女性の健康は社会全体で考えよう~毎年のがん検診を習慣に~Japan In-depthx女性からだ会議®
Japan In-depth 編集部(Emi)
「美と健康」の為の習慣として実践して欲しいこと…。
“しっかり睡眠をとること”や、“季節の食材をおいしく食べること”も、もちろん大切だが、社会で活躍する女性が忘れがちなのが、女性ならではの体の不調と向き合うことだ。“毎年、誕生月には婦人科系がんの検診に行く”、そして“かかりつけ医を大切にする”。多くの女性にそんな習慣を付けてもらいたい。
フジテレビPRESENTS「素敵なスマートライフ」銀座校で24日行われた講座、「今すぐスタート!美と健康の習慣と正しい知識」に、一般社団法人シンクパール代表理事・女性からだ会議®ファウンダーの難波美智代氏と、Japan In-depthの安倍編集長が登壇した。
「社会の中で必要とされる存在になるには、自分の体の『危機管理』が必要。」会場に集まった女性たちを前に、6年前、36歳の時に子宮頸がんを患った際の気持ちを語った難波氏。キャリアを重ねる中、突然仕事が出来なくなるという経験から、まず婦人科系の検診の重要性を語った。
安倍編集長は、去年親友の奥さんが子宮がんで亡くなるなど、身近にも癌を発症する女性が多い一方で、まだまだ大手メディアが「ウーマンズヘルス」を取り上げる機会が少ないことを指摘した。
日本の子宮頸がんの検診率は、40%。先進国では70〜80%で、OECD諸国の中では最低レベルだ。付け加えると、女性の管理職比率や国会議員の割合も最低レベルという残念な状況だ。
若い世代の女性の代表としてトークイベントに参加した、中央大学1年生の坪井映里香さん(19)も、「検診を受けたことはない。」と言うが、中学生の時に「子宮頸がんワクチン」を接種した。坪井さんの世代はワクチンを接種している人も多いが、その後の副反応を巡る報道などにより、今は積極的な接種がストップしている状況もある。
会場では、難波氏による現代の働く女性の体についての解説もあった。まず指摘したのは、月経の回数だ。初潮の年齢も遅く、多産だった昔の女性の生涯の月経数は、50回程度と言われる。その一方、出産回数が少ない現代の女性の月経は約450回。月経による女性ホルモンの変動が体に及ぼす影響は小さくない。
このほど日本医療政策機構が公表した調査によると、婦人科系疾患を抱える働く女性の年間の医療費支出と生産性損失を合計すると6.37兆円にのぼるという。婦人科がん検診の受診率が高い国では、検診などへの公的な予算による補助や、定期的に婦人科を受診する仕組み作りなどが進められている。女性の活躍を推進する機運が高まる一方で、女性が働き続ける為の健康面への配慮は十分にされていないのが日本の現実だ。
安倍編集長は、テレビ局勤務時代に、激務から体調を崩す女性が多かったことをあげ、「男性も女性の体について知り、配慮していかないといけない。」と強調。女性が意識を高めるだけで解決する問題ではなく、社会全体で考えることが必要だとした。
女性が生物学的に妊娠・出産に適した時期はキャリアを形成する時期と一致しており、これまでは「女性として妊娠・出産する」か「バリバリ仕事するか」のどちらかを選ばなければならなかった。男性中心の社会の中で作られたキャリア形成の仕組みを、そのまま女性にあてはめることは難しく、それは働く女性にとって生きやすい環境とは言えない。
イベントの中では、例えば大学のキャリアセミナーで、もっと女性の体についても考えることも必要ではないかとの声も上がった。女性が美しく、健康に、そして生き生きと仕事をすることも自然に選択できるように、男性も、女性自身もより健康に対する意識を高めることが大切だ。
※トップ画像:©Japan In-depth 編集部