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.社会  投稿日:2016/1/5

[為末大学]【癇癪持ちのクリエイティビティ】~突発的に沸き起こる“怒り=アイデア”~


為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)

執筆記事プロフィールWebsite

私は子供の頃、若干ながらの癇癪持ちで、普段はおとなしいのですが、なぜかあるきっかけで自分が抑えられなくなり暴れまわるということが何度かありました。あまり他の子供と比べたことがないので、男の子はだいたいそんなものだよという程度の話なのかもしれませんが、30歳も半ばをすぎた今でも少しその傾向は残っています。

ただ、歳を重ねると自分をコントロールするというのを少しは学ぶので、自分が切れそうになるとふと俯瞰しようとしたり、場所から移動しようとしたりするわけですが、昨年のある時に、そういえば自分が癇癪で爆発するときの感覚というのは、何かを思いつく瞬間にも似ているなと感じるようになりました。

私が何かを思いつく能力がそれなりにあるという前提ではありますが、ふとこうだと思いついてそれに興奮している瞬間と、突発的に何かに怒りを覚える瞬間が、全く違うことなのですが、不思議と沸き起こり方が似ているなと思うわけです。何の脈絡もない(少なくとも外から見ては)ところに、自分なりに引っかかるところがあってそれがつながって自分が抑えられなくなる。そういうところが似ていると感じるわけです。

ふと周辺をみて、粛々と進めていくことで価値を出すタイプと、突発的なアイデアを出すことで価値を出すタイプを分けると、超偏見ではありますが、後者に癇癪持ちっぽい空気を持っている人が多いように思います。言葉を変えると、瞬間的に頭の中で何かがつながる癖がある人が多いということかもしれません。

けっしてこれで私の突発的な癇癪や思いつきを肯定しているわけではありませんが、幼少期にこれで仲間外れになった経験があるものとしては、子供の癇癪もコントロールできるようになったら武器になる可能性があるのではないかというのをお伝えしたいと思い筆をとりました。

癇癪をコントロールする方法で私が良いと思うのは、

・負ける機会を持つこと

・飽きないぐらい夢中になれるものを持つこと

・努力では何ともならないものを前にして、それでも何とかしようとする機会を持つこと

の三点です。なんと!この三つ全てが陸上競技に内包されています。みなさん陸上をやりましょう。

写真:everystockphoto / by no prawns


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