[細川珠生]【膨張する中国の脅威から日本を護れ】~ジャーナリスト櫻井よしこ氏に聞く 2~
「細川珠生のモーニングトーク」2015年8月22日放送
Japan In-depth 編集部(Aya)
細川「終戦記念日が来て一つの区切りがつき、やはりこれからの日本を真剣に考えていかなくてはならない。櫻井さんは常々、「今日本は岐路に立たされている」と仰っていますが、この「進むべき道」ということをもう少し掘り下げて考えますと、やはり、きちんとした独立国になるということが、日本に今問われていることだと思うんですね。その一つがこの安保法制をきちんと成立させる、これが大きな一歩になると思いますが、今、国会のやりとりというよりは、国民世論の中で反対の声が大きくなっていることに、私は大変危惧を抱いています。櫻井さんはどうお考えになりますか。」
櫻井「確かに、国民の皆さん、統計をとれば、世論調査をすれば反対という人の方が多いですよね。国会の周りには10代の方も含めて、若い人たちが戦争法案反対と言って、デモをしてらっしゃる。みんなやはり、心配してるんだと思いますね。「この法案を通したら、本当に日本は戦争をする国になるんじゃないか」。新聞によっては「殺し殺される国へ」とかですね、書きますけれども、よくよくしっかり見ればですね、私は、新聞の書いている「戦争法案」とか、「殺し殺される国へ」とか、「侵略する国になる」というのは、もっとひどいところは「徴兵制が実現される」って書くところもありますが、これみんな間違いだと思います。
安保法案を読んでみれば、どこにそんなことをする隙間があるのかと思いますね。これはあの、集団的自衛権、日本を除く世界のすべての国々が権利を認められていて、権利を行使しているのが今の世の中。日本だけが、自らの手足を縛って、日本は行使しませんと言っているわけですね。安倍政権は本当に少しですよ。いろんな条件をつけて、「このような場合に限って、このような場合に限って、その上にこのような条件をつけて」というふうに、本当に厳しい条件をつけて、部分的に、集団的自衛権を行使しましょうと、それを可能にするための安保法制ですよと、やっているわけです。
日本がこれだけ、ちょっと緩めたからといって、戦争をする国になるということは有り得ない。徴兵制も有り得ない。そういうことを言う人達は、やっぱりきちんとその根拠を示して、若い人達にもその根拠を教えるべきだと思うんです。今の若い人達はすごく一生懸命に、真面目にデモをしてらっしゃる。私はその姿を見てですね、自分が20歳だったときのこととか、18歳だった時の頃と比べても、今の若い人達、本当に、熱心だし、私は自分の若い頃の方がいかにも、ノンポリで恥ずかしいですよ。
だけどもそういった真面目な、若人達に対して、きちんとした情報を提供するのがマスコミの責務だと思うんですが、それをしていないですね。その意味において、固有の名詞を言うわけではありませんが、朝日新聞とかですね、東京・中日というのは、本当にバランスを欠いた、歪んだ情報を出している。これが、若い人達をいたずらに不安に駆り立てている。間違っていると思います、今のメディアの伝え方が。」
細川「正しい情報が得られないで、若い人達が、なんとなくそうなるのではないかという、感覚的なことや、印象論で反対しているというのが多いと思うんです。実際には、例えば中国が、日中の境界線にあるガス田でプラットフォームを作っている。そういう脅威が具体的にあるという中で、安保法制がやるべきことの一つだろうというふうに思います。やはり中国の動きだけではないけれども、日本を取り巻く国際情勢の中で起きていることに対して、きちんと対応を取ることが、今安倍政権が求められている、と考えた方がいいわけですよね。」
櫻井「そのとおりだと思いますね。国というものがどういった要素によって支えられているのかというと、まず経済力がないといけませんよね、そしてもう一つ、軍事力がないといけませんよね。どの国も経済と軍事という、この車の両輪に支えられて、その上に政治が成り立ち、外交が成り立っているんですね。
日本はこの軍事という意味においては、本当に、実力があるかもしれませんけれども、法律的にこれを使うことができないようにしているわけで、それを今回少し緩めるというのは、今珠生さんがおっしゃったように、日本の周りの安全保障の環境がガラっと変わっちゃったわけでしょ、だって今までは、アメリカがとにかく守ってくれるという体制があった。ところがそのアメリカが、2年ほど前からですね、「もう僕たちは世界の警察官じゃないんだよ。」と、「だからみんな一人ひとり自分でやってよ」という風に、オバマ大統領が「アメリカは世界の警察官ではない。」という演説をしましたよね。「軍事介入はしない」という演説をしたわけですね。
そしてそれを見た中国、そしてロシアが、アメリカが出てこないんであるならば我々にとって好都合だと、力による実行支配を強めていこうというので、このオバマ演説の半年後に起きたのが、クリミア半島の併合ですよね。ちょうどその頃から、南シナ海で中国が闇雲に、島の埋め立てを始めたわけですね。最初は、平和利用だとか、漁民のためとか、そしてアメリカに対しても、埋め立てた島を一緒に使いましょうなどと言っていたのが、ある程度埋め立てが終わってしまって、逆立ちしてもアメリカが止めることができないという時になったら、軍事使用も有り得ると、言い始めたわけですね。
ちょうど同じ頃から、東シナ海の、さっき珠生さんが仰った、日中の中間線の、中国側ですけれども、ちょっと中国側に入ったところで、12もの新しいプラットフォームを作って、昔のものも合わせると16になったんですね。これは、軍事転用された場合は、日本にとっては大変な脅威になるんですね。だからそのことを考えるとですね、中国は尖閣諸島も取りに来ていますし、沖縄も、中国の領土だとも、そういった論文がどんどん出ていますね。そのようなことも考えると、アメリカが後ろ向きになり、中国がどんどん膨張し始めている、そのなかで、日本国を、そして日本国民をどう守るのかということになると、経済力だけではダメですから、ある程度力を使えるようにしておかなければならない。
ただこの使い方は、さっきから繰り返し言いますけれども、「侵略」なんてことは絶対にできないようになっている。危ないことが起きた時に日本を守るという意味の抑止力を作るという意味で、安倍さんはなさっているんだと思います。このような状況のなかで、安保法制を変えようとしない内閣がいるとしたら、それこそ無責任だと思いますよ。」
細川「そうですね。安保法制もそうですが、中国の問題も、それからクリミア半島併合したロシアも、北方領土への実効支配もどんどん強めて、韓国も竹島での実効支配を強めています。戦後70年経って、いろんなことが落ち着いたかのように、談話も発表されてですね、謝罪というのが一つの区切りもついて、良かったなと思う一方、でも日本は実は、意外にというか、気がつかないうちに、どんどん“侵略的”なことをされている。平和で70年来ましたけれども、そういうことに無関心でいた日本国民というのは、やっぱり行き着くところは、憲法の、過剰なまでの平和主義といいますが、そういったものが、大きく影響しているんだと思うんですね。」
櫻井「戦後の価値観を、憲法に書かれている価値観を、もっともわかりやすく体現している人は、誰かと考えたら、鳩山由紀夫さんだと思うんです。韓国に行って、土下座をした。新聞が写真を載せましたけれども、あの方はこちらが謝り、こちらが平和的な態度をとれば何でも解決するという風に考えてらっしゃる。善意でああいうことをなさったと思うんですね。でもああいうことをなさっても、じゃあ韓国がどういうふうに譲ってくれるかということは、ないわけですよね。で、岡田克也さんも韓国に行って、二重外交した。先週は、安倍談話について、なぜ自分の言葉として、自身の思いとして「侵略」とか「反省」とかを安倍総理が言わなかったのかと言いました。その路線を辿って行くとこれも、鳩山さんの土下座に行き着くと思うんです。
今私たちは、民主党、鳩山さんは元民主党ですけれども、民主党路線の、土下座をする方向にいくのか、それとも積極的平和外交でそれなりの役割を果たしながら、日本としての立場を守っていくのかの、この2つの選択だと思います。どっちを選ぶかと言われたら、答えは明らかです。」
細川「そうですね。それがまさに、岐路っていうことになるんですけれども、謝るだけでもだめだし、きちんと国としての体制を整える、そういうことが、今日本が求められている、日本の国内ももちろん、国際社会でもそう。戦後70年を迎え、これからの子供達が生きていく社会は、そういうことを意識して、彼らのためにもそういう社会を今作ってあげる、大人たちが意識していかなければならないですね。」
櫻井「まったく同感です。」
(この記事は【総理談話「『謝罪』次世代に背負わせない」を評価】~ジャーナリスト櫻井よしこ氏に聞く 1~ の続きです。 このシリーズ全2回。
この記事は、ラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2015年8月22日放送 の内容を、ゲスト本人の了解の下再現したものです)
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