【「世界と日本」大いに知り、議論しよう】~新・社会人へのメッセージ~
久保田弘信(フォトジャーナリスト)
その神話が崩れ去った。2人の日本人が人質となり、残忍な方法で殺害されてしまった。その原因の一つが安倍首相のカイロでの演説だ。首相は「ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します」とコメントした。後に「難民支援などに使う為の資金援助だ」と繰り返し発言しているが、カイロでの演説を聞いた人達には間違いなく戦闘への資金援助だと聞こえただろう。
今まで中東地域の人達が日本人を好んでいてくれた大きな理由は、日本が未だかつてイスラム圏との紛争に関与してこなかったからだ。「日本」=「平和を愛する国」というイメージが強かった。日本政府の「積極的平和主義」がISだけでなく中東地域の人々の日本に対するイメージを変え始めたのは間違いない。安全保障をどう展開していくか、日本も世界も大きな転換期をむかえている。
未来の日本がどんな日本になっていくか、それは皆さんにかかっていると言っても過言ではない。未来を担う力をつけるために、「知ること」を重んじてもらいたいと思う。
ご存知だろうか。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が発表した「世界報道の自由度ランキング」がある。2010年11位だった日本は2015年61位に転落している。日本は我々が思う程、報道の自由が確立された国ではない。世界はそう見ている。
残念ながら日本のメディアが伝えない事実が沢山ある。社会人になり、学生時代のように自由な時間がとれないかと思う。しかし、関心さえあれば、社会人になっても「知る機会」を作る事ができると思う。
世界の事、日本の事、多いに知って欲しい。そして「Discussion」して欲しい。日本の未来、世界の未来、「こんな風がいい!」そう思える意見がいくつも出てくれば良いと思う。社会人になったからこそ出来る事も多い。素敵な日本を創りあげていく皆さんの力に期待する。