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.政治  投稿日:2015/3/11

[西村健] 【トップアスリートの表彰、公平性に疑問】~東京都長期ビジョンを読み解く!その12~


 

西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

「西村健の地方自治ウォッチング」

執筆記事プロフィール

トップアスリートは、五輪でメダルを取ろうが逃そうが、その競技における技術・立ち振る舞い、並外れた努力、払った犠牲、努力する才能、ストイックな姿勢など、それだけでリスペクトされる存在だ。

トップアスリートの育成を東京都がどのように考えているのか、東京都長期ビジョンには記載が少ないので、今回は、25年3月に策定された「東京都スポーツ振興基本計画」(以降、基本計画)を見てみよう。

基本計画には「戦略4 世界を目指すアスリートの育成」としてトップアスリートについて記載されている。ここで記載されている「方向性」はなかなか素晴らしい。

「都は、多くの東京育ちのアスリートが世界を舞台に活躍できるよう、スポーツの多様な選択肢を用意することで、都内に潜在している才能を発掘、育成、強化する一貫システムを構築していきます」と全体像について述べる。さらに、様々な取り組みを通して、「都民と感動を共有する機会を提供していきます」と、都民のみんなが賛成するような内容だ。

これに基づく取組として、ジュニア特別強化事業、トップアスリート発掘・育成事業、東京アスリート育成推進校の指定、強化練習会の開催、競技人口の少ない部活動への支援、「スポーツの名門校」作りに向けた取組、都立高校における県外遠征の実施、テクニカルサポート事業(国立スポーツ科学センターと連携し、有望な選手の戦略分析、実戦的動作解析・トレーニング改善指導・メンタル・栄養サポート等を実施し、個々の選手に応じたサポートをする)、スポーツドクター等派遣事業、スポーツ特別選考による教員確保、指導者講習会、東京都栄養賞などが事業として実施される。

スポーツ政策に関心がある私から見ても、なかなか体系だった取組になっている。評価したい。しかし、このなかで、違和感を感じたのが表彰である。

東京都栄誉賞

都民スポーツ大賞

東京スポーツ奨励賞

この3賞は「栄誉を与える」「功績を称える」との位置付けだそうだ。ちなみに上記2つ(都民スポーツ大賞、東京スポーツ奨励賞)とスポーツ功労賞にかかわる予算は25年度でなんと500万円。職員の準備にかかる業務時間(人件費)は含まない。

事業評価シートを見ても、表彰するという手段は書かれているもの、何のためにおこなっているのか、すなわち目的が不明確だ。都知事や関係者がアスリートと会えて関係構築できる、など発信の効果もあるだろう。しかし、なんだか公平性に欠ける気がしないではない。

都からのサポートを受けて業績を残した人の場合、表彰する必要があるのか。目立たなくてもアスリートを支えたり、その他公共的な活動に従事たりして表彰に値する人は他にいるのではないか。そんな疑問を感じざるを得ない。

(この記事に埋め込まれているリンクを読むにはJapan In-depthのHPからお読みください。 http://japan-indepth.jp

 

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