[Japan In-depth チャンネルニコ生公式放送リポート]【身近な子宮頸がんを防ぐために】~女性からだ会議(R)難波美智代さん~
2015年9月9日放送
Japan In-depth 編集部(Sana)
今回のニコ生放送では、女性からだ会議®とのコラボ第二弾として、一般社団法人シンクパールの難波美智代代表理事が出演。今回は韓国出張中の安倍編集長に代わり、編集部AyaがMCを務めた。先日、厚労省が「この10年間で子宮頸がんの死亡率が5.9%増加している」という衝撃の予測を発表した。発症率も1990年から2010年の間で2倍に増えており、がんの中でもその増加が著しいという。難波氏は「唯一予防することができるがんであるにも関わらず、予防への意識が低いことも一因だが、女性の出産年齢が高くなっているため、初めて産婦人科に行く女性の年齢も高くなっていることも大きい」と指摘し、「(子宮頸がんは)検診とワクチンでほぼ100%予防できるがんである」と改めて予防の重要性を訴えた。
日本の子宮頸がん検診受診率は2010年で37.7%とされており、2009年と比較して約10%上がったものの、この数値はアメリカ・ドイツ、フランスなどOECD加盟国と比べると約半分である。厚労省はがん検診受診率50%達成を目標としているが、「国の対策は効果的か」というAyaの質問に、難波氏は「国だけが取り組むべき課題ではないし、女性だけでなく男性も、『みんなが自分事のように』考えなければいけない課題だ」と答えた。
検診受診率の低さに関して、他にも幾つかの要因が挙げられた。神奈川県自治体アンケートによると、検診の個人通知(再勧奨)率は0%である。難波氏によると、検診に関する予算は一般財源化され、自治体によって検診に割く予算が異なるからである。
また小林が「なかなか自分の性や体に関して話す機会がなく、恥ずかしいと思ってしまうかもしれない」と話すと、難波氏は「最近は、がんを発見することが怖い、職場から解雇されてしまうと考え、検診を避けてしまう人もいる」と新たな課題を指摘した。
「教育が不十分なのではないか」というAyaの質問に対し、難波氏は「最近は小学校でも教える機会がある」と答え、「今後は、大学生に向けた女性からだ会議®を実施しようと考えている」と20代向けのイベントの必要性を訴えた。
子宮頸がんのワクチンは、副反応が大きな問題としてメディアに取り上げられ、接種に抵抗を感じる人も多い。先月、産科婦人科学会が接種を勧奨再開を求める声明を発表したが、発表により事態は変わるのだろうか。難波氏は「産科婦人科学会の調査によると、10万件に2件の割合で慢性疼痛・運動障害等が出ているとされている。一方で、WHOは安全で必要なワクチンであるとしている。その上で、厚労省が接種(勧奨)の再開を決断するかどうかはまだわからない。」と現状を伝えた。
「検診を受けることが当たり前」という考えを根付かせるにはどうするべきか。
がん患者の「病気や治療の情報の集め方」に関する静岡がんセンターの調査では「医師・薬剤師・看護師から」が69%、「インターネット」・「家族・友人・周囲の人」と答えたのがそれぞれ46%、38%であった。「医療関係者から情報を得ると答えた人が意外と低い」というAyaの意見に、難波氏も賛同し、「素人意見ではなく、きちんとした医療機関から正しい知識を教わるべきという意識を持つべきだ。」と述べた。今後もJapan In-depthと女性からだ会議®は、このテーマで情報発信を続けていく。
(この記事は、ニコ生【Japan In-depthチャンネル】2015年9月9日放送の内容を要約したものです。ニコ生【Japan In-depthチャンネル】))
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