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.社会  投稿日:2015/2/23

【誰と一緒にいるかで決まる自分の価値】~“並び”という概念~


為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)

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一昨日、夜中にブランディングについて話をした。私の会社はまだ私の肖像によって入る収入が半分以上だから、私が世の中でどんなイメージで捉えられているかは一応社としても気にする。

私たちの世界で言う言葉で”並び”というものがある。要は誰と一緒になっているか、誰とくくりが同じなのか、という意味だ。例えばイベントがある。為末さんも含め4人の方にお願いしていますと依頼される。

この他の3人が並びということになる。うちの会社の担当が真っ先にチェックするのが他の三人は誰かということだ。一番重要なのは自分のやりたいことかどうかだけれど、社としては並びにもかなり影響される。当然他の会社も私と並ぶのは嫌だということで断っている例もあると思う。各社がそうやって並びを意識しあいながら微妙なバランスでキャスティングが決まっている。

人間は誰と一緒にいるかということでその人の価値をはかるというところがある。だから誰と一緒に映っているか、誰と絡んでいるかということはその人のイメージに影響を与える。考えてみれば学校のクラスでも、かっこいいとされる人や、華やかな人と人は一緒にいたがったように思う。それもある種の並びになるだろうか。

世の中ですごいと言われる人と並びたいというのがよく考えられることで、私も以前はそういう感覚を持っていたのだけれど、それをやめにした。何か群れを追いかけているようで自分の性に合わなかったからだ。今はだいたい以下の三点のどれかで基準を決めている。

・その人はすごい人か(うちの会社が考える基準で)

・その人はいい人か(うちの会社が考える基準で)

・その人と私が並ぶことは面白いことか(うちの会社が考える基準で)

旬は終わるから現在価値は考えないようにしている。

何をしているのかが本当は一番大事なのだけれど、誰といるのかの方が時に世の中のイメージに影響を与えたりする。ちいさい話かもしれないけれど、”並び”は重要になる。

できればこちらがあの人はすごいと思う人と並んでみたいという欲求はあるが、向こうもこちらを選んでいる。並びたい人に選んでもらうには、結局自分を磨くしかない。


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