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.経済  投稿日:2019/3/18

米で好調第4の植物性ミルク


ファイゲンバーム 裕香

「裕香のFrom California」

                                     

【まとめ】

・米で牛乳売上減、植物性ミルクが好調。

・植物性ミルク生産へ移行始めた乳業も。

・オートミルク人気で関連商品も次々開発。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=44759でお読みください。】

 

牛乳の代わりになる植物性の代替ミルクには、ソイミルク、アーモンドミルク、ココナッツミルクなど色々あるが、今、アメリカでは新たな仲間が登場した。オートミルク(Oat Milk : オート麦=燕麦(えんばく)で作られたミルク)だ。2017年3月に行われた市場調査会社ミンテルの調査によれば、2020年までに牛乳の売り上げは11パーセントも減ると予測されている。

その一方で植物性のミルクの売り上げは、年々拡大していて、2024年までに340億ドルを超える見込みだという。この背景には、アレルギーや乳糖不耐症を持つ人だけではなく、健康志向の高まりや、環境への意識の向上が見られる。

▲写真 多くの企業が参加し、オートミルクを自社の新商品として並べていた(Natural products expo)出典:筆者撮影

オートミルクは、食物繊維のβ-グルカンが豊富で消化吸収がよく、ビタミンEや葉酸が含まれるため、アンチエイジング効果もあると言われている。ほんのり優しい穀物独特の甘みと、とろみがあって美味しい。

Squareが行った調査によれば、2017年6月以降、オートミルクの売り上げは、1年間で425パーセントも増加した。植物性ミルクの代替品として、アーモンドミルクを押しのけて、アメリカの植物性ミルクの首位にたつ勢いだ。

ニューヨークに本社を持つELMHURSTは、1925年に設立され、アメリカ東海岸のもっとも大きな乳製品会社の1つだった。しかし、近年になり顧客がどんどんと離れていくことに危機を感じたELMHURST社は、2017年に乳業を閉じることにした。創業者のヘンリーも「低温殺菌牛乳は、今や時代遅れになっている」と感じたことがきっかけだ。

そして、新たに植物性ミルクの会社として生まれ変わることになった。ヘーゼルナッツ、カシューナッツ、クルミ、アーモンドミルク、ピーナッツのミルクを売り始めると、アーモンドミルクがヒットし、その後、オートミルクが大ヒット商品になった。乳化剤と増粘剤を使わずに作られたミルクは、競合他社製品に比べて、水で希釈されていない分、よりクリーミーな味と栄養価を保持できる。植物性ミルクの未来を感じて、大革命を起こしたELMHURST社は、今や植物性飲料の会社の中でも、著しい成長を遂げている。

▲写真 Oatlyの商品ブース 出典:筆者撮影

25年前にスウェーデンにできたオートミルクの会社 。2年前にアメリカに進出した小さな会社だが、アメリカでオートミルクを売り出すと、あまりに売れすぎて、供給が追いつかなくなるほどになった。当初は、ニューヨークの10店舗でのみの取り扱いだったが、現在はアメリカの約2,500ものコーヒーショップで使われている。アメリカの大手ホームセンターTargetやオーガニック・自然食品スーパーのWhole foodsがOatlyのオートミルクを販売しているが、どちらのスーパーでも商品が入ると、即日売れてしまうことが多いという。

Oatlyは、2018年9月時点で、生産量が前年比1,250%増加したが、生産が需要に追いつかないため、来月ニュージャージー州に1,000万ドルをかけた工場ができる。この工場ができることで、これまでの8倍ものオートミルクの生産が可能になると見込まれている。

カリフォルニアに住むAmyさんは、オートミルクを1年前に初めて試してから、すっかりオートミルクの虜になった。「オートミルクは植物性ミルクの中で、1番味が美味しいと思う。すごくクリーミーで、コーヒーやカフェラテとの相性も抜群よ。他の代替ミルクに比べると、水っぽくないのも良いわ。最近、近くのコーヒーショップでもオートミルクが入ってきたのが嬉しい」と語る。

このオートミルク人気は、アメリカだけではない。すでにヨーロッパでは、大手コーヒーチェーンのスターバックスが、去年からオートミルクを導入した。これは、顧客からの要望が相次いだからだという。アメリカのニューヨーク、シアトルなどの一部のスターバックスリザーブ店でも、今月からオートミルクがカスタマイズの新しい選択肢として、登場した。

米スターバックスの広報によれば、オートミルクはなめらかな味わいがライトローストコーヒー、ダークローストコーヒーどちらにも合い、スチームミルクにすると、クリーミーでまろやかになり、ラテやカプチーノ、エスプレッソなどとも相性が良い、という。

他にも、今年に入り、他の植物性ミルクの会社が、オートミルクをこぞって売り始め、中にはオートミルクの人気にあやかって、オートミルクでできたアイスクリームやクッキー、ヨーグルトを売り出す所も出てきた。

▲写真 オートミルクを使用した商品も発表されていた 出典:著者撮影

今、アメリカで大注目されているオートミルク。それぞれが求めるライフスタイルに合ったミルクを、自由に選択できる時代。ソイミルク、アーモンドミルクに続いて、今後、オートミルクは第4のミルクとして地位を確立できるのか。また、日本でもオートミルクが注目される日が近いかもしれない。

トップ写真:様々な種類の植物性ミルク 出典:筆者撮影


この記事を書いた人
ファイゲンバーム 裕香ジャーナリスト

1999~2004:株式会社テレビ西日本 (福岡)にて、アナウンサーとして勤務。

2004~2006:ウガンダ共和国 NGO Ashinaga Rainbow Houseにてケアテイカーとして従事。

2006~2007:東京放送株式会社 24 時間ニュースチャンネル NEWS BIRD 契約キャスター 。

2007 :NPO 法人MUKWANOを設立。

2009:イギリス ブラッドフォード大学 アフリカの平和と紛争学修士号取得

東京大学大学院 総合文化研究科 地域文化学科(国際貢献)修士号取得

 

現在、カリフォルニア在住。バイリンガルMCプロフェッショナル所属

ファイゲンバーム 裕香

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