「再エネか原子力か、の二者択一はもうありえない」国民民主党榛葉賀津也幹事長
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部(成沢緑恋)
【まとめ】
・原子力か再生エネルギーかという二者択一はもうあり得ない。
・電力の安定供給が共有できなかったら給料を上げることはできない。
・安全第一、地元の納得第一、その上で一刻も早く安価な電力を安定供給するインフラ再構築が大事。
11月27日、国民民主党の玉木雄一郎代表らは、石破茂首相に第7次エネルギー基本計画に対する要請書を手渡した。“再エネ最優先”“原子力低減”といった二項対立ではなく、脱炭素かつ他国依存度の低い電源の最大限活用を要望した。原子力については、建て替え・新増設の明記、費用回収の予見性確保などの事業環境整備に加え、長期化する新規制基準適合性審査の加速も求めた。
岸田政権下では原発再稼働は進んでこなかった。2025年には、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働が注目されている。
原発再稼働に関し、榛葉幹事長は、29日の会見で、まず安全第一を強調した。
「BWR(※1)もやっと動き出しましたね。女川原発を始めとして動き出したし、島根原発を含めて兆しが見えてまいりましたので、そういった意味では、やっぱり安全性第一ですね」。
柏崎刈羽原発については、「新潟県知事さんの思いも当然尊重しながら、安全性第一で、動かせる原子力発電所はしっかり動かしていかないと」と述べ、再稼働は必要との考えを示した。
その上で榛葉幹事長は、電力消費が急増している現状に触れた。
「今後、我が国の経済を上向かせるためには、言うまでもなく、データセンターとか半導体工場、こういった莫大な電力を利用する施設がなくして我が国の経済の再構築がない。
そのためには原子力か再生エネルギーかという二者択一はもうあり得ないね。原子力と再生エネルギー全てを使ってもまだ足りないんだから。電力の安定供給なくしてこの国の経済の発展は無いし、電力の安定供給なくしてものづくりのみならず新しい産業の発展は無い」。
榛葉幹事長はこのように述べ、電力需要が急増する中、再エネか原子力発電か、という二者択一ではなく、どちらも電力の安定供給にとって必要だとの考えを示した。
また、給料を上げるためには、原子力発電をベースロード電源として活用することが必要だとして、次のように述べた。
「給与の上がる日本経済、 この1番のベースロードは、やはり電力の安定供給。ここが共有できなかったら給料を上げるなんてことはとてもできないと思います。したがって、何度も何度でも申し上げますが、安全第一、地元の納得第一、その上で一刻も早く安価な電力を安定供給する、そのインフラを再構築することが大事だと考えています」。
※1 BWR
沸騰水型原子炉。軽水炉の一種で、原子炉内で冷却水を沸騰させる炉型式で発生した蒸気をそのままタービンに送り発電する。蒸気は放射性物質を含む水から作られているため、タービンや復水器についても放射線の管理が必要となる。
トップ写真:榛葉賀津也国民民主党幹事長 2024年11月29日 東京千代田区
ⒸJapan In-depth編集部
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。