[安倍宏行]<パリで欧州中のゴスロリ女子がオフ会>欧州で盛り上がる「本物のメイド・イン・ジャパン」への憧れ
Japan In-Depth編集長
安倍宏行(ジャーナリスト)
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パリっ子も世界中から来た観光客も目を丸くして口をあんぐり。そして何かに憑りつかれたようにカメラを取り出しは彼女らを激写し始める・・・それもそのはず、ゴスロリを身に纏った集団、数十名がパリを練り歩いたのだから。
仕掛け人は原宿ゴスロリファッションブランドの老舗、PUTUMAYO(プトマヨ)を展開する株式会社ハイパーハイパー早川千秋社長と、Angelic Pretty(アンジェリックプリティ)の株式会社ブティックa アトリエプリティの本多洋子社長の二人。
両社が現地時間2日に開催したイベントは「Tea Party (ティー・パーティー)」その名の通り、「お茶会」。ゴスロリ愛好者が集まり交流を楽しむ、オフ会である。そこに欧州中からゴスロリファッションに身を包んだ女の子が一堂に会したのだから盛観だ。
参加者の国籍も様々、フランス人以外にもオランダ人、イギリス人、中国人など国際色豊か。ただ、たかがお茶会とはいえ、参加費が40ユーロから60ユーロ、日本円にして5000円から8000円だからこれはかなり良家の子女でないと参加は出来ないようだ。
オシャレなティーサロン、ア・プリオリ・テで開かれたプトマヨのお茶会には日本のカワイイ大使、青木美沙子さんが登場、参加者は本物のカワイイに出会って目がハートに。
黒髪で眼が大きい大学1年生のフランス人、Marineにゴスロリ歴を聞いてみた。「(ゴスロリ歴は)この4年ぐらいね。初めてインターネットでゴスロリファッションを見て大好きになったの!大学には着ていけないけどね。」とはにかんだ。(写真)
ほとんどの子が、日本のゴスロリブランドを熟知し、ネットなどで購入、中には毎年親と一緒に訪日、原宿に買い物に行く猛者も。とにかく、皆、日本のゴスロリブランドに夢中なのだ。
両経営者に今後の展開を聞いてみた。
「うちはサンフランシスコでは、アメリカの会社に商品を卸し、委託販売している。欧州ではポップアップショップを中心に活動し、将来的に欧州圏のビジネスパートナーを模索する。アジアも同様に活動を進める予定。」(早川社長)
「パリでは3年ほどこちらの人間と組んで販売していたが、今はやっていない。顧客はつかんでいるので、是非またパートナーがいればやりたいと思っている。」(本多社長)
どちらも積極的な海外展開を睨む。プトマヨ主催のお茶会の後、さらに人数が増えパワーアップしたゴスロリ軍団は街に繰り出し、パレロワイヤルからオペラ座へ。テレビや雑誌の取材陣を引連れたゴスロリ軍団が練り歩くと、周囲の目はくぎ付けに。
アンジェリックプリティ主催のお茶会は5つ星ホテル ル・ブリストル・パリスで開催、参加者らが選んだベストドレッサー賞は、イギリス、ヨークシャーから来た中学校教師のMichaela Baker(ミカエラ・ベーカー)さんの手に。ゴールド色の髪飾りがゴージャスだ。
「最高!信じられない、全く予想していなかったからびっくりしました!」とうれしさを隠さなかった。
ゴスロリファンのアイコン(憧れの的)で、パリに来るのが4回目という青木美沙子さんに感想を聞いた。(写真)
「世界中のロリータ愛好家は本当に情熱的。市内をお散歩して、パリの情景とロリータファッションがマッチしていて、日仏文化が融合したと感じることが出来て良かった。」
2日からパリで始まった日本の伝統文化やアニメ・ファッション・食などのイベント、Japan Expoには、過去最大級の日本の企業やアーティストらが参加している。
ますます強まる「本物の」メイド・イン・ジャパンへの憧れ。その需要をどう取り込み、大きなビジネスとして育てていくのかが、古くて新しい課題であろう。
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