠着リスクは残ると指摘されています。
写真)投票を終えた人民党のケイコ・フジモリ大統領候補 ペルー・リマ 2026年4月12日
出典)Raul Sifuentes/Getty Images









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