「変異株やワクチンの動向見て基準変える」西村康稔経済再生担当大臣
細川珠生(政治ジャーナリスト)
「細川珠生のモーニングトーク」2021年3月27日放送
【まとめ】
・変異株の流行状況やワクチン接種普及率等により、緊急事態宣言発出の指標や基準は変わる。
・Go Toトラベル全面解除は難しい。Eatは感染対策が万全な所を対象にしていく。
・努力規定については、各自治体の条例の中で考えることもありうる。
3月21日に非常事態宣言が解除され、新型コロナ感染症の拡大が止まらない。地方では第4波の懸念も出始めている中、今回のラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」は、経済再生担当大臣である西村康利衆議院議員をゲストに、今後のコロナ対策について聞いた。
まず細川氏は、今後の緊急事態宣言発出の指標や基準について聞いた。
西村氏は、「2回目の緊急事態宣言では、国民の皆様に協力いただき感謝したい」と前置きしたうえで、「しかし感染はゼロにはできないので、再び流行する恐れがある」と述べ、引き続き警戒が必要だとの考えを示した。
緊急事態宣言解除の基準は「今は1週間で10万人当たり25人以下の感染者という指標がひとつの解除の基準になっている」としたうえで、欧州などで広がっている変異株がどうなっていくか注視していく考えを示した。
また、「ワクチン接種が高齢者に進めばかなりリスクは下げられる。病床の数とか陽性者の数などを専門家の方に考えてもらわねばならない」と述べ、変異株による感染や、ワクチン接種の動向を見ながら指標をどう変えるか考えるとした。
続いて細川氏は、GoToキャンペーン再開の時期について、西村氏の見解を求めた。
西村氏は、「全国的なGo To トラベルの再開には、『ステージ2』という要件を達成しなければならず、現状では厳しい」と回答した。
続いてGo To Eatについて「感染が下がった地域では食事券やポイントを使ったりしている」と述べ、「飲食の方が感染リスクが高い。アクリル板とか換気や会話の時はマスクするなどの対策を徹底するところを対象にしていく」と述べた。
細川氏は、各省庁や官邸をはじめ、各知事や医師会、専門者会議など多岐に渡る関係各所との調整役の困難さについて聞いた。
西村氏は、「一日何回も知事とは話した。ある時は背中を押したり、逆に思いとどまらせたり、状況や数字を見ながらやってきた」と述べた。
細川氏が、首都圏知事達に「時短」を了承してもらった理由について聞くと、西村氏は、「1月2日に3時間くらい議論して、午後8時までの時短が大事だと粘り強く話をした」結果だったことを明かした。
また、知事間に温度差はあったのか?との質問には、「多少の温度差はあった」としたうえで、「午後8時までの時短で効果あった。スパコンを使いどのように飛沫が拡がるか解析し続けて来た。科学的に対策を進化させていかねばならない」と述べた。
▲写真 ⓒJapan In-depth編集部
細川氏は、「日本においての感染症対策の難しさは、緊急事態下でも国が国民に対して命令が出せないからだ。憲法では、公共の福祉に反しない限りは自由が認められている。感染拡大は公共の福祉に反することだ。現行憲法でもできるのではないか。国民とどう議論していくのか?」と聞いた。
これに対し西村氏は、「これまではゆるやかな法体系だったが、今回の時短要請には命令罰則規定を取り入れることができた。先進各国においても罰則・罰金、懲役までともなうロックダウンが行われているが、それをやるのか?」と述べ、欧米で行われているロックダウンを日本で行うことに対して慎重な姿勢を示した。
また、「憲法上どのような規定まで実施できるのか、さまざまな議論はあっていい」と述べたうえで、「努力規定については、国の法律以外に各自治体の条例の中で考えることもありうる」とした。
25年6か月続いたラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」は今回をもって最終回となる。これまで放送1337回、ゲストはのべ768人にお越し頂いた。細川氏はリスナーに対し、「長らくのご視聴ありがとうございました」と感謝の言葉で締めくくった。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2021年3月27日放送の要約です)
「細川珠生のモーニングトーク」
ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。