[上田令子]【 議員OBが選挙管理委員会メンバーで公平性が保たれるのか?! 】〜足立区議選一票差問題に注目〜
上田令子(東京都議会議員、地域政党「自由を守る会」代表)
「上田令子のハハノミクス!」
統一地方選挙が終わり入梅の声を聞く頃ともなると、せっかく当選した議員が議席を失う、2パターンの騒動が持ち上がってくる。ひとつめは、居住実態がなく当選無効になるケース。過去に何例も新聞報道になっているというにもかかわらず、今回も新人初当選の38歳の京都府城陽市議会議員(維新)が、異議申し立てを受け、同市選管が6月1日に「当選無効」を決定を下した。水道は閉まったまま、電気もほとんど使ってなかったという。実際に住んでいない選挙区から立候補するというのは、職選挙法上の重大な背信行為だ。こうした有権者を愚弄する行為において当選無効は当然であるが、1票などの僅差が異議申し立てにより逆転、最下位と次点が入れ替わるという、もうひとつのケースには、なんとも腑に落ちない場合がある。5月17日投開票の足立区議会議員選挙において、次点であった滝上明氏(公明)が5月27日、区選挙管理委員会に1.196票差で最下位当選した松丸まこと区議(維新)の当選無効を求める異議申出書を提出。足立区選管は票の6月14日に点検を行うと発表している。異議申し立てする自由は大いに認めるところであるが、頼みの選挙管理委員会の構成メンバーを鑑みると、多くの自治体で元議員の委員がおり、公平性が担保されるのかという懸念を私は抱く。
このような観点から07年統一地方選挙において最下位当選したものの、泣く泣くバッチを返上することになった小柳まさや氏のケースは納得がいかない点があった。渋谷区選管では、次点であった松岡定俊氏(自民党・議長経験者)氏の異議の申し出を棄却したものの、松岡氏はそれを不服とし、東京都選挙管理委員会へ持ち込んだ。結果、都選管は渋谷区選管の判定を覆し、結果くじ引きとなり、小柳氏は落選。
この一票騒動にあたって11年当時小柳氏は「渋谷区選挙管理委員会が認定したものを、東京都選挙管理委員会が覆した背景には、不可解な相関関係が存在する。現在の都選管の委員長(上田注:11年当時)は元渋谷区長の小倉基氏(元自民党三塚派)である。小倉委員長の娘は東京都議会議員(上田注:15年渋谷区長選挙に出馬し落選。現在は元職)の村上英子氏(自民党渋谷総支部支部長)で松岡氏は村上英子自民党支部長の選挙運動員であり支持者でもある。
逆を返せば、小倉東京都選挙管理委員と娘である村上英子自民党渋谷総支部支部長にとって松岡氏は、子飼いの身内的な存在である。これは明らかに『選挙管理委員長は親族等関係者の利害に関わる審理裁決に参与してはならない』旨の地方自治法189条2項に違反している。これは力士と行司が手を組んでいるとすれば、こんなひどい八百長はない」と語っていた。(その後、小柳氏は、欠員がでたことから再び議席を得て、本年4月の統一地方選では、自民・公明推薦の村上英子候補を破った長谷部新区長を支え、無事二期目堂々当選している)
このような、身内びいきの「八百長」ともとられかねない判定が二度と起きないことを願って、都議会議員となった私は、平成26年11月20日総務委員会事にて「過去十二年に在籍した選挙管理委員の氏名、前職及び主な経歴、特別職を含む公務員であったかどうかがわかる」資料を請求したのでご紹介する(トップ画像参照、または、以下の資料をクリックで拡大)。
ちなみに、今回票の再点検を行う足立区選挙管理委員メンバーは以下の通りだ。
・委員長 長塩英治(元足立区議会議員/自民党)
・委員長職務代理者 菅原良和(会社役員)
・委員 宮原進(元足立区議会議員/公明党)
・委員 小金井寛(会社役員)
区議会議員時代から今日まで、政党へ政治バイアスがかかる可能性が高まる懸念から元議員を委員会メンバーにしてはならないということを私は強く訴えてきた。
今後法廷闘争となっても、裁判所も余程の不正が無ければ選管の判定を追認することが想定されることからも、選挙管理委員会の健全性を議会人として強く願い、「選挙争訟における公正性確保について」文書質問して、牽制球を投げておこうかと考えている。