CNNキャスター、糞発言で謝罪
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・CNNキャスター アンダーソン・クーパー氏、トランプ支持者に暴言。
・「大統領が机に“糞しても”弁護するのだろう」と言い放ち後謝罪。
・リベラルメディア偏向の実例だと批判巻き起こる。
CNNテレビの有名なニュース討論番組司会者のアンダーソン・クーパー氏がトランプ大統領の支持者の発言に腹を立て、きわめて汚い言葉を口にして、すぐに謝罪するという騒ぎがあった。この暴言を保守志向のハリウッドの著名な俳優が手厳しく批判し、波紋をさらに広げた。
アメリカのメディア界でのトランプ政権への賛否をめぐるやりとりはますます過熱ということだろう。
CNNテレビのニュース討論番組「アンダーソン・クーパー360」のアンカー(司会役、進行役)アンダーソン・クーパー氏は5月19日の同番組で政治評論家のジェフリー・ロード氏に対して「あなたはトランプ大統領がたとえ自分のデスクの上にクソをしても、彼を弁護するのだろう」と述べた。
この問題の言葉は「take a dump」という表現で、英語では野卑な言葉とされ、日本語の「大便をする」というよりももっと乱暴で、あえて訳せば、「クソをする」とか「ウンコをする」に匹敵する。
クーパー氏はトランプ政権叩きの顕著なCNNのなかでもとくにトランプ嫌いとして知られており、大統領選挙中から過激な言葉でトランプ批判を続けてきた。
19日の番組はトランプ大統領が自ら解任したジェームズ・コミ―CIA(連邦捜査局)長官に批判的な言葉をぶつけたという報道がテーマだった。その討論のなかで保守系の政治評論家のロード氏がトランプ大統領の言動を弁護し、支持することに怒りをあらわにしたクーパー氏がついに司会者の限界を超えて、ロード氏にそんな乱暴な言葉をぶつけたのだった。
クーパー氏は同じ番組のなかですぐに「いまの言葉は職業的ではなく粗野であり、心から申し訳ないと思う」と謝罪した。番組後の自身のツイッターでも、同じ謝罪を繰り返した。
この暴言は一般にはCNNが徹底した反トランプ報道を続けていることの証明のようにも受け取られ、とくに保守派からはCNNの報道機関としての偏向のあらわれとの非難がぶつけられた。
その非難の一例としてはハリウッド映画の俳優として有名なジェームズ・ウッズ氏が自分のツイッターやブログでクーパー氏の暴言を「リベラル・メディアの偏向の実例」と批判し、「クーパー氏はスカトロジー(糞便学)の大家だ」とおちょくったことが一般向けにも報じられた。
トップ画像:アンダーソン・クーパー氏 Photo by Tulane Public Relations
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この記事を書いた人
古森義久ジャーナリスト/麗澤大学特別教授
産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授。1963年慶應大学卒、ワシントン大学留学、毎日新聞社会部、政治部、ベトナム、ワシントン両特派員、米国カーネギー国際平和財団上級研究員、産経新聞中国総局長、ワシントン支局長などを歴任。ベトナム報道でボーン国際記者賞、ライシャワー核持込発言報道で日本新聞協会賞、日米関係など報道で日本記者クラブ賞、著書「ベトナム報道1300日」で講談社ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。著書は「ODA幻想」「韓国の奈落」「米中激突と日本の針路」「新型コロナウイルスが世界を滅ぼす」など多数。