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.政治  投稿日:2023/10/6

「高岡発ニッポン再興」その102 初心に返って「利他の精神」で


出町譲(高岡市議会議員・作家)

【まとめ】

・高岡市の米姉妹都市フォートウェーン視察で渡航費が全国ニュースに。

・今年度予算案の段階で、もっと議論していればと悔やまれる。

・2017年に断行した多くの補助金のカットは今も続いている。

 

高岡市議会議員に当選させていただき、今月でちょうど2年です。改めて市議の仕事の重大さを痛感しております。きっかけは、高岡市のアメリカの姉妹都市フォートウェーン視察です。渡航費が連日、全国ニュースとなっています。テレビや新聞、雑誌で、大きくとりあげられ、先日市政報告会を開くと、市民の皆さまから私に対しても、厳しいご意見を頂戴しています。私も、市議会議員の1人として、責任を感じています。議員として、本来のチェック機能が働かなかったからです。

この渡航費1100万円については、既に、今年度予算に組み込まれています。高岡市議会3月定例会で、今年度予算案を全会一致で可決しているのです。つまり、高岡市側がアメリカ視察について「議会の皆さま、これだけのお金使っていいでしょうか」と議会にはかり、全員の市議会議員は「いいですよ」と認めているのです。その段階では、高岡市は、市長や市議会議長などがビジネスクラスを使うといった説明をしていませんが、予算案を通したのは、議会なのです。皆さまからの大事な税金を使うのが高岡市なら、その使い方をチェックするのは市議会なのです。市議会議員も責任を免れません。

新聞の報道で、市長がビジネスクラスで渡米することが伝えられ、大騒ぎとなりましたが、その中で、驚いたのは、前回の視察との渡航費の違いを伝えていた点です。

11年前の前回は市長含めて全員がエコノミークラス。今回、市長や市議会議長らがビジネスクラスを利用することで、一人当たりの費用が前回に比べ6倍に膨れ上がりました。もちろん円安などの要因もあり、一概に比較できないかもしれませんが、今年度予算案の段階で、もっと議論していれば、と悔やんでいます。

市民の皆さまのご批判は十分理解できます。高岡市は2017年に財政難に陥り、コミュニティーバスを廃止しましたが、いまだ復活していません。当時断行した多くの補助金のカットは今も、続いています。

私が政治家になって2年近く。いつも心掛けているのは、市民の皆さまに寄り添うことです。市民の皆さまと同じ目線で仕事をすることなのです。そして、利他の精神」が重要だと痛感しています。「利他の精神」とは自分ではなく、相手の利益を重んじることです。私は政治家に最も重要な精神だと思います。市議会議員の任期も折り返しです。私は今回のことを教訓に、初心に返って「利他の精神」で仕事をします。

トップ写真:厳しい批判を受けた市政報告会)筆者提供




この記事を書いた人
出町譲高岡市議会議員・作家

1964年富山県高岡市生まれ。

富山県立高岡高校、早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。


90年時事通信社入社。ニューヨーク特派員などを経て、2001年テレビ朝日入社。経済部で、内閣府や財界などを担当した。その後は、「報道ステーション」や「グッド!モーニング」など報道番組のデスクを務めた。


テレビ朝日に勤務しながら、11年の東日本大震災をきっかけに執筆活動を開始。『清貧と復興 土光敏夫100の言葉』(2011年、文藝春秋)はベストセラーに。


その後も、『母の力 土光敏夫をつくった100の言葉』(2013年、文藝春秋)、『九転十起 事業の鬼・浅野総一郎』(2013年、幻冬舎)、『景気を仕掛けた男 「丸井」創業者・青井忠治』(2015年、幻冬舎)、『日本への遺言 地域再生の神様《豊重哲郎》が起した奇跡』(2017年、幻冬舎)『現場発! ニッポン再興』(2019年、晶文社)などを出版した。


21年1月 故郷高岡の再興を目指して帰郷。

同年7月 高岡市長選に出馬。19,445票の信任を得るも志叶わず。

同年10月 高岡市議会議員選挙に立候補し、候補者29人中2位で当選。8,656票の得票数は、トップ当選の嶋川武秀氏(11,604票)と共に高岡市議会議員選挙の最高得票数を上回った。

出町譲

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