2017総選挙ファクトチェックプロジェクト
政治  投稿日:2017/1/9

「テロ未然防止法律」成立急げ

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若狭勝(東京10区衆議院議員・元東京地検特捜部副部長)

専門家としてこのままでは政府の考えに断固反!!
以下、私の「刑事法の専門家、捜査の専門家、テロ対策の専門家、及び衆議院議員」という4つの立場に基づき、多数の国民の命をどうしても守りたいがために、声を大にして訴えます。

周知のように、世界各地でテロが頻発しています。そして、3年半後に2020東京大会を控え、日本でも大会前ないし大会中の『大規模テロ』が悲しいことに想定されます。

ここにきて、報道によれば、政府が「テロ等準備罪」を新設すべく、それに関わる法律案(組織犯罪処罰法改正案)を間もなく開催される通常国会に提出すべく用意しているようです。

しかし、名称にいくら「テロ」の言葉を盛り込んでも、専門家の私から見て、この法案では、国民の多くの命をテロから守るためには効果が乏しいです。いわば、効果としては、「ない」よりはマシという程度です(官僚で私のこの主張に反論できる人がいたら直接私に言ってきてください)。

その上、いかにもテロ防止に資するような名称を付け、これでテロ対策の法律としてまずはひと安心という誤った意識を国民と政治家に抱かせる(ミスリーディングする)こと自体極めて危険です。これらの事態は、国民の命を守り抜くという政治信念を強く抱く私には到底容認できません。

政府がこの法律改正案(いわゆる共謀罪)を国会で通過せたいと考えているのは、16年前に署名した「国際組織犯罪防止条約」を締結するためには、この法改正が必要条件だからという理由です。

しかし、この条約のターゲットは、そもそも、不正な『金銭的利益』等に絡む国際組織犯罪の防止です。ですから、それをテロに絡ませるというのは、法律の作り方としては姑息です。

今、本当に必要な優先課題としては、2020東京大会大前ないし大会中の大規模テロの阻止に向けて、これまで我が国に一切なかった(一部テロ資金の封じ込めに係る法律を除き)『テロ未然防止法律』の整備です。その法律は、時限立法の方が国会を通過しやすいというのであれば、少なくとも2020東京大会の時までの効力という時限立法でも良いと思っております。今はそれくらいの緊急事態なのです。

ですから、政府は、テロに特化した『テロ未然防止法律』の制定に向けて早急に取り掛かるべきです。にもかかわらず、国民をミスリーディングする恐れのある形でいわゆる共謀罪だけを通過させるようでは、テロ対策に係る政府の責任の放棄です。ことは、国民の大多数の命を守る気概が政府にあるかどうかの問題です。残された時間は最早少なく既に砂時計状態です。

仮に、今、テロに特化した「テロ未然防止法律」を制定するという方針に舵を切らず、将来、大規模テロによって多くの国民の命が奪われた場合、政府の責任には計り知れないものがあります。

そればかりか、そうしたテロ対策の法整備も全くないまま2020東京大会を開催し、その間に大規模テロが発生して要人を含め多くの外国の方々の命が奪われた場合、能天気な日本政府に対し世界的な批判が集まり、我が国の国際的信用も失いかねないのです。

(この記事は、若狭勝衆議院議員のFacebookページ2017年1月7日の投稿の転載です)

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この記事を書いた人
若狭勝東京10区衆議院議員・元東京地検特捜部副部長

若狭勝(東京10区衆議院議員・元東京地検特捜部副部長)

昭和31年12月6日、下町の東京都葛飾区で出生し、小学校から隣の東京都足立区に移り、そこでほぼ50年以上暮らす。

父は、若いとき、タクシーの運転手をし、その後、足立区内で零細の町工場を営み、母とともに、毎日、プレス機械やけとばしという機械を踏んでは、一個につき何十銭の価格で下請け製品を加工していた。小さい時から、夏休みなどには仕事の手伝いもしていた。そんな中、地元の小学校・中学校・高校と卒業。中央大学法学部に行くまで法律と無縁の家庭で育つ。一つ一つこまめに金属をはめていく作業は根気がいるもので、汗水流しての作業においては、途中、短時間の休憩が待ち遠しいという思いであったという。汗水流して働く人が報われる法律でなければならないという法律家としての信念は、それ以来、ずっと彼の全身に流れている。

大学卒業をした昭和55年に司法試験に合格。昭和58年4月に東京地検検事となる。その後キャリアを重ね、特捜部副部長を務める。平成28年10月に衆議院議員補欠選挙(東京都第10区)当選。

若狭勝

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