[細川珠生]【総理談話「『謝罪』次世代に背負わせない」を評価】~ジャーナリスト櫻井よしこ氏に聞く~
「細川珠生のモーニングトーク」2015年8月15日放送
Japan In-depth 編集部(Aya)
細川「今日は「これからの日本の進むべき道」というテーマで、2週に渡り櫻井さんにお話を伺います。戦後からもう70年経って、終戦の貧しさとか大変さが嘘のような日本になりましたけれども、終戦記念日を迎え、改めてこれからの日本を考えてみたいなと思ってるんですね。櫻井さんも私も戦後世代ということで」櫻井「私も一応そうですね。」
細川「終戦のときの出来事であるとか、戦争の思い出は当然ないんですけれども、何かご両親からお聞きになって、戦争の話とか戦後の話で記憶に残ってらっしゃることはありますか。」
櫻井「私のところはですね、母も父も、意外に戦争のことについてはたくさん話してくれたんですね。で、今日この番組の終了のあと、私、靖国神社に参拝に行くんですけれども、母方の伯父が一人、父方の叔父が一人、満州で亡くなっているんです。おじいちゃん、祖父がですね、自分の亡くなった、戦死した子供のことを私によく話してくれました。もちろん私はこの叔父たちには会っていないんですけれども、こういう方たちが戦ったんだなと、本当に一生懸命、ふるさとや国のために、家族のために戦って若い命を落としたわけですね。その叔父たちだけではなく幾百万の方たちがそういう風になくなったということは忘れてはいけない。今珠生さんがね、とっても豊かな、平和な日本が築かれたと、仰いました。そのとおりなんですよね。でもその人たちが頑張ってくれたおかげで、今があるっていうのは、別に父母がそう言ったわけじゃないんですが、両親の話を聞きながらね、自然にそういう風に思うようになりました。」
細川「それ、一番大事なところなのかなと思うんですけれども。」
櫻井「今それがね、忘れられているというか、あまり思い出してもらえない。しかも、靖国神社に参拝することはね、右翼とか、軍国主義に通じるようなことだというふうに、非難する向きがありますけれども、これこそ、世界に向かってこんなことを言えば非常識だと言われます。おかしい。日本のおかしいところをやはり、私たちは自覚をして、おかしかったらそれは改めていかなきゃいけないって、本当に思いますね。」
細川「私も戦争体験はないんですが、私の父の細川隆一郎は、戦時中に新聞社に入って、すぐ翌月に、もう入営したということで」
櫻井「あぁ、そうですか」
細川「戦地に行きまして、新聞記者でしたから通信部隊だったんですけれども、ただ生きているときは、戦争の話をほとんど私にしてくれませんでしたが、ただ大本営発表の嘘とか非常にそういうことに憤慨をして、やはりその権力の暴走というのは止めなくてはいけない、国が判断を見誤ると、国民が本当に犠牲になってしまう。そのことが、やはりジャーナリスト活動の原点だったような気がするので、私も常にその父の原点というのを思い出しながら、今これから、自分の人生というのを生きていかなきゃいけないなというのを感じるんです。そういう意味ではですね、戦後70年、だんだん語り継がれなくなってきたということは大きな問題だと思うんですが、ここで、安倍総理が、昨日、70年の談話というのをだしました。この談話についても、いろんな人がいろんなリクエストを出して、それそもそも談話を出す必要があるのかどうかということもあったと思うんですが、そのなかで、閣議決定をする談話を総理が出された、これについては、櫻井さんはどういうふうにお考えですか。」
櫻井「談話が出される前ね、今細川さんが仰ったように、いろんな人がいろんなことを言って、この言葉を入れるべきだとか、いや入れたらだめだとか、言ってましたね。村山談話・小泉談話はですね、そういったものってなかったんですよね。村山さんはいきなり出しましたし、小泉さんも周りと相談した形跡って、聞かないんですね。けれど、安倍さんの談話に対しては、本当に沢山の注文がついた。そのために、21世紀懇談会有識者の会まで設けたりしましたね。本当に、安倍さんらしいものが出せないのであるならば、私はむしろ出さないのが一つの手だと思ったくらい、外野の席の声が大きかったですね。で、昨日出されまして、じっくりと記者会見も聞きました。談話の文章そのものも読み込みました。終わってみればですね、談話、非常に良い内容だったし、出して良かったのかなと。当初は安倍さんも、閣議決定はしないつもりでいらしたとうかがっていますけれども、これを閣議決定したわけですね。で、閣議決定したということは、政府がこれを正式に認めて出しますということですので、この内容であるならば、私はむしろ閣議決定をして良かったのではないかというふうに思いましたね。」
細川「私も、少し長かったんですけれども、いろんな人のリクエストというか、思いを受け止めながら、安倍さんご自身が自分の言葉で作られた文章というのが、良かったなと思うんですね。先程櫻井さん仰ったように、いろんな人の犠牲とか命の上に今の日本があるということを忘れてはいけない。胸に刻んでいくとか、思いに致すとか、そういう言葉が繰り返し繰り返し出てきた、そこにそういうことが現れているような気がするんですね。」
櫻井「そうですね。日本が戦争をして、その舞台となったアジアの国々、オーストラリアも他の国々も初めですね、そこで被害に遭った人たちに対する、痛切な思いっていうのは本当に繰り返し繰り返し十分に表現したと思いますね。それからもう一つ戦後の日本が、敗戦国として、国際社会に復帰するのに、かつては熾烈な戦いを演じた相手、アメリカとかオーストラリアとかですね、アジアの国々に対しても、非常にその、きちんとした姿勢で、援助の手を差し伸べてくれたことに対する感謝の気持ちを表明していますよね。この中に入っていない国が、中国とロシアですよ。これは中国とロシアに対する間接的なメッセージだというふうに思いますね。そういったことに加えて、すごく良かったと思うのは、今人口の8割以上が戦後生まれですよ、戦争を体験したことのない、全く関係のない子供達に、未来永劫、謝らせるようなことはしたくないと、ここで謝罪は終わりですよと、今まで誰も言わなかったことをきちんと仰ったことはすごく良かったですね。」
細川「そうですね。50年談話が出されたとき、私は27歳だったんですけれども、まだ謝るのかなと思ったんです。そして60年でまた謝って、で、いつまで謝るんだろうというのが、ずっと私は心配だったんですね。私ももちろんだし、これからのあとの世代のことを考えると、そういう意味で今回本当に心に響いたのが、この一文でした。」
櫻井「やはり珠生さんもそう?やっぱり多くの人がね、他の人にも聞いてみましたけれども、一番印象に残ったのがそこだったという方が多かったですね。私つい最近、シンガポールでの国際シンポジウムに出たんですけれども、そこでもアメリカの人とか、インドの人とか、それから現地の方からもですね、「70年前のことを、まだずっと謝りなさいという、中国と韓国はおかしい」と、中国と韓国という二つの国を名指しした非難が、国際シンポジウムの場で、繰り返し出てきました。ですからやはり、反省することは大事だけれども、70年経った今、まだまだ謝れ、まだまだ謝れ、韓国は「1000年経っても恨みは消えない」と言っているわけですが、そのような考え方自体がやっぱりおかしいのであるというのが、国際社会の見方だということを私達は知っておくべきです。安倍総理の談話は、そこをきちんと見て、「子供たちの謝罪は、なしにしましょうね」とはっきり線を引いてくださったことは、本当に良かったと思いますね。」
細川「それに、国際社会がそう見ている中で、また謝ると、日本の信頼が損なわれてしまう。」
櫻井「あまりにも自己を卑下する人は、他の人に認めてもらえないし、尊敬もしてもらえない、ということですね。本当に良いことだったということです。」
細川「そういう意味では、この70年談話、いろいろ心配しましたが、閣議決定をしたこと、それから、内容についても、出して良かったものっていうふうに、私たちは考えていた方がいいということですね。」
櫻井「終わってみたらバランスのとれた、前向きの立派な談話だったと思いますよ。」
細川「戦後70年の今日、先の大戦に何を考え、何を思うのか、一人一人の日本人が問われていると思います。」
(8月22日放送の回【膨張する中国の脅威から日本を護れ】~ジャーナリスト櫻井よしこ氏に聞く 2~ に続く。この記事は、ラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2015年8月15日放送 の内容を、ゲスト本人の了解の下再現したものです)
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