[古森義久]【米における韓国の反日活動に懸念】~日本も適切な対応を~
古森義久(ジャーナリスト/国際教養大学 客員教授)
「古森義久の内外透視」
アメリカの首都ワシントンでは韓国パワーの拡大が目立ってきた。その活動の多くが日本糾弾に向けられる。終戦70周年の今年、アメリカでの韓国系勢力による反日活動の盛り上がりが懸念される。
韓国系の活動の広がりはとくにワシントンの大手民間研究機関で顕著である。これら有力シンクタンクはアメリカの政府や議会にも大きな影響力を発揮するから、そこでの動きは国政に反映されることが多い。
そんな韓国パワーの拡大を改めて実感させられたのは2月4日、大手のシンクタンクCSIS(戦略国際研究センター) が主催した米韓関係についてのシンポジウムだった。CSISは韓国の外交安保研究所と提携しており、このシンポジウムも両機関の共催だった。
この催しの韓国側の参加者が印象的だった。つい昨年まで朴政権の副総理兼企画財政長官(大臣)を務めた玄旿錫氏がパネリストとして中心に座る。開幕の挨拶は韓国政府系の研究機関、外交安保研究所の所長、申鳳吉氏だった。その他、前駐米大使の崔英鎮氏、現駐米大使の安豪栄氏と、韓国の学界や外交を代表する大物が並ぶのだ。
これに対しアメリカ側もCSISの韓国研究部長を務めるビクター・チャ氏、新たにオバマ政権国務省で東アジア担当の次官補代理となったソン・キム氏と、いずれも韓国系米人の知名度の高い人物が代表を務めた。さらには元国務副長官のリチャード・アーミテージ氏も顔をそろえた。
米韓両方のこうした有力者たちが大規模な聴衆を前に米韓同盟などについて語るのだが、安豪栄大使はアメリカでの韓国パワー拡大そのものについても堂々と宣言した。「最近、首都のワシントン地区での韓国の存在の拡大が目立ちます。最も顕著なのはアメリカ側大手研究機関での韓国チェア(研究部門)の拡散です。」
韓国チェアとはこのCSISのような大型シンクタンクの韓国研究部門のことで、研究所の内部に特別に独立した部門を設けて、韓国関連の調査や研究をするセクションである。
大手シンタンクでは個別の国の研究では年来、日本チェアが最多だったが、最近では韓国チェアが韓国企業からの多額の寄付などを得て、増えてきたのだ。ちなみに共和党系のヘリテージ財団でも活発に動く韓国研究部門が存在してきたが、民主党系のブルッキングス研究所でもつい昨年、韓国チェアが新設された。その他の大手民間研究機関でもほとんどが韓国研究部門を開設するにいたった。数年前にはなかった現象である。
問題はこれら韓国研究部門が頻繁に日本非難の舞台として使われることである。前述のCSISのシンポジウムでも日本政府がアメリカの教科書の慰安婦についての誤った記述に抗議をしたことがきわめて批判的に取り上げられていた。日本側としても超大国アメリカでの韓国パワーの反日志向には適切な対応が求められるといえよう。