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.経済  投稿日:2020/10/12

Go To トラベル割引額大幅減


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・大手予約サイトが軒並みクーポン割引上限金額を引き下げた。

・一休など、1人1泊あたり最大14,000円割引を3,500円割引に減額。

・予算はまだ余っており、再配分して割引額を元に戻すべき。

 

おそらく知らない人が多いだろう。「Go Toトラベル」キャンペーンが7月22日に始まってから約3ヶ月、おあずけを食っていた東京都発着の旅行も対象になったのが10月1日から。都民の中には、そろそろ紅葉の時期でもあり、旅行を予約しようと思っていた人も多かろう。

それなのに、だ。大手予約サイトが軒並みクーポン割引上限金額を引き下げたのだ。例えば、「一休」では、10月10日午前2:30より前の予約が1人1泊あたり最大14,000円割引だったが、10月10日午前2:30以降の予約は1人1泊あたり最大3,500円割引に減額された。実に75%減だ。

▲図 一休のお知らせ 出典:一休

その他、「じゃらん」は「一休」同様、10月10日(土)午前2時以降に予約する場合の割引額の上限を一人1泊あたり最大3500円(税込)に変更。「Yahoo!トラベル」は、10月10日(土)午前0時以降の予約における割引額の上限を一人1泊あたり最大3500円割引に変更した。また、「楽天トラベル」は、10月9日(金)以降、1会員あたりの利用上限枚数(35%OFFクーポン)を1枚(国内宿泊:1予約1部屋、国内ツアー:1予約)までとなった。「楽天トラベル」は、利用枚数の上限に達したため、終了したとHPで説明している。「Relux」は10月11日、給付金額の予算上限に達したので、対象商品の販売を終了すると発表した。一方、「JTB」は11日現在特に変更はないようだ。

しかし観光庁は、「Go To トラベル」キャンペーンが9月15日までに消化した予算額が約735億円で、総予算1兆1248億円のわずか6.5% にとどまると公表したばかりだ。「Go To トラベル」は 2021年1月31日までを予定しているが、赤羽一嘉国土交通相は「1月31日時点で予算がまだ残っているようであれば継続していきたい」と述べている。

そうした中で、大手予約サイトが、給付額を使い切ったので割引額の上限を下げる、もしくは商品の取り扱いを終了する、という状況はどう考えてもおかしい。

▲写真 牧水の湯 出典:flickr:水上温泉 水上館

割引額が減ることで旅行を取りやめる人も出てくるだろう。コロナ禍で苦しんでいる観光業の下支えで始まった同キャンペーンなのに、開始わずか3ヶ月弱でせっかく盛り上がり始めた観光需要に水を差すような動きは理解できない。早急に余っている予算を再配分し、割引額を元に戻すべきだろう。

先日の記事で「地域共通クーポン」の使い勝手の悪さを指摘したばかりだ。どうも「Go To キャンペーン」は急ごしらえとはいえ、中身がお粗末だ。国交省は、景気刺激策という本来の目的に立ち返り、ちぐはぐな制度を一刻も早く建て直してもらいたい。

トップ写真:京都 東福寺の紅葉 出典:flickr:Izu navi


この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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