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.政治  投稿日:2017/1/22

「慰安婦像問題」自制と冷静さが必要


「細川珠生のモーニングトーク」2017年1月14日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth 編集部(井上紗希)

今回の「細川珠生のモーニングトーク」は、コリア国際研究所所長の朴斗鎮さんをゲストに迎え、釜山の慰安婦像問題を中心に、日韓関係について伺った。

昨年12月末、韓国・釜山の日本領事館前に設置された、慰安婦像。菅官房長官は長嶺安政駐韓大使、森本康敬釜山総領事を一時帰国させた。

日韓合意で慰安婦像の撤去の努力をする、慰安婦問題そのものを不可逆的に解決していくということで、(今回の慰安婦像問題は)日韓合意違反という解釈も出ている。今回の日本の対応について(大使の召喚等)、朴氏は「これは朴槿恵大統領に対してというより、次の政権に対して我々日本は、あなた方のいうようにそれ(日韓合意)を破棄したり、再交渉したり、というようには応じませんよというシグナル。そういう意味では、私はやはりある種の警告として、(日本政府の対応は)当然なことではないか。」との見解を示した。

さらに「外交的合意というのは、どちらかだけに有利にはならない。最大公約数をまとめたのが日韓合意。そういう意味で、これ(日韓合意)を守っていくことが、日韓の親善のためにもなるし、お互いの発展のためにもなるという、日韓合意の中に込められた精神を、尊重するべき。」と主張した。

韓国の政権が変わるという状況の中、日韓合意自体を見直すべきだ、という意見も出ているが、今の韓国に対処する能力があるのかと細川氏が問うと、朴氏は、「はっきりいって韓国側は対処する能力はない。大統領が職務停止ですから。」とし、「お互いに自制して冷静にならなければならない。お金の問題は出さない方が良いのではないか。」との見解を示した。

また、「堂々と外交的手続きを踏んで、一旦、日本の態度は表明したわけだから、次の政権につながるようにきちんと今は蓋をしておく。これ以上広がらないように処置をする。」ということが大切だとした。

さらに朴氏は「その方法として、政治的にはもう決着したが人間の心は政治だけで全部決着するわけじゃない。その歴史認識や慰安婦に対する色々な考えとか。それは人権人道の問題として日韓両国の国民が、これからどんどん交流していく中で、お互いの誤解をもっとほぐしていけば、また後の世代であの時の合意を一歩進めてこういう風にしましょう、文章にしたためましょうとかなるかもしれない。人権人道の問題を、韓国側の団体があまりにも政治問題化して、日韓が協調できない状況にもっていくというのは何らかの邪(よこしま)な政治的意図が働いている可能性もあるのではないかと思う。」と述べた。

日韓関係は北朝鮮との関係の中でも非常に重要だ、と細川氏が指摘すると朴氏は「日韓関係は、日朝、日韓、南北、この3つのトライアングルの中で起こっていること。日韓の中だけで問題を見ていれば、この正しい内容はよく分からないし、本質が出てこない。」と述べた。

20日にトランプ新大統領が誕生する。このことについて朴氏は、「トランプ氏というのは、以前のアメリカの大統領と比べると、理念を強調するのではなくて、経済的損益に中心がある。理念が間違っていても、儲かるのであればやろうじゃないかという風に出られると、日米韓で今まで固まっていた外交安全保障の連帯が崩れる可能性がある。」との懸念を示した。

さらに、「日本がトランプ氏を上手くコントロールして、日米同盟を盤石にしておく。それが日韓関係を良好に持っていくキーポイントだと思う。日韓の間でも、慰安婦像だとか、目先の問題に囚われて大騒ぎするのではなくて、急がば回れで、そういう時こそ何が根本か、日米関係を良好にして、日米同盟を強固にする。そう言った中で、日韓問題を解決していくというアプローチがいいのではないか。」と日米関係の重要性を強調した。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2017年1月14日放送の要約です。ラジオ放送ネット視聴サービスRadikoにて放送後1週間は録音を聞くことが出来ます。)

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

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トップ画像:©Japan In-depth 編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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