[西村健]【さすがの東京五輪開催準備】~東京都長期ビジョンを読み解く!その7~
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
「西村健の地方自治ウォッチング」
東京マラソンが終わった。東京マラソン完走のニュースが流れ、個人のSNSでの拡散やツイート、「いいね!」がネット空間で目立っている。まさに「鉄板」のイベントとなった。
都内各所を巡りながら運動できる参加者、様々な機会でやりがいを感じられるボランティア、企業協賛などによって都の予算を使わない運営、とても素晴らしい。この東京マラソンを見て、将来の東京五輪をイメージしても、大丈夫だろう、さすがだなと思ってしまうのは私だけではないと思う。
今回から都市戦略に入っていくわけだが、まずは都市戦略1「成熟都市・東京の強みを生かした大会の成功」である。都市戦略は「2020年大会の成功に向けた万全な開催準備とレガシーの継続」「美しく風格があり、誰もが安心して過ごせるバリアフリー環境の構築」「多言語対応の推進により、すべての外国人が快適かつ安心して滞在できる都市の実現」「世界に存在感を示すトップアスリートの育成とスポーツ都市東京の再現」といった4つの政策指針から構成される。そして、政策指針は将来像、政策目標、到達状況・課題、これからの政策展開、2020年までのロードマップから構成されている。
都市戦略1の政策指針「2020年大会の成功に向けた万全な開催準備とレガシーの継続」では、世界中から訪れる観客が快適に観戦できる競技環境で、人々が安全に・安心に競技を楽しんで、成功している状態にあることが定義されている。そのための政策目標として、競技会場や選手村の整備が掲げられている。この政策指針の中には、着実な開催準備、開催機運の醸成といったこれからの政策展開が列挙されているが、その中でも注目の政策展開を紹介したい。
それは、2020年に向けた警察官の語学力向上だ。「実践的な講習を開催して、警察目標の通訳業務が可能な語学レベルに高める」「警察官の英語力を高める語学勉強会を開催するなど、日常会話レベルでの語学力を有した警察官の育成に取り組む」と記載されている。
最近、ブラジルでも普及している世界に誇る「KOBAN」。しかし、今の東京で外国人が交番にいってどうなるかはお察しの通りである。身振り手振りで外国人に義務教育での英語を使って必死に笑顔で対応している警察官をよく見かける。本当に微笑ましいし、助けてあげたくなる。警察官の英語力が上がれば本当に素晴らしい「おもてなし」になるだろう。また、外国人犯罪への抑止や保護にも寄与するだろう。
政策指針1においては、さすがの東京五輪については素晴らしい内容であり、本音を言うと感銘を受けた。将来像に掲げられた「世界最高水準に引き上げられた危機管理体制」も達成してしまうのだろう。東京マラソンのテレビが流れる画面を見ながらそう思ってしまった。