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.国際  投稿日:2015/7/21

[宮家邦彦]【オバマ政権「実力以下」外交、健在】~核交渉最終合意、イラン粘り勝ち~


 宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)

「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(7月20日-26日)」

執筆記事プロフィールblogWeb

先週のイラン核交渉最終合意はイランの粘り勝ちに終わった。前回筆者は、「悪魔は詳細に宿る可能性が高い」と述べたが、どうやら詳細を見るまでもなく、米側は足元を見られてしまったらしい。オバマ政権の米国「実力以下」外交は今も健在だ。

先週欧州中銀総裁は「ギリシャがユーロ圏のメンバーであり続けることにつき疑問が生じたことは一度もない」と述べた。やはり、EUは対ギリシャ支援を続けるだろう。問題はギリシャがEU内二級国家になる気がないことだ。欧州の衰退は続くのか。

 

○欧州・ロシア

20日にギリシャが今度は国債償還で欧州中銀に対し35億ユーロの返済期限が来る。毎週のように支払い期限が来るが、本当に大丈夫なのか心配になる。一方、20-24日には米国を含むNATO7カ国が黒海で第15回Sea Shield合同演習を行う。

この明らかにロシア海軍を念頭に置いた演習にはルーマニア、ブルガリア、オランダ、ポルトガル、トルコに加え米国とギリシャが参加する。米国は20日にもウクライナとRapid Tridentという共同軍事演習を行う。NATOの対ロシア懸念は消えそうもない。

 

〇東アジア・大洋州

20-24日にニュージーランド首相が訪中し、21-26日には台湾の李登輝元総統が訪日する。20日からミャンマーでは11月8日の総選挙の候補者リストの提出が始まる。24日からマウイ島でTPP交渉が再開される。この貿易交渉そろそろ潮時となるか。

 

〇中東・アフリカ

イラン核問題の最終合意には今後も紆余曲折があるだろう。特に、米議会での動きは要注意だが、米国内政の現状に鑑みれば、ここで最終合意を覆すのは至難の業だろう。それではイスラエルやサウジの巻き返しはどうか。これも容易ではなさそうだ。

 

〇アメリカ両大陸

今週は米キューバ国交回復がある。米国では先週共和党の大富豪・トランプ氏が案の定舌禍事件を起こした。ベトナム戦争の英雄だった共和党マケイン上院議員は捕虜だったからと茶化したらしい。政治を理解できないトランプ氏の先が思いやられる。

 

〇インド亜大陸

21日に英印両空軍が10日間の予定で共同演習を英国で行う。今週はこのくらいにしておこう。

いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

タグ宮家邦彦

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