「官邸も総理も対応能力を失ってる」立憲民主党国対委員長安住淳衆議院議員
細川珠生(政治ジャーナリスト)
「細川珠生モーニングトーク」2021年3月6日放送
【まとめ】
・総務省接待問題、官僚の安易な驕りや緩みの一端。
・官邸も総理も対応能力を失ってる状態。感染症対策に失敗した。
・総選挙の争点はコロナ対策。
今週のラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」は、立憲民主党国会対策委員長、安住淳衆議院議員がゲスト。菅政権に対し、立憲民主党としてどのように対応していくのか政治ジャーナリストの細川珠生氏が聞いた。
細川氏は、総務省の接待問題について「単に利害関係者と接触したことが問題ではなく、『有力政治家の家族』の存在により問題が大きくなっている。親の立場や権威を威光に良い思いをし、それによって行政のあり方が問われる問題に発展した」と述べ「処分や辞任で一区切りがついたようにも見えるが、立憲民主党としてはどのように菅総理の責任を追及していくのか」と聞いた。
安住氏は、「総務省の幹部は、菅総理の息子だという理由で、東北新社と40回近くも会食したのだと思う。しかしここにきて、1万円の会費で58万円の接待を受けていたというNTTの、常識では考えられないような高額な接待(の問題が出てきた)。野党から見ると、『有力政治家の家族』(の問題)だけではなく、官僚の資質にも問題がある」と指摘し、「菅政権は、長期に渡った安倍政権の延長。そういう中で、官僚は国民ではなく官邸に目を向けている。自分の利害関係者とだけ交わればいいという非常に安易な驕りや緩みの一端ではないか」と述べた。
これに対し細川氏も、かつて官僚にあった矜持が失われつつあることを指摘したうえで、「政治家・官邸に気を使わなくてはならない現状に、官僚側が不満を抱いているのではないか。民間との関わりの中で、自己満足を求めているようにも見受けられる」との見方を示した。
また細川氏は、菅政権のメディア戦略について言及。「ぶら下りで菅総理の不機嫌な顔が映し出されたり、オリンピック組織委員会森喜朗前会長のジェンダーを蔑視する失言対し『今度の会長は女性でなければいけない』と口出しをするなど、イメージダウンをわざとしているようだ」と述べ、菅政権のメディア戦略について聞いた。
安住氏は「当初思い描いていたとおりに全く事が進まず、シナリオが崩れた。官邸も総理も対応能力を失ってる状態だ」と指摘、「一言で言えば、感染症対策に失敗したということ。政権を引き継いだ9月、感染者が減少したからといって経済優先へアクセルを踏んだ。当時、医者も世界中も、感染者が増加する冬季に備えワクチンを早く用意しろと警告していたにもかかわらず、感染症対策よりもGoToキャンペーン東京再開やハンコの廃止、デジタル庁の設置を行った」と述べ、政府のコロナ対策を批判した。
続けて安住氏は「あっという間に10月11月と感染者が増加し、GoToは挫折。小池都知事をはじめ首都圏の知事たちからすれば『何をやっているんだ』という話。発足当時の菅内閣がワクチンや感染対策を本気で考えて先手を打ってれば、今頃は1~2千万人がワクチン接種できていたはずだ」と述べた。
次に細川氏は、予算委員会開催中における野党の追及について尋ねた。
細川氏は「予算審議は参議院に移った。衆議院が通った日にちを考えると、参議院でどれだけ抵抗しても自然成立してしまうだろう。しかし、野党の追及によって、菅政権が今何をしているのか分かってくる。攻めどころとしてはどの辺りか」と聞いた。
安住氏は「実は、山田真貴子前内閣広報官の接待問題は文春ではなく我々が掘り起こし調査を出させた。今後も不祥事については追求していくつもりだ」としながらも「ただやはり、国民から見て大事なことは、感染症は本当に収まっていくのか、それからワクチンはどうなるのか、いつからマスクを外した普通の生活ができるのか、ということだ」と述べ、コロナ対策を中心に追究していく姿勢を示した。
続けて、「特に、変異株の出現によってワクチンにどのような影響が及ぶのか。政府は、しっかりと科学的根拠に基づいた資料を出して、国会で議論しなくてはいけない」と述べた。
▲写真 ⒸJapan In-depth編集部
細川氏は、ファイザー製ワクチンの変異株に対する有効性について、研究が行われているのかどうか聞いた。
安住氏は「何ヶ月で、何万人の人がワクチンを受けられるか国民に告知できるほどの統計がない。オリンピックを無理やりやるために何かをするのでなく、できるかどうかだ。その前にどれだけきちんと統計を出せるのか、ということだ」と述べた。また、「これは国民的な大変な作業。それにしては余りにもお粗末な供給計画だ。1億3000万人に対して1回に50万個来たところで、焼け石に水とは言わないが、これではどうにもならない」と断じた。
安住氏は、医療従事者以外にもワクチンが打てるようにする案やイギリスのようにボランティアを大量に動員し接種しやすい環境を作る案、より多くの航空会社の協力を仰ぎワクチン供給を増強する案、中国製やロシア製ワクチンも検討する案、国内の製薬会社に補助金を出しワクチン開発に力を入れる案などを挙げ、「すべてをかけて、あと1、2年で(コロナの感染拡大を)収めるという気概がないといけない。東京都の感染者数に一喜一憂していてはだめだ」と述べた。
菅政権への攻めどころはコロナ対策かと尋ねられた安住氏は「攻めるとか守るとかではなく、これをやらないと日本の存亡に関わる」と述べ、「日本という国が成り立たなくなる。学生が学校へ行けない。パートの人たちの仕事がなくなる。で、政府だけが株に金をつぎ込んでいる。 困っている人を助けるのが公助であるのに、株を公助してどうするのか。株価が落ちないように日銀が買い支え、見せかけの景気を作るというバカなことをやっている」と非難し、さらに「感染症をどうやって収めていくのか。それが政策的に正しいのかどうか。総選挙は絶対にここが争点になる」と述べた。
続いて細川氏は、「東日本大震災から10年経たった今、安住氏は被災地の出身だが、被災地が必要としていることは何か」聞いた。
安住氏は「最近また地震があったが、宮城県地域は被害が少なかった。なぜなら震災の教訓が生きているからだ。私もそうだが、多くの県民が本棚や箪笥など転倒の恐れがある家具を全部固定してる。瓦が少し駄目になった人は多いが、家具の下敷きになった人はいない。そういう点では、日本一防災に強い街になった」と述べ「魚もいっぱいいる、田んぼもたくさんある、そういうのを使って若い人がどんどん増えて、10年後にはこの地域を大化けさせる。これが全国の皆さんへの恩返しだ」と述べた。
細川氏は「まず一つ、災害に強い街という安心感がある。そのうえで新しい街づくり、例えば最先端技術の町であったりすれば、希望が見えてくる」と共感を示した。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2021年3月6日放送の要約です)
「細川珠生のモーニングトーク」
ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分
ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php
細川珠生公式HP https://hosokawatamao.com
細川珠生ブログ https://blog.excite.co.jp/tamaohosokawa/
トップ写真:ⒸJapan In-depth編集部
あわせて読みたい
この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。