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.JID,.国際  投稿日:2015/11/12

[Japan In-depthチャンネルニコ生公式放送リポート] 【膨張する中国の野心〜日本はどう対峙する?〜】〜外交政策研究所代表 宮家邦彦氏に聞く〜


 

2015年11月11日放送

Japan In-depth 編集部(Sana)

今月初めソウルで、中国の李克強首相・韓国の朴槿恵首相・日本の安倍首相により日中韓三国首脳会談が開かれた。本会談は、沖縄県・尖閣諸島の国有化に中国が反発し中断されて以来約3年半ぶりの開催であった。昨今、慰安婦問題や領土問題、そして安保成立を背景に三国の関係が冷え込むなか、「歴史を直視し、未来に向かうとの精神の下、三カ国協力を強化する」という共同文書が発表され、今後も継続的に三国の首脳会談を行う方針が確認された。この友好的な決定の裏に、三国それぞれどのような思惑を抱いていたのか。立命館大学客員教授、外交政策研究所代表の宮家邦彦氏をゲストに、三国首脳会談開催の話題に加え、中国の訪欧・中台首脳会談、欧米の難民問題、アメリカの大統領選など、盛りだくさんの1時間となった。

まず安倍編集長から「今回の三国首脳会談をどう評価するか」と聞かれた宮家氏は「今の安倍首相は強い。中国は安倍首相を無視できなくなっている。民主主義的な韓国は国内の反発が想定されるなか、首相の独断で会談の開催を決めることはできないが、アメリカにも日本との関係改善を促された手前、今回を好機と捉えて参加したのだろう」と開催に至った経緯を解説した上で、「しかし、開催されたからといって、何かが動いたわけではない。これだけの問題を抱えているため、簡単に何かが解決されるはずがない」と、今回の三国首脳会談によって、三国が共有する問題が解決に向け前進したわけではないとの考えを示した。

「韓国が歴史問題を提示しなかったことについてどう考えるか」と安倍編集長が尋ねると、宮家氏は「朴首相も国内からの要求を抱え、日本も曲げられないものもあり、折り合いをつけるのは難しい。しかし、折り合いをつける努力を続けることは大事である。中国を意識するアメリカも、同盟国である日本と韓国の関係が好転する方が良いと考えているはずだ」と述べた。一方で、「アメリカ国内が必ずしも日本寄りで一致しているわけではない。第二次世界大戦の最中、立場上“アメリカ人”になることを選んだ多くの日系アメリカ人と違い、在米韓国人は韓国国籍を持ちながらアメリカに根を張った。政治的な主張も強い彼らの手前、彼らが多く住む州から立候補する政治家は韓国人の意見を尊重しようとする」と解説した。

慰安婦問題に関して安倍首相は「助成金の用意がある」と発言したことについて、宮家氏は「慰安婦問題の解決をいつにするのか。この問題は“お詫び”と“許し”が必要である。この問題を終わらせないことが大事という韓国の姿勢が変わらないと、この問題は解決しない」と述べた。

三国首脳会談の前後で、中国の習近平国家主席は訪欧し、中台首脳会談が開かれた。イギリスは欧米で初めて中国製原発建設の導入を決めたことに関して、「原発の技術を輸出しようとしている日本にとって、今後国外での原発建設を進めようとする中国は厄介な存在だ。」と安倍編集長が指摘すると、宮家氏も「イギリス国内でも、今回のキャメロン首相の決定に反発する声はある。かつて七つの海を制した国と言われたイギリスは、かつての覇者としての立場を失いつつある」と述べた。また、中台首脳会談については、「総統選を控え、劣勢の国民党の存在感を高めるための馬英九総統のアピールだろう。“中国と会った”ということを言いたかっただけだ」と宮家氏は指摘した。

話は一転、安倍編集長が「憲法改正10000人大会」を取材したことから、憲法改正に進んだ。安倍編集長は「国会議員の422 名が憲法改正に署名している。宮家氏は改正についてどう考えるか」と尋ねると、宮家氏は「解釈改憲ばかりを続けると、現実と憲法の乖離が大きくなる。その点で、憲法改正はきちんと考えるべきだが、“何条”の“どこ”を変えるのか、という次の議論のステップに進むべきだ」と述べた。視聴者から「日米同盟だけで事足りるのではないか」と意見が出ると、宮家氏は「紙で“同盟国”と書いて成立するものではない。同盟国としてやるべきことをやり、お互いを守りあうことで初めて成り立つ。仮に尖閣諸島が襲われたら、米軍と共に、自衛隊も戦うことが、“同盟”であるが、いきなり自衛隊が出たら戦争になる。そうならないためにまず日本が独自で守ることが必要になる。(そういう意味で)まず前線となり得る海上保安庁に予算を投じる必要がある」と反論を述べた。

話題は難民問題と米大統領選に移った。宮家氏は「問題は当分続く。エジプト・シリア・イランなど、中東の統治機構は崩壊しつつあり、中東の核拡散は広がるだろう。欧米と中東の関係が大きく変わるときである」と述べ、米大統領選については「アメリカはまとまった党が選挙に勝つ。11時間の公聴会を乗り切った民主党のヒラリーがこのままの勢いでいくと、分裂している共和党がまとまらない限り、民主党が勝つだろう」と述べた。

(この記事は、ニコ生【Japan In-depthチャンネル】2015年11月11日放送 を要約したもです。ニコ生【Japan In-depthチャンネル】

※トップ画像:ⓒJapan In-depth 編集部

 

 


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