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.経済  投稿日:2020/10/6

使いにくい地域共通クーポン


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・「Go Toトラベル」キャンペーンで「地域共通クーポン」が発行される。

・「紙クーポン」と「電子クーポン」の2種類がある。

・使える店が限定的で、「電子クーポン」使えない店があるなど、使い勝手悪し。

 

地域共通クーポン」(以下、クーポン)をご存じだろうか?「Go Toトラベル」キャンペーンを既に利用して旅行した人はご存じだろうが、それ以外の人は名前は聞いたことはあっても利用方法は分からないだろう。簡単に説明しよう。

 

■ 「地域共通クーポン」とは

国交省のサイトには:

旅行代金の15%相当額を地域共通クーポンとして、旅行者に配布します。
(1,000円未満の端数が生じる場合には四捨五入(端数が500円以上の場合は1,000円のクーポンを付与)します。)

・旅行先の都道府県+隣接都道府県において、旅行期間中に限り使用可能です。

・紙クーポン、電子クーポンの2種類があり、お釣りは出ません。

旅行業者・宿泊事業者より配布します。

とある。

▲図 地域共通クーポン(紙)見本 出典:Go Toトラベル公式サイト

▲図 「地域共通クーポン」(電子)イメージ 出典:Go Toトラベル公式サイト

まず旅行代金の35%がディスカウントされ、それに加えて15%分がこの「地域共通クーポン」として発行されるわけだ。合わせて50%引きとなる。ようは、宿だけでなく、地域の土産物屋や観光関連業者にもお金が落ちるように企画されたものである。

旅行会社でツアー商品を買う場合と、旅行予約サイトなどで宿泊予約する場合で、クーポンの受け取り方が違ったりするので要注意だ。又以下の注意点もある。

①宿泊予約サイトなどで購入した場合、電子クーポンは宿にチェックインする当日15時まで発行されないこと。

②利用できるのはチェックアウト日24時までだということ。

などだ。

チェックインするまでクーポンが発行されないのはわからなくもない。が、宿が必ずしも駅前にあるわけでもない。クーポンをもらっても、駅や繁華街にある土産物店などチェックイン後ににわざわざ出かけなくてはならないのはちょっとめんどくさい。

また、まだクーポンを使える店がまだ少ない。どの店で使えるかも情報が不足してる。国交省はサイトで旅行先の地図から使える場所が検索できるようにしているが、土地勘がない旅行先で何を買うか決めてから出かける人はそうそういないだろう。いろんな店を回ってお土産を物色するのも旅の楽しみの一つなのだ。

▲図 地域共通クーポンが使える場所検索マップ 出典:Go Toトラベル公式サイト

使える店が限られているだけではない。店によっては電子クーポンが使えないのだ。おそらく旅行者にとって一番使い勝手がいいのは、宿泊した宿でクーポンが使えることだろう。しかし、宿が電子クーポンに対応しているとは限らない。電子クーポンを使うためのQRコードがまだ届いてないのだという。見切り発車した感満載なのだ。

Go Toトラベル事務局の登録を受けた店舗・施設には以下のステッカーが貼ってあるはずだ。電子クーポンを使いたいと思ったら、「利用可能クーポン」の下の「電子クーポン」にチェックがついているかどうか確認したい。

▲図 地域共通クーポン ステッカー例 出典:Go Toトラベル公式サイト

仮にその店で電子クーポンが利用可能でも、その使い方がこれまためんどくさい。まず、

①画面で電子クーポンを呼び出し、1000円、2000円、5000円の中から使いたい金額を選ぶ。

②「QRコードをスキャンして利用する」ボタンを押す。

③画面上にカメラが立ち上がるので、店舗のレジカウンターなどに設置されているQRコードを読み込む。

④「利用済みにする」ボタンを押す。

とまあ、こんな感じだ。店の人が慣れていればいいが、そうでなければレジでてんやわんやになりそうだ。また、12000円分の電子クーポンを持っている人は、5000円のクーポンを2回、さらに2000円のクーポンを1回、都合3回画面を呼び出し、その度にQRコードを読み込む作業を強いられる。これもよくわからない仕様だ。

▲図 「地域共通クーポン」(電子)利用時、店のQRコードを読み込むイメージ 出典:Go Toトラベル公式サイト

また、注意しなくてはいけないのは、宿をチェックアウトしたその日しかクーポンは使えないことだ。旅行先から離れて翌日になったらもうそのクーポンは使えない。近隣都道府県でも使えることになってはいるが、基本、帰宅する前に駅前周辺の土産物店などで使い切るのが良さそうだ。

一方、宿を出て直ぐ帰る人には親切ではない。なにより、何処で使えるか分からないのだから始末に負えない。いちいち店舗に行き確認するしかない。観光案内所のようなところも情報を一元管理できていないようで、もうこうなったら旅行客の行動力+運を頼みに、クーポンを使い切るまでだ。が、実際には使い方が分からなかった、とか、使える場所が見つからなかった、等の理由で使用を断念する人も結構出ているのではないか。

最初からECサイトで旅行先の土産物もクーポンで買えるような仕様にしておけば良かったのに、と思う。旅行先にお金を落とすことが目的なのに、なんか詰めが甘くて残念な「地域共通クーポン」なのだ。

(了)

トップ写真:イメージ 出典:ぱくたそ


この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト、産業能率大学客員教授。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。


1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。


1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。


2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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