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スポーツ  投稿日:2014/6/17

[瀬尾温知]<2014FIFAワールドカップ・リポート>初戦黒星の日本!ギリシャ戦で何点奪って勝つか?!


瀬尾温知(スポーツライター)|執筆記事プロフィール

 

ワールドカップが開幕した。ブラジルが自国開催するのは1950年以来64年ぶり2回目。世界で最も人気のあるスポーツの祭典が、世界で最もサッカーに熱狂的な国を舞台にして行われる。優勝が最低義務の地元ブラジル、史上3チーム目の連覇を狙うスペイン、7大会ぶりの頂点を目指すアルゼンチンなど32チームが出場し、決勝まで32日間、64試合の熱戦が繰り広げられる。

4年に一度だけ浸れる刺激の連日に、我々サッカーファンはすでに麻痺し始めている。 渋谷にあるテレビ局のワールドカップ特設ウェブサイトの制作で東京に残ったため、現場からの寄稿ではないが、ブラジルに住み始めて10年、現地でのサッカー取材等から得た“ブラジル目線”を生かし、現地の声やブラジルメディアの報道を織り込みながら伝えていく。

まずは開幕戦。ホスト国・ブラジルがサンパウロ・アリーナにクロアチアを迎えて行われた。ブラジルはオウンゴールで先制点を許したが、ネイマールの2ゴールで逆転、オスカーが追加点をあげて3対1で白星スタートを切った。

ブラジルの草サッカー仲間のルーラ(髭面の前大統領にそっくりなのでついた渾名)が「緊迫した試合だった」と評したように、0対1とリードされたとき、ブラジル人の脳裏には「マラカナンの悲劇」を拭い去るどころか、更なる悲劇に見舞われるのかとの焦燥感に苛まれた。

ところが逆転勝ちを収めたあととなると、オウンゴールによる先制点の献上は「ホスト国によるブラジル流のお・も・て・な・し」だったとうそぶく。

勝ちを手にしてしまえば調子づくのも仕方ないが、この試合の行方を決めたのはPKによる勝ち越しゴールにつながったファウルのシーンだった。本人の意思がなければ倒れることはない軽度の接触プレーだった。その笛を吹いたのは主審を務めた日本人の西村雄一だった。

ブラジルのウェブサイト、UOL Esporteは、「あなたが主審ならPKの笛を吹きましたか」とアンケートして、Sim ou Nãoで回答を求めていた。私はNãoにチェックして送信すると、投票の途中までの集計結果が出てきた。78%が「吹かない」と答えだった。

日本の初戦は、本田のゴールで先制したが、後半に立て続けに失点して1対2でコートジボワールに逆転負けを喫した。

私の大会期間中の勤務は、1試合目が開始する1時間前に職場に入り、その日最後の試合終了後まで。1次リーグの試合開始時間は、3試合ある日が1時、4時、7時。2試合の日は1時、5時となっている。

15日だけが例外で4試合あり、日本対コートジボワールは4試合目の10時開始だった。ブラジリア時間で22時。こんな遅い時間に、と思うかもしれないが、ブラジルではナイトゲームがこの時間帯に行われることは日常的なこと。

それにしても1日4試合は多い。その上、日本が大事な初戦を落としてしまったのだから疲労も倍増。初戦に敗れて帰宅し、睡眠不足のヘロヘロな状態でこのコラムを書いている。

カーニバル翌日に無気力に包まれるのは「灰の水曜日」だが、憔悴した身に代表の敗戦で打ちひしがれる「灰の日曜日」となってしまった。でも、初戦が黒星となるは想定内。開幕前に、「どうなるかね日本は」と聞かれ、私は決まってこう答えていた。

「1次リーグ突破の鍵は、ギリシャから何点奪って勝つか」。

最後は得失点差の争いになるとの読みだ。同じグループのコロンビアは第1戦でギリシャを3対0で破っている。日本はそれ以上の点差を狙ってギリシャ戦に臨む必要がある。

けっして1対0や2対0、3対1などのスコアで勝つことに満足せず、攻め続ける姿勢が大事になる。

 

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【執筆者紹介】

seo_photo瀬尾温知(せお みつとも)

1972年東京生まれ。スポーツライター。

テレビ局で各種スポーツ原稿を書いている。著書に「ブラジ流」。日本代表が強化するには、ジェイチーニョ(臨機応変な解決策)を身につけ、国民ひとりひとりがラテン気質になること。情熱的に感情のままに生きれば、きっと日本は強豪国になる。

タグ瀬尾温知

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