[渋谷真紀子]【日本の夫婦愛は特殊なのか?】~「愛してる」より「ありがとう」~

<トップ画像/“結婚30年以上、妻の肩に手を乗せて寄り添うのは仲が良すぎる?!”>
渋谷真紀子(ボストン大学院・演劇教育専攻)
「愛してる」と言わないのに愛のある夫婦、仲が良さそうにみえるのに「仮面夫婦」と呼ばれる夫婦が存在する等、日本人の夫婦愛の見分け方は難しいという記事をきっかけに、大学院の友人(カナダ人)と日本の夫婦像について話しました。彼女は、私が脚本・演出している「現代版・竹取物語」の媼(おうな)・お母さん役を演じており、役作りのため日本人の夫婦像を調べていました。脚本発表した際、アメリカ人からは「夫婦のやりとりが非常に日本らしかった」という意見をもらった一方、日本人からは「夫婦が家の中でも仲が良すぎて不自然だった」というフィードバックがあり、日本の夫婦の特徴をより考えるようになりました。
記事の中には、日本人は役割に忠実な為、仮面夫婦でも「養育費を稼ぐ」「食事を作る」「子供の行事には一緒に参加する」等、夫婦として決めた役割は果たす傾向があるとありました。
日本人夫婦は愛情表現を人前でアメリカ人程しないので、本当に仲が良いか愛があるかを見極めるのは難しいといいます。アメリカ人の友達は結婚相手がいかに素晴らしく自分が愛されているか、よく話します。不仲になると自ら話さなくなる等するため、わかりやすいようです。逆に日本人の場合は、謙遜する傾向があるため、本当に深い絆で結ばれている夫婦でも余り会話のない夫婦でも、外向きには同じようにみえることもあるといいます。
では、何が「日本らしい愛のある夫婦」とみえるのか?違いは、「愛してる」の多さではなく、さりげない「ありがとう」が家の中でも外でも素直に出てくるか否かではないかと思います。
自らのろけることや人前での明らかな愛情表現が少ない日本人の夫婦は、相手に関心があるか、相手の変化に気づける日常的な会話があるか、人前でもさり気ない気遣いができているか等、建前として取り繕わなくても2人の雰囲気から滲み出る仲の良さに表れると思います。
脚本では、「愛してる」という言葉や明らかな愛情表現ではなく、「この前話してた●●はどうなった?」「この件、喜んでもらえてよかったよね。」「いつもありがとう、助かる。」等、日常的に気遣いあう会話があること自体、その会話の中に夫婦愛は含まれているのではないかということになりました。
今月はホワイトデー。取り繕った「愛してる」より心のこもった「ありがとう」を伝えてみてはいかがでしょうか 。







![[渋谷真紀子]【芸術が「平和的な対話」を生む】~想像力をかきたてるチカラ~](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/japanindepth/wp-content/uploads/2015/01/3b64c07c429fae8d5a34514309d18549-164x122.png)
![[渋谷真紀子]日米でチームワークの考え方に大きな違い!? 〜元広告ウーマンが感じた日米チームワークのギャップ](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/japanindepth/wp-content/uploads/2013/12/gazou158-164x122.jpg)
![[石川和男]<国立社会保障・人口問題研究所 調べ>結婚後に「夫は仕事・妻は専業主婦」と考える既婚女性は45%](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/japanindepth/wp-content/uploads/2014/09/ishikawa_JID_bnr-08-164x122.jpg)
![[山田厚俊]【多様な価値観認める社会築け】~渋谷区「同性婚証明書」に見る~](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/japanindepth/wp-content/uploads/2015/02/150223yamada01-164x122.jpg)

















