スポーツ  投稿日:2015/6/4

[瀬尾温知]【サッカー新時代到来となるのか?】~FIFAブラッター会長辞任~

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瀬尾温知(スポーツライター)

「瀬尾温知のMais um・マイズゥン」(ポルトガル語でOne moreという意味)

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不意を討つ辞任だった。FIFAのブラッター会長が2日、スイスのチューリヒにあるFIFA本部で緊急の記者会見を開き、「すべての人に支持されていない。抜本的な改革が必要だ」と述べ、辞意を表明した。

「FIFAのイメージを回復する責任がある」と意欲を示しての再選からわずか4日の突然の辞任だった。アメリカ司法当局による贈収賄の捜査に包囲網を崩され、最大権力を持つサッカー機関のトップの座から屈伏するかたちとなった。

副会長を含む7人の理事とスポーツマーケティング会社の幹部らが起訴され、そこからの証言で、アメリカ検察やFBI・連邦捜査局は、不正に関わっていた他の関係者にも捜査に踏み込む段階へ展開していた。

イギリスのサンデー・タイムズ紙は5月31日、スイス検察当局が2018年と2022年のワールドカップ招致に関する不正疑惑の捜査として、ブラッター会長を聴取する方針と報道。さらに2010年ワールドカップ招致に成功した謝礼として、南アフリカ側から当時のFIFA副会長のワーナーに渡ったとされる賄賂1000万ドルをFIFAのバルク事務局長が送金したとみられる、とニューヨーク・タイムズ電子版が1日に報じた。

すでに起訴された者による証言から身の回りに捜査の手が伸びてきたことで観念したのだろう。責任を取って辞すのであれば、会長選の前に決断していたはずである。サッカーとFIFAを愛していると語るのだから、自身が潔白で不正に関与していなければ続けることも可能だった。そうしなかったのは、自身も関与していると認める辞任に見えた。現段階で14人が起訴されており、今後も増えるようであれば、多数の口が黙秘を貫くとは考えにくく、案外あっさりと自供して、全容の解明になるのではないかと考えている。

ブラッターは次期会長を選ぶための臨時総会を開くよう理事会に要請し、今年の12月から来年3月の間に臨時総会は行われる見通しである。選挙が行われるまでは会長にとどまるブラッターは、「FIFAは会長の任期を設ける必要がある。それは理事職についても同じように言える」とも会見で意見を述べた。8代目の会長として17年、アヴェランジェ前会長の右腕だった事務局長時代なども含め40年の長期にわたってFIFAに在任した不正問題の責任者として、せめてもの訓戒を残した。

次期会長には、会長選に出馬したヨルダンのアリ・フセイン王子が新たに名乗りあげることをすでに表明。ブラッターの辞任について「正しく、勇気ある決断だった」と語ったUEFA・欧州サッカー連盟のプラティニ会長が立候補すれば、最有力候補となるだろう。

話は逸れるが、その会長選は209の国と地域の団体がそれぞれ1票を持ち、無記名で投票する中継を見たが、2つのブースにそれぞれ1人ずつ足を運んで、そこで記入してから投じるという方法なのでやたら時間がかかる。IOC・国際オリンピック委員会が開催地を決めるときに用いる押しボタン式とは大きな違いである。

2002年の開催地を決めるときに、韓国が臨時便をボンボン飛ばして続々とスイスに降り立ち、FIFA関係者を接待して連日連夜のパーティーが開かれたと先輩記者は当時の様子を話したが、サッカーが商業として飛躍した時代は贈収賄などの汚職によって終わりをつげ、新時代を迎えることになる。常につきまとう利権への対応策が求められている。

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