どうすりゃいいの「Go Toトラベル」
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・国内旅行代金の半分を支援「Go TO トラベル」キャンペーン7月22日スタート。
・キャッシュバックは旅行後申請。27日から予約時に割引受けられる。
・コロナ感染拡大もあり、旅行するかしないか、迷う人も。
政府肝いりの観光業界救済一大プロジェクトがスタートした。新型コロナウイルス感染症の拡大が止まらない中、波乱の船出だ。その名も「GO TO トラベル」キャンペーン。
■ キャンペーン概要
概要はこうだ。
〇国内旅行を対象に宿泊・日帰り旅行代金の1/2相当額を支援
〇支援額の内、①7割は旅行代金の割引に、②3割は旅行先で使える地域共通クーポンとして付与
〇一人一泊あたり2万円が上限(日帰り旅行については1万円が上限)
〇連泊制限や利用回数の制限なし
旅行代金の半分を支援するというなんとも剛気な事業なのだが、半分の7割、すなわち旅行代金の35%が割引になり、残りの15%が「地域共通クーポン」として旅先の飲食店や土産物店で使えるという仕組みだ。地元にお金を落とさせよう、と考えたのだろう。
しかし、この「地域共通クーポン」の発行は9月1日以降になるという。夏休み中に使えない・・・なんだか拍子抜けだ。何故、旅行代金支援と一緒にスタート出来なかったのだろう?
▲写真 平湯館の源泉かけ流し岩露天風呂(岐阜県高山市奥飛騨温泉郷) 出典:PAKUTASO
■ キャンペーン申込のタイミング
肝心の事業開始は7月22日(水)からだ。何故かというと、7月23日の海の日を含む7月4連休の前日が22日だからだ。そして、大分悩ましいのは旅行を予約するタイミングだ。観光庁によると:
・7月22日以降に開始する旅行代金の割引を先行的に開始。 (35%割引(代金の1/2相当額×7割))
・7月22日以降の旅行を既に予約している方々については、旅行後の申請により 割引分を還付。
・7月27日(月)以降、旅行業者、予約サイト、宿の直販予約システム等において、 準備が整った事業者から割引価格での旅行の販売を実施。
つまり、
①既に7月22日以降の夏休みの旅行を予約済みの人→旅行後申請して割引分の還付を受ける。
②今から7月26日までの間に7月22日以降の夏休みの旅行を予約する人→旅行後申請して割引分の還付を受ける。
③7月27日以降旅行を予約する人→割引価格で予約でき、旅行後の申請手続き不要。
ということになる。
①、②に該当する人は還付を受けるために旅行後、事務局に申請しなければならない。
▲写真 新緑の平湯大滝(岐阜県高山市奥飛騨温泉郷) 出典:PAKUTASO
■ 面倒な還元手続き
その手続きがめんどくさい。以下の書類を事務局に郵送又はオンラインで提出しなければならない。
(例:宿泊の場合)
・申請書(様式は事務局ホームページ・宿泊施設等で入手)
・領収書(原本)
・宿泊証明書(宿泊時に宿泊施設から入手)
・個人情報同意書(様式は事務局ホームページ・宿泊施設等で入手)
事務局で書類を確認後、口座振込、クレジットカード振込等で旅行者に還付される。
申請書と領収書はわかるとして、宿泊証明書やら個人情報同意書やら、わけのわからない書類を用意して事務局に送るのがいかにもかったるい。7月27日になれば、予約時に割引された価格で予約でき、旅行者はキャッシュバックの申請をしなくてすむ。なら27日まで待てばいいや、となる。
しかし、この事業の予算は1.1兆円。予算を使い切ればキャンペーンは終わる。早い者勝ちなら、キャッシュバック申請の煩わしさもやむなし、と予約に走る人もいるかもしれない。よもや2週間かそこらで打ち止めになることはないだろうとは思うものの、こればかりは蓋を開けてみないとわからない。結局は、個々人の判断次第というわけだ。う~ん。
他にもある。新型コロナの問題だ。感染拡大が止まっていない中、他県に出かけて行っていいものだろうか?そう躊躇する人もいるはず。
「自粛すべきか、経済を回すべきか、それが問題だ」これまた国民に丸投げ状態・・・
■ 旅行サイト独自キャンペーンも
そうした中、サイトによっては国の35%還元に独自にプラスするキャンペーンを実施しているところもある。旅行予約サイトの「一休」は35%に5%のポイント還元をプラス、実質40%引きになるという大盤振る舞いだ。
▲図 旅行予約サイト「一休」のキャンペーン 出典:一休
こんな魅力的なオファーを見てしまうと、やっぱり旅行に行こうか・・・と、これまた心が揺れる。どうすりゃいいのさ、とぼやきたくもなる。とにもかくにも手放しで喜ぶことの出来ない「GO TO トラベル」キャンペーン。とりあえず、27日まで様子をみるか。今はそう思っている。
トップ写真:イメージ 出典:pxhere
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。