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.経済  投稿日:2020/10/14

混迷「Go To」割引上限元に戻る


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・先週、大手旅行予約サイトでGo Toトラベル割引上限が大幅ダウン

国交省は13日、急遽追加予算を配分すると発表。割引額元に戻る。

・観光業者も旅行客も振り回されるような混乱はもうたくさん。

 

もうこうなると怒りを通り越して笑うしかない。Go Toトラベルの混迷ぶり、ここに極まれりだ。

先の記事でも書いたが、先週、一部大手旅行予約サイトでGo Toトラベルの割引額上限が一人あたり14000円から3500円に大幅にダウンした問題。一斉にブーイングが起き、慌てた国土交通省は13日、急遽追加で予算を配分すると発表。

それを受けて、割引額上限を下げていた旅行予約サイトが一斉に元に戻すというドタバタ劇を演じた。

▲写真 クーポン割引上限引き上げの告知する 出典:一休

ヤフートラベル、一休、じゃらんnetは10日、割引額の上限を3500円に引き下げていたが、13日一斉に14000円に戻した。

一休は、10月10日2時30分から10月13日正午頃までに予約した人は、1人1泊あたり最大3,500円割引だったが、10月13日正午頃以降の予約は、1人1泊あたり最大14,000円割引になる。

上限3,500円のGo To Travelクーポンを適用して予約した人で、10月下旬までの宿泊を予定していた人は、予約を取り直せば上限14000円が適用される。10月下旬以降の宿泊を予定している人には、10月下旬に上限14,000円割引クーポンを後から適用し、あらためてメールで案内するとしている。

楽天トラベルは「Go To トラベル」の利用回数について、会員1人あたり予約は1回、1部屋に限り、ツアーの利用も1回までとしていたが、その制限を解除した。

正直、自分が普段使っている旅行予約サイトの説明をよく読まないと、なにがどうなっているのか分からない状態だ。

筆者も11月の出張に備えて地方のホテルを一休で予約したのが割引額が3500円に減額された後の10月11日だったので高めだった。13日になって割引上限が元に戻ったことを知り、1回キャンセルして予約を取り直し14000円の割引を得ることが出来た。しかし、上の告知を良く読むと、放っておいても14000円割引が適用されたようだ。無駄に時間を使ってしまった。

いずれにしても、旅行を予約する人がこの割引上限減額騒ぎに翻弄されたのは間違いなく、無駄な時間を使ってしまった。中には、割引上限が元に戻ったのを知らず、旅行を諦めてしまった人もいよう。罪作りな話だ。

そしてもっと気の毒なのは、観光業者だ。混乱した客からの問い合わせ電話が相次ぎ、その対応に追われたばかりか、キャンセルも出ただろう。せっかく観光業者を救済しようと始まったキャンペーンが逆に彼らの足を引っ張ることになってしまった。観光庁を抱える国交省は猛省すべきだろう。

▲写真 銀山温泉 出典:ぱくたそ

もとはといえば、国民の税金。東京都発着を10月からキャンペーン対象にした時点で、各予約サイトへの割り当てが遅かれ早かれ枯渇するのは分かっていたはず。それなのに予算補填のタイミングを読み誤り、こうした混乱を招いた責任は重い。

しつこいようだが、「地域共通クーポン」の電子クーポンは相も変わらず使える場所が少ない。ホテル内のレストランなどで使えず、結局使えたのは外のコンビニ、なんてこともざらだ。「地域共通」と謳う位だから、近隣にお金が落ちればよしという考え方もあろうが、その「近隣」に使えるところがない場合はどうしてくれるのか?

お役所には顧客志向、CSの発想をもっとしっかり、持ってもらいたい、と言いたいところだが、事務局である「ツーリズム産業共同提案体」は、JATA(日本旅行業協会)のほか、全国旅行業協会(ANTA)、日本観光振興協会、JTB、KNT-CTホールディングス、日本旅行、東武トップツアーズから成り、協力団体として全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、日本旅館協会、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟、リクルートライフスタイル、楽天、ヤフーが名を連ねている。

つまり民間の当事者たちが運営しているわけで、なぜこんな混乱が起きるのか正直理解に苦しむ。事務局と役所の連携がうまくいっていないのだろうか?いずれにしてもこれ以上の混乱は景気浮揚に水を差すだけだ。同じ轍を踏まないようにしてもらいたい。

 トップ写真:イメージ 出典:ぱくたそ


この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト、産業能率大学客員教授。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。


1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。


1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。


2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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