[Ulala]【仏・極右政党の支持率急増】~地域圏議会選挙、目前~
Ulala(ライター・ブロガー)
「フランス Ulala の視点」
フランスでは12月6日に地域圏議会選挙の第一回目が行われるが、先月起きた同時テロをうけ、国内に流入する難民・移民による犯罪やテロを心配する国民が増加したことも影響し、極右政党「FN(国民戦線)」の支持率が増加している。この選挙は13に分かれている州の議会議員を選出するものではあるのだが、重要な点はそれだけではない。2017年に控えている大統領選挙の予備選とも言われているため注目度も高いのだ。
FNは以前よりノール=パ・ド・カレー・ピカルディ、及びプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュールの二つの州で優勢であり、それは今も変わらない。が、しかし今回はこの二つの州だけではなく、他のいくつかの州でも急速に支持率が伸びている。フランスの新聞ル・モンドの調べによると、すでにアルザス・シャンパーニュ=アルデンヌ・ロレーヌでも優勢のようだ。
FNはフランス人至上主義を掲げ、黒人やイスラム系の移民排斥を唱えており、過激である印象が強い極右政党であったが、2011年マリーヌ・ル・ペン氏が新党首になってから、反ユダヤの発言を繰り返してきた父ジャン=マリー・ルペン氏を退けるなど、徹底的な党改革を行いイメージの一新に力を注いできた。
その結果、今ではFNの支持者であることはもはやタブーではなくなりつつある。実際に、FNに投票することにためらわない人も出てきたのだ。
また従来からある「フランス経済不安の高まり」「移民に対する反発」により支持を得ていたが、「テロへの恐怖」が加わり更に支持する人が増えた。
全国レベルでの支持率調査によるとLR(共和党)が支持率を落とし29%になったが、代わりにFNが30%となり、現時点の予想ではトップだ。この支持率の値は2014年にFNが勝利した欧州議会選挙や、2015年春の得票率が2位だった県議会選挙の際の支持率と比べても上回っている。
しかし、どれほどイメージを和らげても、FNは外国人の権利制限を目指す極右政党であることに変わりはない。
つい先日も、11月29日のマリーヌ・ル・ペン氏のtwitterの内容が話題になったのは記憶に新しいだろう。
「フランス国籍に値するには、フランス語を話し、フランス風に食べ、フランス風に生きなければいけない。」
この発言には、数々のコメントが寄せられると共に、#untajinepourmarine (マリーヌにタジンを)と言うハッシュタグができた。そこではマリーヌのためにモロッコ・アルジェリア・チュニジアなどの料理であり、フランスでもよく食べられるようになったタジン料理の写真がアップされ続けたのだ。
他にも、12月2日のフランスのラジオEurope1では、現在いろいろな疑惑がもたれているフランスチームのサッカー選手カリム・ベンゼマに対して、
「彼は、フランスチームに入るべきじゃなかった。なぜなら、フランス国家を歌わないから」
という発言もあった。
また、マリーヌ・ル・ペンだけに留まらず、姪にあたるフランス共和政史上最年少の国民議会議員であるマリオン・マレシャル=ルペンは12月1日にはこう言っている。
「イスラム教徒は習慣や生活様式に準拠する場合以外はフランス人になれない」
「ランス大聖堂のフランス王戴冠式と革命記念日の連盟祭に感動しないなら、本当のフランス人とは言えない」
これらが本当に、現在のフランス国民の大多数が望んでいることなのだろうか?
すでに、各投票場の前には立候補のポスターが張られ、日曜日の投票を待つばかり。1回目の投票の後は、10%以上得票した政党のみが13日に行われる2回目の投票に進むことになる。
まずは第一回目選挙の6日の結果に注目したいところだ。