.社会  投稿日:2018/11/19

クラシックカーに酔いしれて


Japan In-depth編集部(坪井映里香)

 

【まとめ】

クラシックカー100台余が集まるイベントが都内であった。

・オーナー達は所有する車への愛情を口々に語った。

・車離れが進む中、未来の車社会の在り方考えるきっかけに。

 

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11月17日、トヨタ自動車株式会社、トヨタ博物館の主催で「2018トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑」が開催された。

 

一般公募で集まったクラシックカーは100を超え、それらが一堂に会したその光景は、圧巻としか言いようがない。クラシックなスタイル、エンジンの音、エキゾーストガスの臭い。秋晴れの塔右京・外苑で、ノスタルジックな雰囲気に老若男女多くの来場者がクラシックカーの勇姿に酔いしれた。

 

オープニングセレモニーを終え、10時20分よりクラシックカーパレードがスタート。日米欧100台弱のクラシックカーが、会場である聖徳記念絵画館前から青山通り、銀座、日比谷を通る約11キロの公道コースを駆け抜けた。

写真)スタートフラッグを振りおろすトヨタ博物館布垣直明館長

©2018 トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑

撮影)Japan In-depth編集部

 

オーナーとして参加した東京都の川瀬友和さん(61)に話を聞いた。川瀬さんは、1965年式のASA 1000GTでの参加だ。この車は、現在は山形県にあるチンクエチェント博物館にもともと展示してあったもので、移転の際に処分されるところを、車屋を通じて購入したという。終えたばかりのパレードの感想を聞くと、「銀座はすごく人が多くて手を振ってくれたりとか、いつもと違う嬉しさがあった。」と、高揚感を隠しきれない様子だった。

 

1960年代、イタリアが好景気の時期にフェラーリが、若者向けに安いスポーツカーをつくるというプロジェクトをたてたところ、イメージダウンにつながりかねないという危惧からプロジェクト自体がお蔵入りになりかけた。そこで、石油会社であるASAがそのプロジェクトを買い取り、フェラーリのスペックを持ったASAの車として生産された。それがASA1000GTだ。しかしなかなか売れ行きがふるわず、100台ほどの生産で打ち切られてしまったそうだ。川瀬さんは、「このストーリーが好き」だという。ボディや乗り心地はもちろんだが、「フェラーリマークがついていない4気筒のフェラーリ(だ)。」と、愛車に対する情熱を語ってくれた。

写真)ASA100GTとオーナーの川瀬友和さん

©2018 トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑

撮影)Japan In-depth編集部

 

今回は平成最後のクラシックカー・フェスティバルということで”Japanese Vintage Year1989”という企画展示が行われた。1989年に登場した、スバル・レガシィツーリングワゴン、トヨタ・セルシオ、ニッサン・スカイラインGT-R、ホンダ・NSX、ユーノス・ロードスターの5台の車がメーカーの垣根をこえて集まり展示され、午後には会場内を走行した。

 

写真)マツダ ユーノス ロードスター

©2018 トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑

撮影)Japan In-depth編集部

 

ホンダコレクションホールの坂倉宏氏は、NSXを「緊張ではない、開放するスポーツ」というコンセプトのもと、当時隆盛を極めたホンダのF1マシンと同様のスペックを持ちつつ、軽く乗りやすい車両として紹介し、その技術はフェラーリにも影響を与えた、という点を述べ、当時のホンダ車の高い技術をうかがわせた。

写真)ホンダNSXとホンダコレクションホール板倉宏氏(左)

©2018 トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑

撮影)Japan In-depth編集部

 

これら5台の車はどれも未だ根強い人気を持つ。スカイラインGT-R(R32)について、日産自動車株式会社の中山竜二氏は、「このモデルは4万3千台ほど生産されたが、(国内保有ベースで)まだ3万台ほど残っているのではないか。」と述べ、このクラスの高性能スポーツカーとしては異例との認識を示した。

写真)日産 スカイラインGT-R

©2018 トヨタ博物館クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑

撮影)Japan In-depth編集部

 

 1913年式のイギリス製ACソサイアブルの展示や、1937年式ホルヒ853の記念乗車撮影には多くの人が集まり、外観だけでなく、ボンネットを開けてエンジンなどメカニズムもカメラにおさめていた。1989年製の日本車を懐かしそうに眺める人もいた。

 

 ふと我に返ると、現代の車を取り巻く環境はきょう見たクラシックカーの時代のそれとは全く違うことに気付く。EV(電気自動車)、水素自動車、自動運転等々、車関連の技術開発のスピードはめざましい。さらに、車は所有するものから「シェア」するものとの認識も急速に広まっている。車を運転する楽しみ、自分のパートナーとして慈しむ喜びはどこに行ってしまうのか?

 

 今走っている車もいつかはクラシックカーになる。その時、私たちは今日会ったクラシックカーのオーナー達のように、「クルマ」を愛でているだろうか?

 

 平成最後のクラシックカー・フェスティバルは、新しいモビリティの世界への期待とともに、かすかなもの悲しさを私に残して閉幕した。

 

 

トップ画像

アルファロメオジュリアスパイダー

©2018 トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバルin神宮外苑

撮影)Japan In-depth編集部

 

 

 

 


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