.国際  投稿日:2015/5/11

[古森義久]【アメリカ人学者たちの傲慢と偏見】~研究者ら187名による「日本の歴史家を支持する声明」~

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古森義久(ジャーナリスト/国際教養大学 客員教授)

「古森義久の内外透視」

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もし日本の一群の歴史学者たちがアメリカのオバマ大統領に書簡を送り、「アメリカ全体として過去の過ちを反省や清算することが大切だ」などと言明したら、どうなるだろうか。他国の元首に特定の言動を求め、その国の国民全体にも、「反省や清算」を要求するなどというのは、そもそも学問の世界を離れてのなまぐさい政治活動だとされるだろう。他国の国のあり方や心の持ち方にあれこれ文句をつけるという傲慢さの非常識を厳しく責められるだろう。

しかしアメリカの歴史学者たちは、日本に対して平然とそんな行動を取るのである。日本の大手新聞各紙が5月7、8日に報道した「日本研究者187人の声明」がそれだ。慰安婦問題での長年の日本糾弾で知られるコネチカット大学の歴史学者アレクシス・ダデン教授らが中心となり、安倍晋三首相にも直接に送ったという声明である。

声明は要するに慰安婦問題で日本の態度や心のあり方をあれこれ指示しているのだ。具体的には「日本政府が過去の植民地支配と戦時の侵略の問題に立ち向かう」とか「過去の過ちについて全体的で偏見のない清算をする」など、要するに高所からお説教である。特定の政治的な立場の押し付けでもある。

日本について研究しているというアメリカやイギリスの学者、研究者が主体だが、アメリカやイギリスの「過去の植民地支配と戦時の侵略」というテーマはどうなのだろう。この両国は植民地支配と他国への軍事攻撃という意味での侵略は数え切れないほど重ねてきた。自国の元首に同じ要求をぶつけたらどうだろうか。

そもそもアメリカの日本研究者とはなんなのだろう。単なる研究者、学者ではないか。選挙によって選ばれた議員でも元首から任命された官僚でもない。アメリカの国民を代弁する立場にもない。そんな人たちが数を頼んで、圧力をかけるように、日本国や日本国民に向って命令や指導をするのである。日本はいつも特定の考え方を保たねばならないと強圧する思想警察のようでもある。敗戦後の日本を占領したGHQ(連合軍総司令部)のメンタリティーさえ感じさせる。

かつての歴史ではアメリカになにからなにまで支配される中南米のバナナ生産国が「バナナ・リパブリック(共和国)」と、なかば侮蔑的に呼ばれることがあった。今回のアメリカ人学者たちの高圧的な指示は日本をバナナ共和国扱いしているともいえる。

予想どおり朝日新聞はこの声明を金科玉条のように大々的かつ賞賛をにじませて報道した。慰安婦問題での朝日新聞の特定の政治的主張に合致するところがあるからだろう。

日本はアメリカの防衛力に依存しているとはいえ、精神的な植民地でも属国でもない。たかが外国の研究者、学者の集団に国のあり方を命令される立場にはないのである。この基本原則は日米両国が第二次大戦での敗者と勝者だったという歴史の重みを越えての戦後70年の現実なのだといえる。

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