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.社会  投稿日:2014/10/20

[安倍宏行]【意外!エコな街名古屋の取組】~地域に根差した市民レベルの活動の広がり~


 安倍宏行(Japan In-depth編集長/ジャーナリスト)「編集長の眼」

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エシカル(ethical)と言う言葉を聞いたことがあるだろうか?英語で「倫理的な」という意味だが、広く環境保全や社会貢献活動のことを指すようになった。エコやオーガニック、フェアトレードなどの言葉と思想を同じくするが、知名度は今ひとつだ。

そうした中、名古屋でエシカルな活動が熱心に行われていることは意外と知られていない。この週末開催された、「白鳥庭園の名古屋まつり“エシカル&EDS(注1)でいきましょ!”~地球上の多様な命の繋がりを大切に、環境・人・社会にやさしく美しく~」というイベントがそうした活動の一つだ。名古屋を中心にエシカルな活動をしている50団体が緑濃い白鳥庭園の会場で一堂に会した。

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〈イベント野外マーケット〉

その一つ、名古屋学院大学みつばちプロジェクトは、2010年名古屋で開催されたCOP10、生物多様性条約締結会議のタイミングに屋上でミツバチ飼育を開始、白鳥庭園にミツバチに有害な農薬の使用中止を申し入れ、今では年間150キロの蜂蜜が採取できるまでになった。蜂蜜は商店街のオリジナルメニューに使われるなど、地域活性化に貢献している。

そのほか、エシカル・ファッション、有機野菜宅配、捨てられる素材で作られたバッグなど、エシカルな取り組みをしている団体が軒を連ね、多くの市民が訪れた。興味深いことに、女性の健康もテーマに挙がっていた。乳がんについてのトークイベントを聞いて、エシカルと何の関係が?と疑問を抱いたが、エシカル名古屋推進委員会の原田さとみさんが答えてくれた。

「エシカルとは、思いやり。女性が自分の身体を思いやり、元気でいることは、家族に対する思いやりにもつながります。」

又、今後の名古屋のエシカルな活動の広がりについても聞いてみた。

「エシカルは大きければいいというものではありません。地域に根差したものでなければ。ゆるゆる、じわじわと変わっていくものだと思います。小さくてもいいからしっかりと根付かせたい。名古屋への恩返しと思ってやっています。点が増えることが大事でそれが面になるんです。」(原田氏)

原田

〈エシカル名古屋推進委員会代表 原田さとみ氏〉

 

当日は6,000人の市民が同会場を訪れた模様。名古屋市民にエシカルという概念はゆっくりと、しかし着実に広がっているようだ。

一方、学生団体主導で「食」について考えるイベントも開催された。「食物語(たべものがたり)」(注2)と名付けられたこの取組は、現状のフードシステム(注3)を持続可能なものにするために私たちは何をすべきなのかを考える為に企画された。まず、有機栽培で作られた野菜とお米がふるまわれ、一人一人がおにぎりを作って、“食べること”の楽しさを体感した。

おにぎり

〈有機米でおにぎりを握る参加者〉

パネルディスカッションでは、有機農家、有機野菜の流通会社、食料の物流の専門家、環境に関する番組を数多く手掛けている放送作家、穀物メジャーモンサント日本法人など、各界の論客が議論した。(注4)

結論が簡単に出せる問題ではないが、地球がもはや人口爆発による食糧需要を支えきれない現状と、その解決のためには社会、経済、環境、それぞれの分野で従来のシステムそのものを大きくシフトさせていかねばならない、ということを参加者は感じ取ったようだ。

エシカルな活動が盛んな名古屋の一面を垣間見て、こうした活動は地道ではあるが、私達の生活を足元から見直すきっかけになることを強く感じた。

注1)EDS 、Education for Sustainable Development の略。

環境、貧困、人権、平和、開発といった、現代社会の様々な課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組むことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、そして、それにより持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動のこと。

2014年11月10日~12日 名古屋国際会議場にて、「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」が開催される。

http://www.esd-aichi-nagoya.jp/unesco/outline/index.html

注2)食物語主催団体

FOUR Re FOODS

http://fourrefoods.wix.com/homepage

注3)フードシステム Food System

食料品の生産から流通・消費までの一連の産業の相互関係を一つの体系として捉える概念。

注4)食物語パネルディスカッション登壇者

太田農園 代表 太田博之氏

にんじんクラブ 上田武史氏

構成作家 谷崎テトラ氏

中京学院大学、中京短期大学部健康栄養学科准教授 小林富雄氏

日本モンサント株式会社 広報部 内田 健氏

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