無料会員募集中
.政治  投稿日:2021/5/18

東京五輪開催「反対」67%


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【まとめ】

・オリンピック開催について緊急アンケート実施、「反対」約7割。

・主な反対理由は「新型コロナ感染症が拡大する可能性があるから」。

・海外選手、関係者と国民との接触の懸念が払拭出来ないなら、反対の声は止まないだろう。

 

3回目の緊急事態宣言が東京都、京都府、大阪府、兵庫県、愛知県、福岡県、北海道、岡山県、広島県に発令されている中、Japan In-depthでは、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催について緊急アンケートを実施した。

■ 反対66.5%、賛成30.5%

アンケートは5月8日から開始、18日までの10日で197名から回答を得た。

結果は、「反対」66.5%、「賛成」30.5%、「わからない」3%だった。

▲グラフ 出典:Japan In-depth編集部

 賛成の理由

設問2で、「賛成」と答えた方に理由を聞いたところ、「平和の祭典として」を選んだ人が24.3%、菅首相が施政方針演説で表明した「人類がウイルスに勝った証として」(施政方針演説では「新型コロナウイルスに打ち勝った証」)を選んだ人が23%、「景気浮揚のため」が8.1%で、44.6%は「その他」とした。

▲グラフ 出典:Japan In-depth編集部

「その他」とした人に、「賛成の理由」を聞いた。以下、主なものを紹介する。

・リスクを承知で誘致した責任を成し遂げる。中止は五輪の存続の断念に繋がる。ワールドカップや冬季五輪はシュミレーションしている。

・選手の努力を達成させてあげたいので。

・アスリートの応援

・中止にしても五輪の為のリソースが上手くコロナ対応に振り向けられるとは考えられず、医療体制も構造的な問題なので好転は望めない。社会の空気が落ち込むだけであまり良い効果はない。

・コロナ禍で全てが停滞ムードでオリンピックを開催し成功させる事が一つ光になり得るのでは。

・大々的にではなく、こじんまりと密かやかにやればいいと思う

・アスリートに対し万全の感染対策を実施した上でなら開催しても良いと思う。

・五輪に人生を捧げてきた選手の方たちの事を思うと…。

・やらない事自体、単なるクソ野党(原文ママ)の政局だから。

・開催そのものは我が国の国際公約。これ以上の延期はできない。無観客で実施を。

・反対意見論者には政治的意図を感じる。反日グループの糸引きも濃厚だ。オリンピックの政治利用は断じて拒否したい!単なる平和の祭典でないことはすでに全世界で共通の認識を持たれているから尚、強く開催への意思を示す場であって欲しい。このオリンピックに人生を賭けて望む人たちの希望を砕かないためにも、開催を後押ししたい。

・中止にするのは簡単ですが、IOCに出す違約金はどこから払うのか?

・2020年以降で、大規模な国際イベントが行われる最初の開催地が北京であることを望まない層は多いと考えるため。

・ウイルス禍の世界の人々に希望と勇気感動を与えるのことになる。

・アスリート達の為に。

・そもそも感染流行なぞしていない、現に超過死亡数はマイナスですから実施する事で前を向き、改善を牽引。止まってはいけない。

・スポーツの祭典であり、政治的に利用されるべきでない。

・ワクチン輸入が滞ると思います。

・左翼が中止に追い込み政権打倒の具としようとしている

・選手と未来を創る若者達の為。

 反対の理由

一方、反対の理由は、「新型コロナ感染症が拡大する可能性があるから」が71.7%、「オリンピックそのものにもともと反対だから」が11%、「オリンピックにかかる費用は無駄だから」9.4%、「その他」7.9%だった。

▲グラフ 出典:Japan In-depth編集部

「その他」とした人に「反対の理由」を聞いたところ、以下の回答を得た。

・医療体制がひっ迫しているのにも関わらず、オリンピックだから、という理由で更に医療従事者へ負担をかける理由が分からない

・東アジアにおける都市間競争において東京という都市のプレゼンスを高めることや、文化的なレガシーが残ることには期待しています。しかし、どう考えてもリソースが足りないため開催しないほうがいいという立場です。可能ならもう1年延期でもいいと思います。

・五輪ホスト国としての気運の高まりを感じない。本来、大会開催に向け、さまざまな分野の人たちが、成功に向け力を注ぐものだと思う。行政だけで作れるものではない。国民の多くが五輪を望んでいない。盛り上がらないと思う。

・コンセプト作りが下手

・自国民を守るよりオリンピック開催を最優先としているから。

・現状のオリンピックは企業の利益を優先するものに変わったため

・緊急事態延長との矛盾、PCR検査への疑問

・答えは一つじゃない、コロナも費用の無駄もオリンピックの意義も、今の日本には必要無い

・政府は新型コロナウイルス対策に全力で取り組む必要があるから。

・日本国内のワクチン接種率が低すぎる。そうでなくとも医療機関がひっ迫しており、適切な医療措置を受けられずに自宅待機の陽性者が多い中、オリンピックの為に看護師500人必要だなんて…あり得ないと思う。

・利権まみれで利権まみれで利権まみれだから。(原文ママ)特定の人間が儲けて、まだやってもないのに莫大な報酬もらってる関係者いるのに医者やガイドはボランティアってふざけてんのか?

 代替案

「反対」と答えた人に「代替案」を聞いた。「政府がオリンピック開催中止をIOCに申し入れる」が48.8%、「新型コロナ感染症拡大が落ち着くまで延期をIOCに申し入れる」が26%、「東京都が政府にオリンピック開催中止を申し入れる」が19.5%、「日本国民の過半数がワクチンを接種するまで延期をIOCに申し入れる」が4.1%、「その他」が1.6%だった。

▲グラフ 出典:Japan In-depth編集部

ただ、オリンピックの「開催都市契約」の当時者はあくまでIOCと東京都なので、政府がIOCに中止を申し入れる権限はない、との指摘があった。筆者の問いの設定が不適切だった点、お詫びする。

契約上は確かにそうだが、政府は「東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣」を置いている。また、国の財政負担も巨額に上る。開催中止を申し出る主体は契約当事者の東京都なのかもしれないが、政府との協議なしに決められものでもないだろう。

緊急事態宣言の解除が見通せず、かつ、高齢者のワクチン接種も始まったばかり、という現在、「反対」の声が多いのはやむを得ないと思う。

おりしも東京、大阪の高齢者を対象にした政府の大規模接種センターでの予約が17日から始まった。菅首相が言うように7月末までに高齢者へのワクチン接種が完了するかどうか、政府も東京都も「東京オリンピック・パラリンピック組織委員会」も固唾をのんで見守っているだろう。

しかし、オリンピックが始まる7月22日時点で、64才以下の国民の多くはワクチンを打てていない事が想定される。また、海外から来る選手約1万5千人やオリンピック関係者ら約9万人と日本の一般市民との接触だが、政府は隔離して一切交わることはない、と言っている。しかし、そんなことが実際可能なのだろうか。結局、国民が「感染拡大の可能性」や「医療への負荷の大きさ」がどの程度なのかわからない状況が続く限り、今回のアンケート結果が今後大きく変わるとは思えないのだが。

トップ写真:東京五輪開催に反対するデモ(2021年5月17日) 出典:Yuichi Yamazaki/Getty Images




この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト、産業能率大学客員教授。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."