.社会  投稿日:2015/8/12

[難波美智代]【女性の生理を科学的に理解しよう】~男性が女性のからだについて知っておくべきコト 1~

150812NANBA01
Pocket

難波美智代(一般社団法人シンクパール(Think Pearl)代表理事、「女性からだ会議®」      ファウンダー、厚生労働省がん対策推進協議会委員)

「難波美智代の「女性のからだ」から未来の日本を考える」

執筆記事プロフィール

毎月の生理周期によるホルモンが性格にさえも影響してしまう!と言われる女性のからだ。実は、月経痛などの月経随伴症状を毎月反復することで多くの女性がクオリティオブライフ(生活の質)を著しく低下させていると言われています。そして、日常生活への支障や制限、労働への影響(休む、労働量・質の低下)から社会への経済的負担額が増加するなど、“医療経済学”的見地からも問題視されています。

2013年、日本人女性2万人に対して行われた調査(バイエル薬品社実施)によると、月経随伴症状(痛み、集中力、行動の変化、自律神経失調、水分貯留、否定的感情) のある女性は回答か得られた全体(n=18,174)の約74%で、月経痛は月経を有する全体(n=19,254)の約50%、過多月経(経血量か多い状態)は約19%に認められています。

月経随伴症状で通院経験がある女性は全体の約20%にとどまっているが、過多月経と感じている女性は、通院している割合がより高く、労働への影響がより顕著に見受けられます。社会への年間経済額(通院費用/市販薬の費用/労働損失の推計値合計)は6,828億円と推計されました。

女性の多い職場やこれから女性の活用が進む職場において、こうした女性ならではの健康リスクを認識するとともに理解を示すことは必要課題となります。特に月経痛が高頻度にみられる女性では、将来子宮内膜症発症のリスクが2.6倍高くなることが知られており(Treloar SA:Am J Obstet Gynecol 202(6),534.e1-6, 2010より引用)、また子宮内膜症の未治療で放置しておくと不妊の原因となる可能性があるため早期の専門家受診が必要です。

女性のからだは約1ヵ月に1回、卵巣から卵子を排出します(排卵)。また、それに合わせて子宮内膜を厚くし、受け入れ態勢を整えて受精卵を待ちます。

ところが、卵子が受精しなかった場合は準備した子宮内膜がいらなくなり、はがれて体外に排出されます。これが「生理」です。

排卵と生理のサイクルに大きな影響を及ぼしているのが女性ホルモンです。

◎ 生理初日から1週間は「月経期」。体温が下がって身体が冷え、血行が悪くなります。生理痛や頭痛、吐き気、倦怠感などの不調を感じやすく、生理の出血により貧血気味になります。

◎ 生理が終わってから排卵までの1週間程度は「卵胞期」。1ヶ月のなかで一番コンディションのよい時期です。卵胞ホルモン(エストロゲン)の影響で精神的にも安定し、心身ともに自信がみなぎり前向きに作用します。

◎ 排卵後から生理までの約2週間は「黄体期」。前半の1週間は、黄体ホルモン(プロゲステロン)分泌の増加に伴い、交感神経が優位になりハイテンションになることもあります。生理直前の1週間は、ホルモンバランスが急激に変動することにより、自律神経のバランスが崩れてイライラや不安が募り攻撃的になるなど、心が不安定です。また眠気が増したり眠れなかったり、不調が多く表れる時期です。

もちろん個性はあるものの、女性はからだのリズムがこんなにも日々の生活に影響しています。以前女性の多い職場でうまくマネジメントをされている男性上席の方にその秘訣をお聞きしたところ、なんとスタッフの生理周期をおおよそ把握することで、それぞれの状況に納得して仕事のタスクを配慮しているとのこと。女性のからだを科学的に理解することで職場の円滑なコミュニケーションや社員と会社の将来のリスクを回避できているよい事例でしょう。

ともすればセクハラに繋がりかねないデリケートな話題ですが、組織で体系的にルール化することで、より女性が働きやすい環境づくりと深刻な病気の予防に取り組むことができます。まずは知ることが重要なのです。

※トップ画像:生理のミカタhttps://www.seirino-mikata.jp)より引用

Pocket

copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."