【ピクトグラムで“おもてなし”?】 ~東京都長期ビジョンを読み解く!その10~
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
「西村健の地方自治ウォッチング」
「おもてなし・・・お・も・て・な・し」滝川クリステル氏のこの言葉。ホスピタリティを示すこの言葉は多くの人の心に響いた。日本人の良さやアイデンティティーを再認識させた。そして言霊のように日本人の心に記憶され、深く記憶に刻まれた。
そう、あたかもあの一言が五輪を呼び寄せたかのような。そして、彼女が勝利を招いた女神のように感じるのは私だけではないだろう。
今回は、政策指針3「他言語対応の推進により、すべての外国人が快適かつ安心して滞在できる都市の実現」について考えたい。将来像は「外国人旅行者の基本的ニーズが充足し、快適かつ安心して滞在できる都市が実現している」といったものだ。
交通機関の各主体間における多言語案内表示・標識の統一性・連続性への配慮、翻訳文言の共通化の改善、都営バス車内に他言語対応の液晶モニター設置、観光案内サインの設置といった事項がそれぞれ完了することが目標とされている。
そして、この指針では「ピクトグラム」が紹介されている。ピクトグラムとは何か。「絵文字」などと呼ばれ、何らかの情報や注意を示すために表示される視覚記号(サイン)の一つである(wikipediaより)。
事例としてはこういったものがピクトグラムにあたる。
そう、視覚的な図によって訴えたもので、人は見ただけで、直感的に理解ができるようになる。日本では東京五輪で初めて使用され、その後広まってきた。トイレや非常口、禁煙など、みなさんも意識してみればたくさん見つけられるだろう。
2020 年オリンピック・パラリンピック大会に向けた多言語対応協議会でも、空港、旅客線ターミナル、鉄道、バス、タクシーなどにおける現状と課題が議論され、今後の活用がうたわれている。今回の政策指針では、日本語、英語、ピクトグラムを中心として対応していくことが記載されている、とても素晴らしい活動だ。
さらに、ピクトグラムのように、情報をわかりやすく、人に伝える形で視覚化した「インフォグラフィック」については、様々な動き(Code For TOKYO)が若者の中から出てきている。しかし、外国人はどこまで意識しているのか。私が海外にいた時は意識していたし、とても助けられたものだがはたして東京ではどうか。
実は、外国人に案内所の前で「案内所はどこですか?」と聞かれたことがなんどもある。ピクトグラムを知らない人もいたし、施設の形状、光の角度、周りとの調和でピクトグラムが見えなかった場合もあった。
彼ら・彼女らがより意識できるよう、さらなる工夫が必要だろう。観光客は認知しているのか、どれくらい認識しているのか、そしてどれくらい見つけやすいのか。そこがわからないと私はそれ以上の事は言えない。東京都の取組に期待したい。
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