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JID  投稿日:2016/2/1

女性が働き続ける為の環境整備、進めよ~社会全体の意識の向上が不可欠~

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 Japan In-depth 編集部(Mika)

働きたいが様々な理由によって働けない、働きづらい。

世界的にもダイバーシティの促進に注目が集まる中、日本でも、女性が働き続ける為の環境整備に注目が集まっている。Japan In-depth編集部取材の記事でも紹介された様に、社会で活躍する女性が忘れがちな女性特有の体の不調には、働く当事者である女性同様、行政や企業側、国民が一体となり課題改善にと取り組む必要があるのではないか。

そうした問題意識の下、1月28日に開催された東洋経済新報社主催のフォーラム、「働く女性の健康増進のためのフォーラム」〜女性が働き続けるための環境整備とは〜では、民間シンクタンクの医療政策機構の代表者、医師、また企業の代表らが集まり、女性の健康増進に向けた様々な課題の解決のためのアプローチが発表された。

「世の中には色々な人がいて、色々なニーズや問題意識を持つ中、それぞれの人がそれぞれの立場や得意な分野で活躍できる社会がダイバーシティではないか」基調講演を行った東京大学経済学研究科の伊藤元重教授は、ダイバーシティこそが、当フォーラムのキーワードとなると強調した。

次に、日本医療政策機構(HGPI)の小山田万里子氏と宮田俊夫氏は、女性の健康増進が社会にもたらす影響について社会経済的側面から検証した調査結果を発表した。まず小山田氏は、社会全体で働く女性の活躍を推進する機運が高まりつつある一方で、「女性の健康面への配慮が不十分ではないか」と指摘した。

特筆すべきは、国内の婦人科系疾患を抱える働く女性の年間の医療費支出と生産性損失を合計すると6.37兆円にものぼるという当機構の試算である。現状を改善していく為には、婦人科系疾患の知識の普及と疾患の減少促進が必要である。

その上で機構は、以下の対策法を挙げた。

  • 婦人科受診や検証受診率の向上
  • 教育(予防、治療法、妊娠・出産等を含めたキャリア・プランニング等)
  • 行政・企業などの「健康経営」の促進

女性の検診受診率を引き上げていく為に、教育や啓発が必要なことは言うまでもないが、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践する、いわゆる「健康経営」に取り組む企業は今後ますます注目されるだろうし、市場でも評価されていくだろう。

次に、産婦人科医の宋美玄氏が、女性のライフステージと健康についての正しい知識と情報提供のあり方について語った。女性のライフステージは大きく分けて思春期、成熟期、更年期、老年期と4つあり、それぞれのステージで、ホルモン周期の変動が大きく、それらが及ぼす健康トラブルが生活や仕事に深く影響しているという。

その中でも月経痛が毎月「ひどい」という女性はおよそ28.6%、月経までの約2週間の間に起こる月経症候群は女性の約5〜8割に起こると言われている。月のおよそ3分の4は、何かしらの身体的、精神的不調に悩まされていることになる。

多くの女性は、「生理痛はあって当たり前、我慢するのが前提」と思春期から刷り込まれている、と宋氏は指摘。しかし、低用量ピルを飲むと月経痛が軽減され、データによると「産婦人科女医はかなりの割合で低用量ピルを飲んでいる」そうだ。ただし、薬を服用すると副作用が出る等といった不安がどうしても大きく、なかなか日本で普及していないのが現状だ。

しかし、月経痛の異常の背後には、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れている場合もあるので、ぜひ産婦人科で検査を受けて欲しいと宋氏は訴えた。また、一般的に不妊や子宮頸癌などの知識不足も問題だと強調した。

女性のヘルスケアを取り上げる媒体は増えているが、「正しい情報」は「面白くない、売れない、読まれない」ため、多くの誤報が飛び交っているという。「いわゆる商業媒体やネットのサイトでPVを集めようとしているものはだいぶ(情報を)煽っている」とし、宋氏は情報源をどこから入手するか、気をつけねばならないと指摘した。又、女性に正しい知識を持ってもらうために、企業による健康セミナーの開催などを提案した。

こうした中、企業はどのような取り組みを行っているだろうか。日本航空健康保険組合の事務局長、浦井典子氏と、ワコール健康保険組合健康開発チーム課長の須山有輝子氏が登壇し、それぞれの会社の取り組みの実例を発表した。浦井氏は、「JALなでしこラボ」を紹介した。目指すものは、女性活躍推進の目標数値・行動計画の取りまとめを厚生労働省のサイトなどに掲載と社外への公表だ。

具体的には、女性の配置先拡大、在宅勤務制度と勤務時間帯選択制度など柔軟な働き方の導入、女性社員の動機づけ・育成強化、女性活躍を促進していく上で必要な施策の調査や社内研究プロジェクト等である。また、男性社員も参加できるセミナーの実施、全額補助で受けられる婦人科検診など、女性に魅力ある企画を実施している。

一方、ワコール健康保険組合の須山有輝子氏は、2009年より始めた乳がん検診が、現在では子宮がん検診も含めた定期健康診断とセットで受けられるようになったことを紹介した。こうした中、女性社員にアンケートを取った結果、昨年度、乳がん検診を受けなかった理由として、「忙しい」「面倒」といった答えが多く見られた為、就業時間内にバス検診車を派遣しているという。

また、検診後のフォローや社員の心のケアなども充実させており、がん検診の結果、要精密検査、再検査と診断された社員の不安軽減の対策として、3回に渡り面談、メール、電話などで直接社員に連絡し、受診勧奨を行っている。

社員の健康面は、メンタルヘルスにも重点を置き、新入社員の個別メンタルチェックや、異動時の健康管理担当スタッフからの連絡など、相談窓口も設置し、常時相談しやすい環境の整備も行っている。

社会で活躍する女性が年々増える日本。彼女らがイキイキと働けるダイバーシティ社会を築いて行くには、女性だけではなく男性も含め、すでに働いている社会人、これから社会人となる若者たち等、国民レベルによる意識の向上が、行政や企業を変えていく鍵となるだろう。

※トップ画像:©Japan In-depth 編集部

 

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